高嶺の花ーリモージュの白。
手に入らないほど美しく、憧れの存在のことを、
私たちは「高嶺(たかね)の花」と呼びます。
実は、アンティークの世界において、
この言葉は比喩でもなんでもなく、
文字通りの意味を持っていました。
今回は、フランスを代表する
美しい磁器「リモージュ」の、
凛とした白の裏側に隠された、
嘘のような本当の物語をお届けします。
ヨーロッパが焦がれた「白い金」
今から300年ほど前のヨーロッパ。
王侯貴族たちは、
東洋の日本や中国から渡ってきた、
透き通るように白く、
ガラスのように薄い
「磁器」に熱狂していました。
当時のヨーロッパの土では、
どれだけ高い温度で焼いても、
茶色いレンガや素朴な土器にしかなりません。
厚塗りの絵の具で必死に
「白もどき」を作ってはみたものの、
東洋の放つ、あの凛とした潔い白には
遠く及びませんでした。
その白を生み出す特別な土は、
中国・景徳鎮近郊の
「高嶺(Gaoling)」という地名に由来して、
「カオリン」と呼ばれるようになります。
ヨーロッパの人々にとってそれは、
遥か東洋にしか存在しない、
決して手の届かない
“高嶺の花”のような存在でした。
国を挙げた職人たちの、
何百年にもわたる切ない片思い。
その歴史に終止符を打ったのは、
偉大な学者でも、
権力ある王族でもありませんでした。
フランスの片田舎に暮らす、
一人の「お母さん」だったのです。
奇跡は、日々の暮らしの足元に
1765年頃。
フランスのリモージュ近郊にある小さな村で、
地元の田舎医者の妻、マダム・ダルネットは、
近くの地面から「真っ白でベタつく不思議な粘土」が出土しているのを偶然見つけました。
彼女はそれを「歴史的な大発見だ!」
と思ったわけではありません。
「これ、お洗濯の石鹸代わりに使えるんじゃないかしら?」
日々の家事をやりくりし、
暮らしを営む一人の女性として、
生活の知恵からその白い粘土を
家に持ち帰ったのです。
後に科学者でもあった夫が調べて大仰天。
それこそが、
フランス中が血眼になって探していた、
最高品質の白い粘土「カオリン(高嶺)」だったのです。
この発見は、
後にフランス磁器文化を大きく発展させ、
王侯貴族たちを魅了する「リモージュの白」へと
繋がっていきます。
そして19世紀になると、
この「リモージュの白」に魅せられた
一人のアメリカ人が現れます。
後に世界中で愛される
“Haviland(アビランド)”の始まりです。
ヨーロッパが憧れた白は、
やがて海を越え、
新しい時代の夢へと受け継がれていきました。

忙しいあなたの毎日に、凛とした白を
どこか敷居が高く、
遠い世界の存在に思えるリモージュの磁器。
でもその原点は、私たちと同じように、
毎日を懸命に生きる一人の女性の、
ささやかな生活の手触りから生まれています。
「こんなに美しい器、普段使いには勿体ない、
割ってしまいそうで怖い……」
そう思われるかもしれません。
でも、リモージュは実は非常に高温で
焼き上げられているため、
繊細に見えてとても硬く、
日常に寄り添ってくれる強さを持っています。
朝、家族を送り出したあとの静かな15分。
仕事や家事の手をふと止めて、息を吐く一瞬。
マルチタスクな毎日を駆け抜ける
あなたの日常の中に、
この「完璧に美しい白」をぽんと置いてみる。
すると、不思議と心のざわめきが静まり、
自分を取り戻すことができるのです。
おもてなしの主役にするだけでなく、
あなたをそっと守ってくれる「お守り」として。
かつて誰もが憧れた「高嶺の花」の白を、
あなたの手のひらに迎えてみませんか?
【Calme & Prière | 白と祈りの洋品店】
いつかの誰かの祈りを宿した、
フランスのリモージュ。
忙しい日々にそっと寄り添う「凛とした白」を、
ショップにて並べてお待ちしております。
この白が持つ愛おしい物語が
今を生きる誰かの元に届きますように。
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