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「雰囲気のある」新星たち:羽生結弦・村上佳菜子/フィギュア・NHK杯(2010. 10. 25記す)~浅田真央 My History Vol. 6~

フィギュアスケート・グランプリシリーズの開幕戦、NHK杯が行われ、男子は髙橋大輔が3度目、女子はカロリーナ・コストナー(イタリア)が2度目の優勝を果たしました。

髙橋はSP・フリーともラテン音楽をバックに、持ち前のステップにさらに磨きをかけ、華麗に踊り抜いて見せました。

世界チャンピオンの貫禄でしたね。

一方、もう一人の世界チャンピオン・浅田真央は、改造中のジャンプが未完成でミスを連発し、GPシリーズ自己ワーストの8位に沈みました。

(これについては後述)

しかし、実は私がこの大会で一番注目し、その演技を楽しみにしていたのは、髙橋大輔でも浅田真央でもありません。

ともに今年の世界ジュニアで優勝し、このNHK杯がシニアデビューとなる、 羽生結弦と村上佳菜子です。

羽生結弦は、世界ジュニア優勝時の映像はほんの少ししか見ていなかったので、本格的に演技を見るのは今回が初めてでした。

見て驚いたのは、15歳にしてすでに技術レベルが相当に高く(フリーでは4トゥを鮮やかに決めました)、

繊細な表現力もかなり身につけていること。

初めての4分30秒の演技となったフリーでは、最後はややスピードが落ちてしまいましたが、

これからさらにスタミナをつけ、テクニックと芸術性をさらに磨き上げていけば、

髙橋をも脅かす存在になるのはそう遠いことではないでしょう。

村上佳菜子は、世界ジュニア優勝時のダイジェスト映像を見て

「何ともエレガントな、人を惹きつける雰囲気を持った選手だな」

と思い、今回初めてフルで演技を見るのをとても楽しみにしていました。

SPでは、弾けるような笑顔と躍動感あふれる演技を披露。

音楽、振り付け、演技構成と彼女のキャラが見事にマッチし、

彼女が今持つ魅力を最大限に発揮した、「若さ爆発」の演技でした。

フリーでは、最初の3トゥ-3トゥのコンビネーションをきれいに決めた時は「これはいける」と思いましたが、

やはりかなり緊張していたようで、その後のジャンプでミスを連発し、

本人にとっては不本意な出来になってしまいました。

しかしそれでも総合3位をキープし、シニアデビューの大会で見事に表彰台をゲットしました。


この二人の「新星」、今後がとっても楽しみです。

それは、ジャンプやスピン、ステップなどの技術力の高さもさることながら、

観る者を惹きつける独特の「雰囲気」を持っているからです。

羽生結弦は、そのキリッとしたルックスが魅力の1つ。

戦国時代に生まれていれば、武田信玄か織田信長の寵愛を受けていたに違いない美少年です。

(「平成の森蘭丸」と呼んでもいいかも)

このまま成長すれば、髙橋大輔をも超える「氷上のエンターティナー」、

「日本のフィリップ・キャンデロロ」になれる資質は十分持っていると思います。

(ルックス的には「ジョニー・ウィアー路線」でしょうが、「高度な芸術的演技」路線という意味でキャンデロロにしました)

村上佳菜子は、とにかく雰囲気がエレガントで「まぶしい」。

当面は今回のNHK杯のような、「弾ける若さ」を前面に出した躍動的な演技で勝負していけばいいでしょう。

無理に大人びたプログラムにはせず、その「天然の輝き」をそのままリンク上で放ってもらいたいですね。

かのカタリナ・ビットは、18歳で出場した1984年のサラエボ五輪ではエレガントな可愛らしさで、

1988年のカルガリー五輪では妖艶な大人の魅力で、ともに金メダルに輝きました。

村上佳菜子にも、この「ビット・ステップ」で、来たるソチ五輪とそのあとを目指してもらいたいですね。


P.S. 今大会は浅田真央が「絶不調」でしたが、私はさほど心配はしていません。

今はこれまでの自分の演技を見直し、全面的にリストラ(再構築)している真っ最中のようだからです。

(建物でいえば、一度壊してまっさらにし、基礎から造り直している状態?)

どこをどう変えようとしているのかはわかりませんが、

あれほどジャンプでミスを連発したところを見ると、

相当に根本的な「自己変革」に挑んでいるのではないでしょうか。


しかしこういう彼女を見て、私は「えらい!」と思いました。

今の状態では、出場してもかなりメタメタの演技になってしまうことはわかっていたはずです。

彼女ほど実力も実績もある選手が、GPシリーズの、しかも母国の大会でそんな演技は見せたくなかったでしょう。

(マスコミもしつこく追及するでしょうし)

体面を気にして、もっと後の大会に出場を延ばしても不思議はありません。

しかし彼女は今自分が進んでいる路線を貫いて、

「50%の仕上がり」のジャンプをあえて跳び、

「未完成な今の自分」をさらけ出しました。

これは相当に勇気のいることです。


今彼女は、さらに大きな自分に脱皮するための「産みの苦しみ」を味わっているでしょう。

テレビ解説の八木沼純子さんがおっしゃっていた通り、「もうしばらく待ちましょう」。

そしていつしか、見事に脱皮した「ニュー・浅田真央」を見せてほしいものです。

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