副首都は通った 次は椅子の値段の話だ
副首都法が成立した翌日、高市首相は内閣改造と党役員人事の検討に入った。実施は8月か9月、秋の臨時国会の召集日程をにらんで調整するという。複数の政権関係者の話として、共同通信などが伝えている。維新からの入閣も、その中に織り込まれている。
法律が通った翌朝には、もう次の話が始まっていた。誰がどの椅子に座るか、である。
通り方をもう一度
7月24日の成立は、正面からの可決だった。衆院の3分の2による再可決ではなく、参院で123対121。無所属を固めて過半数ちょうどに乗せた。
決め手は付帯決議の一行だった。野党が問題にしたのは、大阪都構想の住民投票と統一地方選の同日実施である。付帯決議案には当初「やむを得ず重複する場合」という逃げ道が残っていた。自民の磯崎参院国対委員長が立憲の斎藤国対委員長と断続的に協議し、最終的にこの「やむを得ず」のくだりを削ることで折り合った。折れたのは維新ではなく、窓口に立った自民である。斎藤は「正々堂々と反対」と述べ、採決に応じたうえで反対票を投じた。付帯決議は採決に着くための入場料であって、成立を認めた合図ではなかった。
逃げ道は、削られる前に一度、維新自身の口から語られている。委員会で立憲の鬼木誠が同日実施をしないよう求めたのに対し、維新の岩谷良平衆院議員は「やむを得ず重複する場合」に自ら言及した。鬼木は「維新としては、同日選挙を行いたいと意思表明をされたのと一緒だ」と切り返した。
そして成立から数時間後、吉村代表は都構想の住民投票を統一地方選と同日に実施することを目指すべきだと述べた。付帯決議の主旨は尊重するとしつつ、同日を目指す考えに変わりはないと。玉木国民民主代表は「国会軽視も甚だしい」と反発した。付帯決議には法的拘束力がない。委員会答弁と成立当日の会見、その両方から、削られたはずの逃げ道が語り直されている。
ただし、その日に示された国会の意思は、付帯決議だけではない。同じ24日の特別委では、公明と国民民主が提出した同日選挙実施禁止法案(特別区設置法の改正案)が採決され、賛成少数で否決されている。同日実施を「重複しないよう最大限調整する」とうたう付帯決議が採択される一方で、同日実施を明文で禁じる法案は否決された。二つの意思が、同じ日に並び立っている。吉村はここを突く。同日実施を禁止する法案が否決されたのだから、禁止する方こそ国会の意思に反する、という反論である。付帯決議への裏切りだという批判と、否決された禁止を持ち出すなという反論が、どちらも「国会の意思」を根拠に立つ。付帯決議という器の軽さは、こういう形でも表に出る。努力目標は残り、明文の禁止は葬られ、拘束するものは何もない。
払ったように見えて、実損はない。ここまでが前提だ。
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