観測手帳|SNS参与観測編②
「アルゴリズムは、人間を少しずつ変えていく」
人は、褒められる方向へ寄っていく。
これはたぶん、昔から変わらない。
学校でも、会社でも、SNSでも。
昔いた職場では、「すぐ動く人」が評価
されていた。
しばらくすると周囲も、考える前に動くようになっていく。
別の場所では、「空気を乱さない人」が好まれた。
すると今度は、正しいことより、波風を立てないことが優先され始める。
人は、環境に合わせて少しずつ形を変える。
たいてい、気づかないうちに。
SNSも、似ている。
強い言葉が伸びる場所では、強い言葉が増える。
怒ったほうが広がるなら、怒り方が洗練
されていく。
短く、鋭く、敵と味方が一目で分かる言葉。
そういうものほど、遠くまで飛びやすい。
急に性格が悪くなったわけではない。
ただ、その話し方のほうが”通る”。
だから人は、少しずつそちらへ寄っていく。
最近、Xのアルゴリズムが変わった、という話を見かけた。
もし本当に——「怒らせる」だけでなく、
・長く読む
・続きを見る
・フォローする
・またここへ戻ってくる
そういったものを重視し始めているなら。
今度は、別の適応が静かに始まるかもしれない。
少し長く読まれる人。
すぐには分からなくても、なぜか記憶に残る人。
強く断定しないのに、もう少し聞いて
いたくなる人。
そういう人が、少しずつ増えていく——かもしれない。
アルゴリズムは、投稿を並べる仕組みではない。
何を評価し、何に報酬を与えるか。
その設計が、人の話し方を、振る舞いを、じわじわと変えていく。
静かに。気づかないほど、ゆっくりと。
(2026/5/16執筆)
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