白いアランが好き、というだけで、Standúnという店に辿り着いた話ーアイルランドの老舗が、私の二人目のフォロワーになってくれた日。
白いアランニットが好き、
というだけで この店を始めようと思いました。
最初から、
「アランニットの名店を集めよう」とか
「ブランドごとに揃えよう」とか、
そんな大きな構想があったわけではありません。
ただ、 白いこと。
祈りの気配があること。
ヴィンテージとして、
いまもちゃんと着られる状態であること。
その条件を満たす「最初の一着」を探して、
偶然出逢ったのがStandúnのニットでした。
ブランド名より、手に取った印象が先だった
正直に言うと、
仕入れの時点では Standún という名前に、
特別詳しかったわけではありません。
私が見ていたのは、
ブランドよりも、その風合いでした。
重みのある安心感。
生成りに近い、乳白色。
編み目の立体感と、
無理のないコンディション。
「この一着なら、
最初の一点として自信を持って届けられる」
そう思えたことが、いちばんの理由です。
そして実際に手にしてみて、
その直感は確信に変わりました。
タグに刻まれた「共和国」という誇り
もうひとつ、
強く心を動かされたのがタグでした。
「The Republic of Ireland」=共和国。
1922年に独立した国としての名前を、
数センチの布に刻むこと。
そこには、編み手たちの誇りと、
譲れないこだわりが詰まっているように感じました。
そして、
紋章のようにも、守護獣のようにも見える不思議な図柄。
これが気になって仕方がないという感覚が、
私にとっては大切な翻訳の始まりでした。
調べてみたら、いまも「生きている」店だった
調べてみると、
Standún は今もアイルランドの西海岸で続く、現存する店でした。
Instagramを覗くと、
色とりどりのニットや、季節の品、
アイルランドらしい雑貨が並んでいます。
カフェもあるようで、
楽しげな話し声が聞こえてきそうな、いきいきとした場所。
店内に小さな大仏の置き物を見つけ、
遠い国のはずの彼らと、日本にいる私が、
ふっと一本の糸で繋がったような気がしました。
合掌している大仏像は、
まさに祈りのかたち。
長い歴史の中の、ほんの一着のヴィンテージ。
商売として考えると、
今は無きブランドのレアタグなんかを扱うほうが、
本当は良いのかもしれない。
けれど、私は今も「生きている店」に繋がる物語を携えたこの一着に、
なんとも言えない愛着を感じたのでした。
返信はなくても、フォローバックがあった
思い切って、タグの図柄について公式アカウントへ問い合わせを送りました。
返信は、ありませんでした。
けれど、立ち上げたばかりの私のアカウントを、
彼らはフォローバックしてくれました。
記念すべき、二人目のフォロワー。
(一人目は、私が以前から尊敬し、
フォローしていた白糸刺繍教室さん)
閲覧数もフォロワーも全然増えないなぁと
店をやることの難しさを痛感し、
「好きなものを並べれば伝わる」と、
どこかで思っていた自分の甘さに、
少しだけ落ち込んでいた頃でした。
祈ることも忘れて必死になっていた私にとって
それは本当に明るい兆しとなる光でした。
「日本の店」として、ここから
アイルランドの店とやりとりをしながら、
ふと気づいたことがあります。
私のInstagramには「日本のショップです」と、
どこにも書いていなかったこと。
あえて書かなかったというより、
まだ名乗る勇気がなかったのかもしれません。
この店は、日本にあります。
けれど、手仕事や祈りの気配は、
国境を越えて静かにつながっている。
白いアランが好き、
というだけで辿り着いたこの一着は、
この店の最初の物語になりました。
いっそ、
ヴィンテージStandún専門店を目指そうかしら、
なんて、ふと考えたりもしたけれど。
まずは目の前の一着から。
これからも、ひとつずつ、
ものが語る物語を翻訳しながら、
手渡していけたらと思います。
*
読んでくださり、ありがとうございます。
今日、
あなたの元にも朗報が舞い降りますように🕊️
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