高校中退だけど哲学者になりたい:哲学論文って何書けばいいの?
国際誌への投稿戦略の続きです。
僕が当初思っていた哲学
・当たり前の話を小難しく話している
・昔の偉人旧哲学者が述べたことをこねくりまわしている
・中2病の時に思う事(死とはみたいな)をいい大人が真剣に考えている
程度の話だと思っていました。
なので多分書ける!!!とか思っちゃったんですねぇ…
アホな僕がそう思っていただけなので、世間一般でも哲学とかの認識はそんなくらいのものではないか?
とは思わないですが、ガチ哲学ってなんぞや?は知らない人が多いと思います。
当然僕も知りませんでした。
しかし哲学誌に投稿する以上そこは最低コストとして勉強しないといけなかったのです。
哲学のスタイル・流派
まずは哲学を大きく分類したみた。
大陸哲学
欧州系。
現象学、実存主義、ポスト構造主義など。テキストと歴史性を重んじる。 「人生や社会を大きく語る派」。
読書感想文の超ハイレベル版に近くて、深く味わって解釈するタイプ。
中2病のテーマを大人が真剣に考えると大陸哲学か?
僕「大陸哲学って中2病であるあるの【死とは?】みたいなテーマを昇華した感じ?」
当たっている部分
扱うテーマはたしかに中2病と地続きです。死、不安、孤独、「自分はなぜ存在するのか」「世界には意味があるのか」みたいな、思春期に誰もが一度はこじらせる問いを、大陸哲学は正面から扱います。実存主義(ハイデガー、サルトル、カミュ)あたりは特にそうで、「死を意識することで人生が本物になる」とか「世界は不条理だ」とか、字面だけ見たら完全に厨二です。
はずれている部分
決定的に違うのは、感情で終わらせず“構造”を作るところです。中2病は「死とは……」と言って気持ちよくなって終わりますが、大陸哲学は「ではその不安はどういう仕組みで生まれ、人間の存在のどの構造に根ざしているのか」を、独自の概念装置で延々と分解していきます。むしろ文章は超難解で、エモいどころか乾いていて読みにくいことが多いです。
あと、大陸哲学=死や実存、というのも誤解で、中身はかなり幅広いです。現象学(意識の精密な記述、ほぼ実験ノートみたいなノリ)、構造主義(言語や社会のパターン分析)、フランクフルト学派(資本主義・メディア批判の社会理論)など、厨二要素ゼロの技術的・政治的な領域が大半を占めています。
これは書けないと悟った。
そもそも僕はちゃんとした中2病に罹患しなかったからこのあたりの基礎体力もないし何より興味が無い。
分析哲学
英米系。
論理と言語の明晰さを重視し、論証をパーツに分解して詰める。
哲学誌の主流。
ざっくり言うと「言葉と理屈をきっちり積み上げる派」。
数学の証明みたいに、一歩ずつ「だからこうなる」を丁寧にやるタイプ。
なんか時間を書ければかけそう…
僕「分析哲学は論証の積み上げだから素人でも時間を書ければある程度書けるのでは?」
当たっている部分(参入障壁が低い理由)
分析哲学は方法が透明なんですよね。前提→推論→結論が明示されていて、「なぜそう言えるのか」が表に出ている。大陸哲学のように「西洋思想史を全部読んでいる前提」の暗黙知ゲーではないので、狭く定義された一つの問題にピンポイントで参入できます。学歴や読書量の蓄積ではなく、論理の明晰さで勝負できる。だから理屈の上では、頭の回る素人が時間をかければ“形式上は”分析哲学っぽい論文を作れます。
罠の部分(時間だけでは超えられない壁)
ただ「積み上げ」という比喩が誤解を生みやすくて、実際にしんどいのは積み上げる作業そのものじゃないんです。難所は三つあります。
ひとつ目は、既存の対話の地図を把握すること。分析哲学は会話依存的で超細分化されているので、すでに誰かが指したのと同じ手を打つとデスクリジェクト。「この問題は今どこまで議論が進んでいて、どこが空いているか」を知らないと、いくら論理が綺麗でも蹴られます。
ふたつ目は、本当に新しくて守れる主張を一個見つけること。これは機械的な積み上げでは出てこなくて、むしろ発見・着想の勝負です。
みっつ目は、自分の論証の弱い前提を自分で見つけて潰すこと。査読者は最強の反論を突いてくるので、出す前に自分で自分の敵をやる必要がある。これがいちばん経験を要します。
え、なんでひとつ目、ふたつ目、みっつ目ってひらがなで書いたんだろ…
バカにしてんのか?とか思ったけどとりあえず専門用語既存の対話の地図が出たので聞いてみた。
僕「既存の対話の地図とは?」
分析哲学では、一つの問いをめぐって「Aが立場を出す→Bが反論→Aが修正→Cが別案……」という応酬が、何十年も積み重なっています。この応酬の連なり全体が「対話(dialectic)」で、その全体像が「地図」です。つまり、この問いに対して、今どんな立場が存在するのか
それぞれの立場に対する定番の反論は何か
すでに論破されて死んだ手はどれか、まだ生きている論点はどれか
誰がどの「名前のついた議論」を提唱しているか
——こういう“議論の現在地”を指します。
具体例(認識論の定番)
「知識とは何か」という問いを考えてみます。古典的には「知識=正当化された真なる信念(JTB)」とされてきました。ところが1963年にゲティアという人が、JTBを満たすのに知識とは呼べない反例を出して、この定義を壊しました。以後、「偽の前提を含まない」という条件を足す案、信頼性主義、徳認識論……と修正案が延々と続いています。
ここで地図を知らない素人が2026年に「知識とは正当化された真なる信念である」という論文を書いて投稿すると、論理がどれだけ綺麗でも一発デスクリジェクトです。「60年前に終わった話を、その後の議論を知らずに蒸し返している」とみなされるからです。これが「地図を持っていない」状態の典型的な失敗です。
JTBってじっと立ってる馬鹿でも旅行会社のほうでも無いってのはわかるけど聞いたら面倒なので放置。
分析哲学ならいける気がする
Claude大先生の回答を僕の圧倒的な解像度をもって解釈するとこうなる。
分析哲学は新規性があればOK
新規性+論証の強度さえあればいいのだからなんとかなる。
大陸哲学はClaude先生に色々教わったけど小説家の仕事に思えたのでとりあえず違う。
哲学の分野・テーマ
一応分野があるらしい。
【形而上学】
世界の根本的なあり方。存在とは何か、因果、時間、自由意志など。
「そもそも世界ってどうなってるの?」を考える。
「自分の選択って本当に自由?それとも全部決まってる?」みたいな問い。
例:おじいちゃんの木造船を、壊れるたびに板を1枚ずつ新品に交換していった。やがて元の板は1枚も残っていない。これは「同じ船」と言える?(テセウスの船)
【認識論】
知識とは何か、どうすれば「知っている」と言えるか。
「それ、ホントに知ってるって言える?」を考える。
「夢じゃないって証明できる?」みたいなやつ。
例:止まった時計をチラ見して「今3時だ」と思った。たまたま本当に3時だった。これって「知っていた」と言える?それともただの偶然?
【倫理学】
何が善で正しいか。メタ倫理・規範倫理・応用倫理に分かれる。
「何が良いことで、何が悪いこと?」を考える。「嘘は絶対ダメ?人を助けるための嘘でも?」みたいな話。
例:暴走するトロッコがこのままだと5人をひく。レバーを引けば進路が変わって、別の1人だけがひかれる。あなたはレバーを引く?
(トロッコ問題)
【論理学】
正しい推論の形式そのものを研究する。
「その理屈、ちゃんと筋通ってる?」を調べる。
話のすり替えやごまかしを見抜く道具づくり。
例:「カラスは黒い。この鳥は黒い。だからこの鳥はカラスだ」——一見もっともらしいけど、黒いものはカラス以外にもいる。どこで論理が壊れてる?
【心の哲学】
意識、心と脳の関係、心的状態とは何か。
「心ってどこにあるの?脳みそだけ?」を考える。
「AIは本当に心を持てる?」みたいな問いもここ。
例:見た目も反応も人間そっくりで、つねれば「痛い!」と言うロボットがいる。でも中身は本当に痛みを感じてる?それとも“感じてるフリ”をしてるだけの空っぽ?
【言語哲学】
意味、指示、言葉と世界の関係。
「言葉が意味を持つってどういうこと?」を考える。
「『りんご』という音が、なぜあの果物を指せるの?」みたいな話。
例:もし明日から世界中で、犬のことを「ねこ」と呼ぶと全員が決めたら、犬は「ねこ」になる?言葉とモノの結びつきは、誰がどう決めてるの?
【科学哲学】
科学的知識の正当性、理論とは何か、説明とは何か。
「科学ってなんで信じていいの?」を考える。
「占いと科学は何が違う?」を真剣に問うジャンル。
例:占いも科学も「予測」をする。違いは外れたとき。科学は「理論が間違っていた」と認めて捨てるが、占いは「星のめぐりが…」と言い訳できる。“間違いを認められるか”が境界線。
【政治哲学】
正義、自由、権力、国家の正統性。
「どんな社会がフェアなの?」を考える。
「みんなで平等にするのと、頑張った人が得するの、どっちが正しい?」みたいな話。
例:もし自分が将来「金持ちか貧乏か」まったく分からない状態でルールを決めるとしたら、どんな社会にする?(ロールズの「無知のヴェール」)
【美学】
美とは何か、芸術の価値。
「キレイ・かっこいいって何で決まるの?」を考える。
「これはアート?それともただの落書き?」を問うやつ。
例:市販の便器をそのまま美術館に置いただけの作品が、美術史に残る名作とされている。ただの便器と「芸術」を分けているものは何?
(デュシャン『泉』)
【哲学史】
カント、ヒューム、アリストテレスら過去の哲学者の解釈。
「昔の天才たちは何を考えてた?」を読み解く。
過去の哲学者の“取扱説明書”を書く仕事。
例:2000年前のアリストテレスが書いた「幸福とは何か」を、現代の言葉で正確に読みほどく。古文を現代語訳するように、昔の天才の頭の中を翻訳する作業。
【応用哲学】
生命倫理・AI/技術の倫理・環境倫理・研究倫理など倫理学から派生して、実務的トピックに哲学を当てるジャンル。
「現実の難しい問題、どう判断する?」を考える。
「延命治療はどこまでやるべき?」みたいな、ニュースに出てくる悩ましい話。
例:自動運転車が事故寸前。直進すれば歩行者5人、ハンドルを切れば運転手1人が犠牲になる。車のプログラムはどちらを選ぶべき?——トロッコ問題が現実になったケース。
【メタ哲学】
哲学そのものを対象にする哲学。
哲学とは何か、どんな方法が正しいのか、そもそも何を証明できるのか、を問う。「哲学って結局なにをしてるの?」を、哲学で考える。
世界ではなく“哲学という営み自体”を一段上から眺めるジャンル。
例:トロッコ問題で「こう感じる」という直感を、そのまま論拠に使っていいの? 直感が人によって違ったら、どっちが正しいの?——「哲学者がよく使う“直感”は、本当に証拠になるのか」を問い直すのがメタ哲学。
どのテーマで戦うか?
これー、最初に調べて思った感想は…
自分の知人友人が話してたらお前どうしちゃったの?って聞きたくなるような話だという事。
めんどくせぇやつ
これだ!哲学者はもしかしたらめんどくせぇやつなのかもしれない…
形而上学はなぞなぞみたいで面白そう。
認識論は認識した時点でもう回答が出てるのに何言ってんだ?
倫理学は道徳の授業を履修(小学生)した僕はわんちゃんわかりそうだけど深堀出来るか謎。
論理学はなんか出来そう
心の哲学…これはAI関連っぽいネタで書けそうだけど新規性があるかやな
科学哲学は僕に科学的知見がないから多分無理
政治哲学もいけそう
美学は芸術とかわからないのでパス
哲学史はなんかもうさんざん読み解いたんじゃないの?調べてもないけどレッドオーシャンだろ
応用哲学…これは…使えそうだし、身近なテーマっぽいし書けそうだし応用ってあるしこの中で一番かっこいい…
メタ哲学はめんどくさいの2乗だから無理だぁ…
みたいな印象でした。
そんな感じで僕は哲学者への道を歩み始めました。
そして結論から言えばQ1哲学ジャーナルに論文は採択されます。
つづく
