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女性医師の方が患者が死なない?外科医が論文4本を読み比べた

Xでまた「女性医師の方が患者の死亡率が低い」が燃えている。「女性医師は優秀」と「条件が違うだけ」の二択。

外科医として、この手の議論にはずっと居心地の悪さがあった。だから今回、話題の元論文と、その後に出た関連研究を合わせて4本読んだ。同じ研究グループが出した4本を並べると、Xの議論とはまったく違う景色が見えてくる。

4本の論文

内科の原点(2017年)

津川友介氏らが、米国メディケア(65歳以上の公的医療保険)の内科入院患者約158万件を分析した論文。2017年にJAMA Internal Medicineに掲載された。

女性医師の担当患者の調整後30日死亡率は11.07%。男性医師は11.49%。差は0.43ポイント。重症度、患者背景、病院特性で調整しても差は残った。ホスピタリストに限っても同じ。

ホスピタリストは米国で定着している病院総合内科医のことで、シフト制で入院患者を受け持つ。誰がどの患者を担当するかは勤務スケジュールで決まるため、患者の割り振りが準ランダム化される。「女性医師が軽症患者ばかり選んでいる」という交絡が起きにくい仕組みになっている。日本にはこの制度がほぼ存在しないので、この研究の前提自体が日本の病院とは異なる。

疾患別だと、敗血症で約2ポイント差。肺炎や不整脈でも有意差あり。心不全、尿路感染、消化管出血では有意差なし。疾患によってバラつく。

ここで、論文のTable 1に載っていてXでは誰も触れない数字がある。年間受持患者数。女性医師は平均131.9件、男性医師は180.5件。約1.4倍。

患者の性別で分けた追試(2024年)

同じグループの宮脇氏・津川氏らが2024年にAnnals of Internal Medicineに出した追試。2016〜2019年のデータで、ホスピタリスト限定。今度は患者の性別ごとに分けている。

女性患者では、女性医師担当の死亡率8.15%、男性医師担当8.38%。差は0.24ポイントで有意。男性患者では10.15%対10.23%。差は0.08ポイント。有意差なし。

女性医師の優位性は、女性患者でだけ明確に出る。

外科に広げた(2022年・2023年)

Wallis氏らがカナダ・オンタリオ州の132万手術患者を対象にした外科の研究。脳外科、心臓外科、整形外科など9領域、21種類の手術を含む。

2022年の論文で、最も予後が悪かったのは男性外科医+女性患者の組み合わせ。死亡・再入院・合併症の複合アウトカムでaOR 1.15。女性外科医+男性患者ではaOR 0.99。差なし。

2023年の長期追跡では、女性外科医の患者は90日でも1年でも死亡率が低い。男性外科医の死亡aORは1.25。

僕自身の領域である脳外科のデータも含まれている。男性外科医+女性患者の死亡率1.2%、女性外科医+女性患者は0.9%。

4本目:外科の米国追試(2023年、BMJ)

ここが核心になる。

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