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宗教と食べ物から考える健康投資|ネパールの食文化を教えてもらって気づいた「食べる」の奥深さ

「食べるものは、その人の好みだけで決まるわけではない。」

そんな当たり前のようで、普段はあまり意識していなかったことを、改めて考える機会がありました。

先日、ネパールの食文化について教えてもらいました。

日本で暮らしていると、「何が好き?」「何が苦手?」と食の話をするとき、味の好みやアレルギーをまず考えます。

けれど世界に目を向けると、そこには宗教や文化、家庭で受け継がれてきた習慣があります。

同じ食卓を囲むためには、栄養だけではなく、その人が大切にしているものを知ることも必要なのだと感じました。



宗教によって「食べる・食べない」が変わる

食べ物

宗教と食べ物は、とても深くつながっています。

例えば、ヒンドゥー教では牛を神聖な存在として大切にする考え方があります。
一方、イスラム教では豚肉やアルコールを避けるなど、宗教によって食に関する決まりや考え方はさまざまです。

ただし、

「この宗教だから、絶対にこれを食べない」

と単純に決めつけることもできません。

国や地域、宗派、家庭、その人自身の考え方によっても違います。

ここが食の難しさでもあり、おもしろさでもあると思います。

「ネパールの人だからこう」
「外国の人だからこう」

ではなく、

「あなたは何を大切にしていますか?」

と、その人自身を見ること。

食事を提供する側にとって、とても大切な姿勢だと思いました。

ネパールの食文化を知って感じたこと

ネパールと聞いて、私はカレーのような料理をぼんやりと思い浮かべるくらいでした。

今回話を聞いて印象に残ったのは、食事が単なる「栄養補給」ではなく、宗教や家族、暮らしと強くつながっていることです。

ネパールでは、豆のスープやごはん、野菜のおかずなどを組み合わせた「ダルバート」がよく知られています。

豆、野菜、ごはん。

管理栄養士として見ると、とても興味深い組み合わせです。

豆類からたんぱく質や食物繊維をとり、野菜からビタミンやミネラルを、ごはんからエネルギーをとる。

もちろん料理の内容や量によって栄養価は変わりますが、「昔から食べられてきた食事」には、その土地で暮らしていくための知恵が詰まっているのだと思います。

日本にも、ごはん、味噌汁、魚、豆腐、野菜の煮物といった食文化があります。

国は違っても、その土地で手に入る食材を使い、家族の健康を守るために食文化がつくられてきた。

そう考えると、食文化そのものが長い時間をかけてつくられてきた「健康投資」なのかもしれません。

「食べられない」には理由がある

病院で管理栄養士として働いていると、「食べられない」という言葉を聞くことがあります。

食欲がない。

飲み込みにくい。

アレルギーがある。

病気のため制限がある。

好きではない。

そして、宗教上の理由で食べない。

理由は本当にさまざまです。

だから私は、「食べない=好き嫌い」と簡単に判断してはいけないと思っています。

特にこれから、外国にルーツを持つ人と一緒に食事をしたり、地域のイベントやこども食堂などで食事を提供したりする機会は増えていくはずです。

そんなとき、

「せっかく作ったんだから食べて」

ではなく、

「食べられないものはありますか?」

と聞ける人でありたい。

ほんの一言ですが、それだけで安心して食卓に座れる人がいるのだと思います。

健康投資は「栄養の正解」を押しつけることではない

栄養

健康について発信していると、どうしても

「これを食べるといい」 「これは控えたほうがいい」

という話が多くなります。

もちろん栄養の知識は大切です。

でも、食事は栄養素だけでできているわけではありません。

思い出があり、宗教があり、文化があり、家族があり、その人自身の価値観があります。

どれだけ栄養バランスがよくても、その人が安心して食べられない料理なら、それが本当にその人にとって「よい食事」なのか。

今回ネパールの食文化を教えてもらいながら、そんなことを考えました。

健康投資というと、サプリメントを買ったり、オーガニック食品を選んだり、運動を始めたりすることを想像するかもしれません。

でも私は、

「自分とは違う食文化を知ること」

も、立派な健康投資だと思います。

知ることで、相手を尊重できる。

知らない食材に出会える。

料理の選択肢が増える。

そして、自分が当たり前だと思っていた食生活を見直すきっかけにもなる。

食卓から世界を知る

ネパールの食文化について教えてもらった時間は、単に外国料理について知る時間ではありませんでした。

「人は何を大切にして食べているのだろう」

と考える時間でした。

私たちは毎日食べます。

だからこそ、食卓にはその人の人生が表れるのかもしれません。

宗教が違っても、国が違っても、年齢が違っても、

「おいしいね」

と言いながら安心して一緒に食べられる場所がある。

私は、そんな食卓が好きです。

健康のために何を食べるかを考えることも大切。

でも時には、

「なぜ、その人はそれを食べるのか」 「なぜ、それを食べないのか」

まで少し想像してみる。

食について知ることは、人について知ること。

世界の食文化を知ることは、自分の食生活を豊かにしてくれる健康投資でもあります。

これからも私は、栄養だけではなく、その食べ物の向こう側にある文化や人の思いにも目を向けていきたいです。

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