朝日新聞「白紙委任状ちょうだい!」は捏造か〜カギ括弧の罪〜
高市首相が「白紙委任状ちょうだい!」と発言した事実はない。
1月24日、朝日新聞にこんな見出しのコラムが載りました。「大義なき衆院解散 高市首相の『白紙委任状ちょうだい!』は許されぬ」。書いたのは編集委員の高橋純子氏。
首相官邸サイトで会見全文を読んでも、そんな発言は出てこない。
カギ括弧の意味
本文を読めば、これは高橋氏の解釈だとわかります。首相の姿勢を「白紙委任状ちょうだい!」という比喩で表現したもの。コラムで自分の意見を述べるのは自由です。
問題は見出しにカギ括弧をつけたこと。
カギ括弧は直接引用を示す。普通の読者はそう受け取ります。SNSでは見出しだけが流れていく。本文まで読む人は少ない。「高市首相がそう言った」と誤解されても不思議じゃない。
批判したいなら正面からやればいい。「高市首相の解散は白紙委任を求めるに等しい」と書けばいい。なぜ、言ってもいない言葉をカギ括弧で囲むのか。
高市首相は何と言ったのか
実際の会見での発言はこうです。
「なぜ、今なのか。高市早苗が、内閣総理大臣で良いのかどうか、今、主権者たる国民の皆様に決めていただく、それしかない」
そして30分近くにわたり、経済政策、安全保障、エネルギー、食料安全保障、憲法改正など、具体的な政策を語っている。「白紙委任」どころか、むしろ政策を詳細に説明した会見でした。
賛否はあるでしょう。でも「白紙委任状ちょうだい」とは言っていない。
「エビデンス?ねーよそんなもん」の人
高橋純子氏には前歴があります。
2017年、著書『仕方ない帝国』の中でこう書いた。
「読者の思考をちょっとでも揺さぶりたい。(中略)だけど、そこを曲げたら私のなかで何かが終わる。何かは何か。何かとしかいいようがない、何か。エビデンス? ねーよそんなもん」
文脈としては「自分の中の違和感にエビデンスはない」という意味です。報道でエビデンスを出さないという話ではなかった。
ただ、同じインタビューで彼女はこうも語っている。
「欺瞞を正面から論破するのは難しい。だから『なんか嫌だ』『どっか気持ち悪い』などといった自分のモヤモヤした感情をなんとか言葉にして読者に伝えないと、権力に対峙したことにならない」
論破ではなく感情を伝える。それがこの記者のスタンスらしい。その人物が今回、発言していない言葉をカギ括弧で見出しにした。 感情を伝えたいあまり、事実との境界が曖昧になっていないか。
東京新聞の教訓
つい今月、東京新聞が似たような問題を起こしています。
元日のコラムで特別報道部長が「『中国なにするものぞ』『進め一億火の玉だ』『日本国民よ特攻隊になれ』。ネット上には、威勢のいい言葉があふれています」と書いた。
ところが、引用されたXの投稿を検証すると「対立をあおる意図で使われているとはいえず、引用に適したものではありませんでした」。東京新聞は1月8日に記事全文を削除、謝罪しました。
「冒頭部分が誤りである以上、コラムとして成立しなくなる」。東京新聞自身がそう認めている。朝日新聞は見ていなかったのでしょうか。
時代が変わった
昔なら通用したのかもしれません。新聞が書けばそれが事実として流通した時代なら。
今は違う。首相会見の映像は官邸サイトで誰でも見られる。元ソースに当たれる。おかしいと思えばすぐ検証され、SNSで拡散される。
それでもこういう見出しをつけるところに、旧態依然とした体質が出ている。
自分たちが世論を作れると思っているのか。読者を舐めているのか。
結局、記事の中身がどうであれ「朝日がまた捏造した」という話になって終わり。批判したかった相手より、自社の信頼を削っている。選挙直前にこれをやる神経もわからない。
メディア不信を自分で高めてどうするのか。
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