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元栓は誰が握るか 〜Pacing the Frontierと四日前の署名〜

今日、8月1日は期限当日だ。六月の大統領令が定めた、フロンティアモデルの事前関与に関する自主的な枠組みを確定させる日にあたる。その四日前、企業の中の人間たちが別の紙を出した。

六月、僕は二本の記事を書いている。6月2日の大統領令が「ザル」である理由について。その三日後の覚書NSPM-11が、実は元栓を政府が握るための文書だったという話について。七月末に出たこの署名は、その延長線上にある。


数字は動いていた

7月28日、火曜日。「Pacing the Frontier」という短い声明が専用サイトで公開された。OpenAI、Anthropic、Google、Metaなどの従業員が署名した。

報じられた署名者数は、媒体によって違う。公開直後は1,132〜1,134人。翌日には1,178人。7月29日時点では1,268人という報道もある。内訳はAnthropic533人、OpenAI330人、Google191人、Meta62人。数字が揺れているのは誤報ではない。このリストは生きていて、在職確認済みの署名を公開後も受け付け続けている。オープンな請願ではなく、内部関係者だけのリストという設計だ。

Anthropicからの署名が、他社を大きく上回っている。人数比で見るなら、この声明はAnthropic発の色が濃い。

四日前

要求は一文に絞られている。米国政府は、自動化されたAI開発の最前線を意図的にペース調整するために必要な技術的・ガバナンス上のツールを開発する国際的努力を支援すべきだ。

一時停止を求めてはいない、と署名者側は明記している。求めているのは、ペースを調整するという選択肢が存在すること。今すぐ使う道具ではなく、いつか使えるかもしれない道具を、今のうちに作っておいてほしいという要求だ。

道具の設計図は、実はすでに出ている。6月10日、アモデイは自ら政策文書を公表し、FAA型の規制機関を提案していた。一定の計算資源を超えるモデルには第三者の強制テストを課し、政府がリスクを容認できないと判断すれば配備を止められる権限を持たせる案だ。34日後の7月14日、Google DeepMindのハサビスが業界資金による自主規制団体、FINRA型を対案として出した。OpenAIのアルトマンも7月、金融時報への寄稿でIAEA型の国際的な審査機関を呼びかけている。三大ラボのトップが、この一か月半ほどの間に相次いで同種の文書を出していた。

一致しているのは、独立審査・対象を最先端モデルに絞ること・公的監督・米国主導の国際協調という診断だ。割れているのは、政府が最終的な拒否権を持つかどうか。アモデイは持たせるべきだと言い、ハサビスは業界の自主規制で足りると言っている。

Pacing the Frontierの署名は、この論争のすぐ隣に出ている。1,000人を超える従業員が求めた「ペース調整の選択肢」を、その企業のトップ自身は、すでに具体的な制度として提案していた。抽象的な要求に見えて、設計図はすでに机の上にある。

公開から数時間のうちに、OpenAIとAnthropicが企業として正式にこの声明を支持した。直近まで人材、計算資源、顧客を奪い合ってきた二社が、同じ紙に名前を並べた。

そしてこの公開日は、大統領令が定めた期限のわずか四日前だった。四日前というタイミングが偶然かどうかは分からない。ただ、期限の直前に出たという事実だけは動かない。

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