観測手帳|SNS参与観測編⑤
「違和感は、たぶん入口だった」
長く同じ場所にいると、最初は気になっていたことが、だんだん気にならなくなっていく。
この言い方、少し怖いな。
この空気、なんだか息苦しいな。
なんでみんな、こんなに強く言うんだろう。
最初は、ちゃんと違和感がある。
でも人は、慣れる。
慣れないと疲れてしまうから。だから少しずつ、身体のほうが環境に合わせていく。
昔、ある職場で。
怒鳴り声が飛ぶたびに、毎回びくっとしていた人がいた。
でも数ヶ月すると、その人も普通に働いていた。
急に冷たくなったわけじゃない。ただ、そこに適応した。生きるために。
SNSも、似ている。
最初は、強い言葉に驚いていた。
でも毎日見ていると、少しずつ感覚が変わっていく。
怒り、断定、嘲笑、切り抜き——いつの間にか、それが”普通の速度”になっていく。
環境に適応すること自体は、悪ではない。
人はそうやって生き延びてきた。
ただ。
適応しすぎると、最初に感じていた違和感まで、一緒に失ってしまうことがある。
観測というのは、たぶん、何か特別な能力じゃない。
最初に感じた小さな違和感を、完全には手放さずに持ち続けること——なのかもしれない。
だから、少し疲れている時ほど。
「なんか変だな」と思った感覚を、すぐに打ち消さないほうがいい。
その違和感が、まだ自分の感覚が残っている、ということだから。
(2026/5/16執筆)
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