すべてのコインは一緒ではない 〜胴元のいない賭場、ビットコイン〜 仮想通貨とは第5稿
前回、コインの胴元の話をしました。ほぼゼロコストで刷った持ち分が本当の取り分で、暴落は仕様として設計書に書いてある。
すると当然、こう思うはずです。だったら全部のコインがいずれ地を這うのではないか。仮想通貨なんて、結局ぜんぶ同じ穴の狢ではないか。
僕も長いことそう思っていました。この「全部一緒」が、たぶん仮想通貨をめぐる誤解のなかで、いちばん流通しているものです。批判する側も、擁護する側も、同じ雑さで一括りにする。今回は、この括りをほどきます。
値段を支える四本の柱
第1回で書いたとおり、コインには請求権がありません。その一点では、確かに全部一緒です。
ただ、請求権の代わりに何が値段を支えているか、で見ると、コインは四つに割れます。
一つ目、モノの裏付けで支えるコイン。ドルなどの資産を金庫に積み、その預かり証として発行される型です。値段が動かないよう設計されていて、投機の対象ではなく、送金や退避の道具として使われる。ただし、この型も金庫の中身次第です。裏付けの資産を積まず、仕組みの工夫で代替しようとした型が音を立てて崩れ、数兆円が数日で消えた例が、実際にあります。預かり証の安全は、預かっている中身までしか届きません。
二つ目、使い道で支えるコイン。あるネットワーク上で手続きを動かすには、その手数料を専用のコインで払うしかない、という型です。使うために要る、という実需が買いの底にある。
三つ目、物語と胴元のコイン。前回まで解剖してきた型です。発行体が刷り、物語で値段を作り、出口へ向かう。
そして四つ目。胴元がいないコイン。発行体が存在せず、誰の持ち分でもなく、誰も出口を握っていない型。ビットコインです。
前回の設計書の読み方を思い出してください。運営が何割握るか、鍵はいつ外れるか。ビットコインには、この設計書の読み方が適用できません。読むべき「運営の配分」が、そもそも存在しないからです。
ここから先は
よろしければ応援お願いします!チップはnote更新用のPC購入費用に当てる予定です。よろしく!
