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海を越えた白 ─ アビランドとアメリカの夢

遠い異国の地で生まれた美しいものに、
どうしようもなく心を奪われ、
人生のすべてを賭けてしまう。

アンティークの歴史を紐解くと、
時折そんな映画のような情熱に
出会うことがあります。

ヨーロッパの陶磁器をめぐる3つの物語。

「白への憧れ」
「静かな祈り」
「海を越えた夢」。

今日は、その第3章。
フランスのリモージュでありながら、
アメリカの夢を乗せて海を越えたブランド
「アビランド(Haviland)」のお話です。


一枚の皿に魅入られた、
ニューヨークの青年

1839年、アメリカ・ニューヨーク。
熱気あふれる街の片隅で、
小さな食器店を営む一人の青年がいました。
彼の名前はダヴィド・アビランド。

ある日、店に一人の高貴な女性がやってきて、
欠けてしまった一枚の美しい皿を
彼に差し出しました。
「これと同じものを探してほしいのです」

その皿を受け取った瞬間、
ダヴィドの体に電流が走りました。
ガラスのように薄く、
光が透き通るような、
完璧な白。

そして、そこに施された繊細で可憐な絵付け。
それは、当時のアメリカでは決して見ることのできない、至高の美しさでした。

「これは一体、どこで作られたものなんだ?」

裏に刻まれた文字を頼りに彼が突き止めたのが、
フランスの片田舎、
あのお母さんの洗濯石鹸(カオリン)から始まった街、リモージュでした。

ダヴィドの胸の中で、静かに、
でも激しく情熱の火が燃え上がります。

「この美しい器を、アメリカの、
いや、世界中の人々に届けたい」

そしてダヴィドは、
家族とともに大西洋を渡り、
フランス・リモージュへ向かいます。

それは、言葉も文化も異なる土地へ、
ただ「美しい白磁への憧れ」を胸に踏み出した、
大きな決断でした。


伝統の街に風を吹き込んだ、
異邦人の挑戦

当時のリモージュは、
格式高い王室御用達の職人たちが
誇り高く食器を作っている街。

そこへやってきたアメリカ人のダヴィドは、
当然、激しいよそ者扱いにあいました。

しかし、彼の情熱は折れません。
それまでのリモージュ磁器は、
白磁の製造と絵付けの職人が
別々の場所にいるのが当たり前でした。

ダヴィドは「それなら、一つの大きな工場で、
すべての工程を完璧に形にしよう」と、
リモージュ初の近代的な一貫工場を
建ててしまいます。

さらに、アメリカの女性たちが好む、
優しくフェミニンな
「リボン」や「小さな花々」のモチーフを
次々と取り入れました。

フランスの伝統的な「職人の技」と、
アメリカ人のダヴィドが持ち込んだ
「自由な感性」。

その2つが混ざり合ったとき、
アビランドの器は爆発的な人気を博すことになります。

やがてその美しさは、
アメリカ大統領リンカーンの妻、
メアリー夫人をも虜にし、
ホワイトハウスの晩餐会を彩る
公式の器として選ばれるまでになったのです。


アビランドはその後、
時代ごとにいくつかの系譜へ分かれ、
花々を優雅に描いたもの、
金彩を繊細に施したものなど、
それぞれ異なる魅力を育んでいきました。

今回ご紹介している器は、
そうしたアビランドらしい「花の時代」の空気を、
今も静かに残しているように思います。


あなたの人生の、
海を越える夢のお守りに

一枚の皿に恋をして、
海を越えたダヴィド・アビランド。

彼が作った器が、今、100年以上の時を経て、
日本のあなたの手元に届こうとしています。

アビランドの器に描かれた
繊細な草花を見つめていると、
その可憐さにも関わらず
「新しい世界へ踏み出す強さ」を感じます。

仕事、家事、育児。
毎日のマルチタスクに追われながらも、
心のどこかで
「もっと新しい自分に出会いたい」
「新しい一歩を踏み出してみたい」
と願う瞬間が、
私たちにはあります。

そんなとき、
この海を越えた夢の結晶であるカップに、
温かい紅茶を注いでみてください。

遠いフランスの土と、
アメリカの青年が抱いた青い情熱。

その物語が、
あなたの「これから」に、
そっと勇気を灯してくれるはずです。

誰かの夢が形になり、
時間を旅してあなたの手のひらへ。

あなたの特別なティータイムに、
この美しい物語を迎え入れてみませんか?


【Calme & Prière | 白と祈りの洋品店】

フランスの伝統と、
アメリカの夢が溶け合ったアビランド。

あなたの毎日に、
そっと新しい風と勇気を運んでくれる
美しい器たちを、
ショップにて並べてお待ちしております。

https://calmepriere.base.shop/items/142383687


▶note 第1章「高嶺の花、リモージュの白」

▶︎note第2章「19世紀英国の午後。スズランのティーカップとささやかな幸福。」

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