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5003年 5月11日

「強い人と、離れない人」


夕方だった。


駅前の居酒屋から、

仕事帰りの人たちが出てきていた。


みんな、

少し疲れた顔をしていた。


でも、

楽しそうだった。


風は少し暖かかった。


春も、

そろそろ終わりみたいだった。


私はコンビニで、

缶コーヒーを買った。


後ろで、

誰かが話していた。


「あの人、本当に仕事できるよな。」


別の人が言った。


「うん。」


少し間があった。


「でも、なんか疲れる。」

みんな少し笑った。


私は昔のことを思い出した。


ずいぶん前。


とても強い人がいた。


決断が早くて。

頭が良くて。

やることも、だいたい当たっていた。


みんな、

その人を見ていた。


ついて行けば、

勝てる気がしたから。


でも、

別の人のところにも、

人が集まっていた。


その人は、

そんなに強そうには見えなかった。


話を聞いて。

待って。

困っている人を、なかなか見捨てなかった。


不思議だった。


勝つなら、

強い人の方だと思ったから。


でも、

離れない人は、

そっちの方が多かった気がする。


駅前の信号が変わった。


人の流れが、

少しだけ動いた。


昔、

強い人と、

離れない人がいたんだけどね。


どちらも、

たくさん人を集めていた。


私は少し考えて、

缶コーヒーを飲んだ。


人間、

勝ちたいだけでもないみたい。


(5003/5/11執筆)


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