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【実測比較】外壁塗装の12年周期は逆 1棟RCで340万取る

若先生から、台風6号が関東を抜けた翌朝、写真つきのLINEが届きました。

「先生、うちの1棟目、南面のバルコニー側だけ塗膜が波打ってます。管理会社に見せたら『まだ築14年なので、次の12年周期の大規模修繕まで様子見でいいですよ』と。見積は600万円と言われました。待つべきですか」

診断から言いましょう。待ってはいけません。断言します。その「様子見」は、あなたのためではなく『足場代をもう一度計上したい側』の都合です。私は自分の1棟RC(築22年)で4社に相見積を取り、総額の差が340万円出ました。同じ建物、同じ面積、同じ月です。2026年8月時点の記録として、その全部を出します。

12年周期」という数字を、あなたはどこで知りましたか。管理会社の提案書ですか。それとも、塗料メーカーのカタログですか。——ここに、誰も教えてくれない構造があります。

【この記事でわかること】
1. 台風の翌朝にだけ露見する、塗膜劣化の「3つのサイン」
2. 管理会社が12年周期を勧める、足場代の再計上という裏側
3. 私の1棟RCで実際に出た、4社相見積の総額差340万円の内訳
4. 日本ペイントのフッ素とシリコン、耐用差12年の損得計算
5. 資材高騰下で「待つほど年60万円増える」構造の計算式
6. 前倒しが得になる分岐点の判定手順(有料パート)
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🌀 台風の翌朝にしか見えない、塗膜劣化の3サイン

結論から言います。塗膜の寿命は、晴れた日には診断できません。

これはレントゲンと同じです。骨折は、体重をかけた瞬間にしか痛まない。外壁も、横殴りの雨という荷重がかかった直後にだけ、内部の破断が表面に出てきます。だから私は、台風通過の翌朝を『年に一度の無料検査日』と呼んでいます。業者を呼ぶ必要も、足場を組む必要もない。スマホ1台で撮れます。

見るべきは3つだけです。

・雨染みの「垂れ方」— 均一に濡れて均一に乾く面は健全です。特定の縦筋だけが濃く残り、周囲より乾きが2時間以上遅れる面は、塗膜が水を吸っています。
・チョーキングの「流出跡」— 壁を触って白い粉がつくのは有名な話ですが、本当に見るべきは台風後です。粉が雨で流され、基礎部分に白い帯が残っていたら、それは塗膜の樹脂が既に崩壊している証拠。
・シーリングの「口の開き」— サッシ周りの目地が、雨を吸って膨らんだ直後に痩せます。台風翌日と1週間後の同じ場所を撮り比べると、動きが分かります。

若先生の写真、南面だけ波打っていましたね。あれは典型的です。西日と南面は紫外線の積算量が北面の約2.4倍。同じ建物でも、面によって塗膜の年齢は違うんですよ。

同じ場所を同じ角度で撮り続けないと、この「劣化の速度」は比較できません。手持ちで毎回微妙に角度がずれると、後で見返したときに「気のせい」で片付けられてしまう。スマホ用ミニ三脚 コンパクト なら1,500円前後で、玄関に置いておけば台風翌朝に手に取るだけで済みます。角度が固定できれば、3年後の比較写真がそのまま業者への説明資料になります。

💡今日できる1アクション:次の台風・大雨の翌朝、自分の物件の4面を同じ時刻に撮影して、日付フォルダに入れておく。これだけで3年後に「劣化の速度」が分かる資料になります。

🏗️ 管理会社が「12年」と言い続ける、本当の理由

ここからは、書いたら少し角が立つ話をします。

12年周期」という数字の出どころは、国土交通省の長期修繕計画ガイドラインです。分譲マンションの管理組合が積立金を設計するための、あくまで『会計上の目安』。塗料の物理的な寿命そのものを指した数字ではありません。ここが最初の誤診です。

では、なぜ管理会社はこの数字を賃貸オーナーにまで当てはめるのか。

——ああ、それは足場です。あなたを診てはいない。

外壁塗装の見積で最も大きい単一項目は、塗料ではなく足場代なんですよ。私の1棟RC(4階建・延べ床618平米)の場合、足場の仮設・解体・メッシュシートで198万円。総額の約3割です。塗料代は実は全体の2割弱しかない。

つまり工事側から見ると、こうなります。足場を1回組むごとに約200万円の売上が立つ。だから「塗装は12年周期」「防水は10年周期」「鉄部は5年周期」と項目ごとにバラバラの周期を提案し、足場を『何度も組み直す』設計にした方が、受注総額は増える。同じ足場の期間内に全部やってしまうと、次の足場代がしばらく立たないわけです。

私は2019年、この提案書をそのまま鵜呑みにして、屋上防水と外壁塗装を3年ずらして発注しました。足場を2回組んだ結果、余計に払ったのが186万円です。あのときの私は誤診をしていました。当時の担当者を恨む気はありません。彼は自社の商品を売っただけです。診断していなかったのは、オーナーである私の方でした。

ここで一つ、地味ですが効く道具の話をします。管理会社や業者との商談は、その場で全部を覚えていられません。「様子見でいい」と言われた根拠、「12年周期」の出どころ、その場では聞き流しても、後で確認しようとすると記憶があいまいになる。小型ICレコーダー 議事録用3,000円台から買えて、机に置いておくだけです。「言った覚えはない」を防ぐ1台だと思えば、迷う値段ではありません。

⚠️ここが分かれ目 ⚠️——足場が組まれている期間は、あなたにとって「高所作業が実費0円でできる唯一の窓」です。この窓を何回開けるかで、生涯の修繕費は変わります。

💰 4社相見積で340万円の差 その内訳を全部出します

数字を出しましょう。2026年3月、私の1棟RC(築22年・4階建・塗装対象面積962平米)で取った4社の見積です。

最高値と最安値の差が340万円。しかも安い方が塗料グレードは上で、保証も長い。

なぜこうなるか。A社は管理会社の紹介です。紹介手数料が乗っている。私が後で確認した限り、この業界の紹介マージンはおおむね総額の15〜25%782万円のうち、130万円前後は『紹介されたことの対価』でした。

そしてもう一つ。A社だけが塗料をシリコンで組んでいた。ここが本当に、泣くほど悔しかった部分です。

現地調査に4社来てもらうと、誰が何を言ったか必ず混ざります。私は業者ごとに1ページと決めて、その場でメモを取るようにしています。使っているのはコクヨ測量野帳(スケッチ)です。1冊500円ほどで、硬い表紙のままポケットに入るのがちょうどいい。現場に来た業者は「この人は比較している」と分かった瞬間、出す数字が変わります。

🎨 フッ素とシリコン 耐用差12年をどう金額に直すか

若先生に必ず聞かれるので、先に答えます。塗料は「1平米あたりの単価」で比べてはいけません。『1平米・1年あたり』に割り戻してください。

日本ペイントの主要グレードで、私が実際に見積書で提示された数字がこれです。

見てください。年あたりで割ると、シリコン以上はほぼ横並びになります。単価が倍近く違うのに、です。

ではフッ素を選ぶ意味はどこにあるか。塗料代ではありません。『足場を組む回数』です。

962平米の建物で、シリコン(13年)なら22年間に2回足場が要る。フッ素(20年)なら1回で済む。足場1回=176万円。この差だけで176万円。年あたり単価が同じなら、耐用年数の長い方を選ぶのが常に正解になる——これが、塗料カタログには書かれていない計算式なんですよ。

ただし条件があります。建物の残存年数が塗料の耐用年数を下回るなら、フッ素は過剰投資です。築40年の木造アパートに20年もつ塗料を塗っても、建物の方が先に終わります。ここを間違えると、丸ごと捨て金になる。

📈 待つほど年60万円増える 資材高騰下の逆算

「じゃあ、あと4年待って12年周期に合わせればいいのでは」

若先生、焦らないのはいいことです。でも、この4年は待つほど高くなる4年です。

私が2019年に取った見積と、2026年3月の見積を同じ条件で比べます。同じ建物、同じ面積、同じフッ素塗装です。

2019年時点の同条件見積:349万円
2026年3月の実見積(D社):442万円
7年間の増加:93万円(年平均13.3万円、年率+3.4%)

このうち内訳を分解すると、塗料自体の値上がりは18万円。残り75万円『足場の鋼材価格』『職人の人件費』です。

さらに私が業者から直接聞いた話を書きます。2026年に入ってからの見積単価上昇は、塗装工の日当が主因です。関東の塗装職人の日当は2019年16,000円から2026年23,500円へ。約1.47倍。この上昇は資材と違って下がりません。人は輸入できないからです。

現在の上昇ペースを私の物件規模(962平米)に当てはめると、待機1年あたりのコスト増はおよそ60万円4年待てば240万円です。

一方、4年前倒しで塗り替えると何を失うか。まだ使えたはずの塗膜の残存価値です。フッ素20年のうち4年分を捨てるとして、442万円 ÷ 20年 × 4年 = 88.4万円

240万円88.4万円。前倒しの方が151.6万円得です、私の場合は。

この手の逆算は、電卓を叩きながらやると腹落ちします。私は数字を打ち間違えて自分の計算に自信をなくす、という事故が何度かあったので、今は大画面で見やすい電卓を机に置いています。2,000円程度ですが、桁の見間違いがなくなるだけで、業者の前で数字を出す速度が変わります。

━━ ここが今回の結論 ━━
資材と人件費が年3%以上で上がる局面では、修繕は『待つ』ほど高くつく資産です。デフレ期の常識が、そのまま逆転しています。

🔍 「取り切る」とはどういう意味か

もう一つ、前倒しには税務上の理由があります。ここは高属性のあなたにこそ効きます。

外壁塗装は、内容によって『修繕費(その年に全額経費)』『資本的支出(減価償却で分割)』に分かれます。同じ442万円を使っても、前者なら今年442万円を落とせる。後者なら建物の残存年数で割って、年30万円ずつしか落ちない。

この差は、課税所得の高い年ほど大きく効きます。若先生のように給与2,000万円弱で不動産所得が乗っている状態なら、限界税率は約50%442万円を一括計上できれば、手残りの差は理論上200万円超になります。

ただし『修繕費で落とせるかどうか』は、工事内容と見積書の書き方でほぼ決まります。ここを業者任せにすると、「グレードアップ工事」と書かれた瞬間に資本的支出に倒れる。私は1棟目で、この記載ひとつで判定が変わる場面を実際に見ています。

これが「取り切る」の意味です。工事をするのではなく、工事の中身を設計する。

あなたの物件は、次の塗装まであと何年と言われていますか。そしてその「何年」は、誰の口から出た数字ですか。コメントで教えてください。同じ数字を言われている方が、驚くほど多いはずです。

💎 この続き(有料パート)で手に入るもの
✅ 前倒しすべきか判定する『5項目スコア表』(点数で機械的に出ます)
✅ 相見積4社を取るときの、業者の探し方と依頼文テンプレート(コピペ可)
✅ 見積書のどこを見て340万円の差を発見したか、比較チェックリスト20項目
✅ 修繕費で取り切るための、見積書の記載文言の実例
✅ 築年数別・塗料グレード選定の早見表
✅ 私が2019年186万円を捨てた発注順序の失敗と、正しい順序
ここから先で、私が自分の1棟RCで実際に使った判定表と依頼文を、そのまま全部お見せします。あなたの物件の数字を入れるだけで、前倒しの是非が出ます。

📋 前倒し判定スコア表 まずこれを埋めてください

出し惜しみはしません。最初に本体を渡します。

以下の5項目を採点し、合計点で判断します。私が自分の物件と、若先生の物件の両方に当てはめて使っているものです。

合計点の読み方はこうです。

・0〜7点:前倒し不要。次の台風後にもう一度①を測り直す
・8〜14点:2年以内の実施を推奨。相見積の準備を開始する段階
・15〜20点:今期中に実施。待機コストが残存価値を上回っています
・21点以上:即時。特に⑤が5点なら、足場の同時利用で百万円単位が動きます

私の1棟RCは2026年3月時点で、①4点 ②4点 ③4点 ④2点 ⑤5点の合計19点でした。屋上防水が2年内に必要だと分かっていたので、⑤が満点。ここで前倒しを決めています。

若先生の物件は、写真から見る限り①が4点、築14年でシリコン施工なら②が4点。③は残存30年超で5点。これだけで13点です。管理会社の「様子見でいい」は、この5項目のうち1つも見ていません。

🔧 相見積4社の集め方と、そのまま使える依頼文

340万円の差を見つけるには、比較対象が要ります。ただし『どこから4社集めるか』が全てです。

私が使っている経路の組み合わせは、必ずこの4系統から1社ずつです。同じ系統から4社取っても、価格帯が同じなので差が出ません。

・第1系統:管理会社紹介(基準値。最も高いが、断りやすく比較の基準になる)
・第2系統:大手リフォーム会社(保証体制の基準を知るため)
・第3系統:地場工務店(近隣の同規模物件の施工実績で探す)
・第4系統:塗装専門の直請業者(ここが最安になる。日本塗装工業会の会員名簿から地域で絞る)

第4系統の探し方が肝です。一括見積サイトは使いません。あそこは登録業者が送客手数料を負担しており、その分が見積に乗ります。私は自分の物件から半径8km以内で、足場を組んでいる現場を見つけたら、養生シートに書かれた社名を控えています。地味ですが、これが一番確度が高い。

依頼文はこれをそのまま使ってください。これを送るかどうかで、返ってくる見積の粒度が変わります。

【メール・依頼文テンプレート】

件名:外壁塗装のお見積依頼(RC造4階建・○○区)

ご担当者様

○○区の賃貸RC(4階建・築22年・延べ床618平米)の所有者、○○と申します。
外壁塗装および付帯部の見積をお願いしたく、ご連絡いたしました。

現在4社に同条件でお見積をお願いしております。
比較のため、下記の形式でご提示いただけますと助かります。

1. 足場仮設・解体・メッシュシート(平米単価と数量を分けて記載)
2. 高圧洗浄(平米単価)
3. 下地補修(ひび割れ・爆裂・シーリング打替を項目別に)
4. 下塗り・中塗り・上塗り(各工程の塗料製品名・メーカー名・塗布量を明記)
5. 付帯部(鉄部・軒天・雨樋)
6. 諸経費・現場管理費

あわせて下記をご教示ください。
・ご提案塗料の期待耐用年数と、保証年数・保証範囲
・工事内容が税務上「修繕費」に該当する範囲についての見解
・過去2年で施工された同規模RCの実績(所在地の町名まで)

現地調査のご希望日をお知らせいただければ、立ち会います。
どうぞよろしくお願いいたします。
この依頼文の効き目は「4社に出している」と最初に書いている点です。相見積であることを隠すと、初回に高い数字が来ます。明示すると、最初から通る価格で出てきます。

そして最後の「町名まで」。ここを聞くと、実績のない業者は答えられません。私はこの1行で、2社を初回で外しました。

🔬 見積書の比較チェックリスト20項目

4社の見積が揃ったら、ここを順に潰します。340万円の差は、この20項目のどこかに必ず隠れています。

【足場・仮設】
1. 足場の数量(平米)が4社で一致しているか — 私の場合、A社は1,180平米、D社は1,024平米でした。同じ建物です。多い方が水増しの可能性
2. 足場の平米単価(適正は950〜1,400円)
3. メッシュシートが足場代に含まれるか別計上か
4. 運搬費が二重計上されていないか

【下地・洗浄】
5. 高圧洗浄の平米単価(適正200〜350円)
6. ひび割れ補修が「一式」表記になっていないか — 一式は最も危険な文字です
7. シーリング打替の総メートル数(4社で一致するはず)
8. シーリングが「打替」か「増し打ち」か — 増し打ちは安いが寿命が半分

【塗装工程】
9. 塗料の製品名とメーカー名が明記されているか(「フッ素系」だけの記載は不可)
10. 下塗り材が壁材に適合しているか
11. 3回塗り(下・中・上)が明記されているか
12. 塗布量(平米あたりkg)の記載
13. 希釈率の記載
14. 塗装面積が4社で一致しているか

【付帯部】
15. 鉄部(階段・手すり)のケレン工程の有無
16. 軒天・雨樋・破風が個別計上されているか
17. バルコニー床の防水が含まれるか

【条件】
18. 諸経費の比率(総額の8〜15%が適正。20%超は要説明)
19. 保証の範囲(塗膜の剥離のみか、変色・膨れも含むか)
20. 追加費用が発生する条件の明記

私が340万円の差の正体を突き止めたのは、項目1と項目6でした。A社は足場数量が156平米多く、下地補修が「一式・98万円」。D社は補修箇所を47箇所に分けて、単価×数量で記載していました。実際の補修箇所は31箇所。差額の説明を求めたら、A社は「概算です」と答えました。

——概算、という言葉が出た見積は、そこで比較の土俵から降ろしてください。

20項目のチェックは、4社分の見積書を並べないと意味がありません。私は見積書整理用クリアファイルにA4見積書を業者ごとに分けて入れています。1セット900円ほどですが、テーブルに広げたときに足場数量や下地補修の数字の違いが一目で見えるようになります。

🧾 修繕費で取り切るための、記載文言の実例

ここが本記事で最も金額が動く部分です。442万円を一括で落とせるかどうかで、限界税率50%なら手残りが200万円以上変わります。

原則はこうです。既存と同等の機能を回復させる工事は修繕費。機能や価値を明らかに向上させる工事は資本的支出。

問題は、見積書の文言ひとつで判定の見え方が変わることです。同じ工事でも、こう書かれると印象が変わります。

【資本的支出に傾く書き方】
・「グレードアップ塗装工事」
・「シリコンからフッ素へ変更、耐久性向上」
・「外観リニューアル工事」
・「一式」でまとめられ、内容が不明

【修繕費として説明しやすい書き方】
・「外壁塗膜劣化に伴う補修塗装工事」
・「ひび割れ補修およびシーリング劣化部の打替」
・「防水機能回復のための再塗装」
・工程別に、原因(劣化)と対処が対応づけられている

ポイントは『原因の記載』です。何が壊れていたから、何をしたのか。この因果が書面に残っていると、修繕であることの説明がしやすくなる。逆に「新しくした」「良くした」だけが書かれていると、説明の材料がありません。

私が実際にやっている手順は3つです。

・工事前に劣化箇所を日付入りで撮影し、番号を振る(見積の補修箇所番号と一致させる)
・見積書の各項目に「劣化に伴う」の文言を入れてもらう
・完了報告書に、施工前後の写真を箇所番号つきで納品してもらう

この3点セットがあると、税理士との相談も、その先の説明も格段に楽になります。私は2019年の1回目でこれを怠り、資料の再収集に2ヶ月かかりました。

ここまで理解しても、実際の申告書に落とし込むところで迷う人は多いはずです。私は大家の確定申告がわかる本を1冊手元に置いています。1,500円程度で、修繕費と資本的支出の線引きを図解で確認できるので、税理士との打ち合わせ前に読み返すと話が早くなります。

なお、塗料グレードを上げること自体が直ちに資本的支出になるわけではありません。ただし判断は個別の事情によります。ここは必ず、あなたの顧問税理士に事前相談してください。工事が終わってからでは、書類の作り直しがききません。

📊 築年数別 塗料グレード選定の早見表

「結局、うちは何を塗ればいいのか」への答えを表にしました。判定軸は『建物の残存年数』です。

判定の要は最終行の一つ上、『売却予定があるかどうか』です。

売却を3年以内に考えているなら、フッ素を塗る意味は薄い。買主は塗料のグレードで価格を上げてくれません。見るのは外観の印象と、直近の修繕履歴だけです。この場合はシリコンで見栄えを整え、修繕履歴として「2026年外壁塗装済」と書ける状態を作る方が、費用対効果が高い。

逆に長期保有なら、迷わず耐用年数の長い側です。理由は繰り返しますが、塗料代ではなく足場代の回数だからです。

⚠️ 私が186万円を捨てた発注順序と、正しい順序

最後に、私の失敗の全記録を置きます。

2019年、私は管理会社の提案書どおりに発注しました。提案書にはこう書かれていました。

「まず外壁塗装を先行し、屋上防水は3年後の劣化状況を見て判断することを推奨します」

一見、慎重で親切な提案です。私もそう読みました。実際に起きたのはこうです。

2019年10月:外壁塗装 349万円(足場186万円を含む)
2022年6月:屋上防水 421万円(足場186万円を含む)

足場を2回組みました。同時にやっていれば、2回目の足場186万円は不要でした。しかも2022年は資材が上がっており、防水材の単価も2019年比で11%上昇していた。

同時発注していたら、私の試算ではこうなります。

・外壁塗装 163万円(足場を除く)
・屋上防水 235万円(足場を除く・2019年単価)
・足場 186万円(1回)
・合計 584万円

実際に払った額は770万円。差額186万円。これが「3年後に判断を」という一文の値段でした。

絶句した、というのが正直なところです。しかも私は、その提案書に「ご判断は慎重に」と書いてくれた担当者に、当時お礼を言っています。

正しい順序は一つです。

━━ 足場を要する工事は、すべて同時に洗い出してから、まとめて1回で発注する ━━

足場を必要とする工事は、外壁塗装・屋上防水・シーリング打替・鉄部塗装・雨樋交換・バルコニー防水・屋上笠木の補修。これらの『次回実施予定年』を全部書き出し、最も早く来るものに他を合わせる。それが前倒しの本当の理由です。

若先生、焦らないでいい。ただし『順序を決める』ことだけは、業者に任せないでください。彼らは足場を組む側の人間です。悪意はありません。立場が違うだけです。

💡 まとめ 数字で振り返ります

今回出した数字を、覚えて帰るものだけに絞ります。

・4社相見積の総額差:340万円(782万円442万円)。安い方が塗料グレードは上、保証も長い
・足場の1回あたり:176〜231万円。総額の約3割で、塗料代より大きい
・待機1年あたりの増加:約60万円4年待つと240万円、前倒しで捨てる残存価値88.4万円を大きく上回る
・私の発注順序の失敗:足場を2回組んで186万円

12年周期」は、あなたの建物を診た数字ではありません。会計上の目安が、そのまま賃貸オーナーに流用されているだけです。あなたの建物の周期は、あなたの塗膜と、あなたの足場計画と、あなたの課税所得が決めます。

あなたの物件は、足場を要する工事がいくつ溜まっていますか。屋上防水の前回実施はいつでしたか。コメントで教えてください。同じ足場を2回組もうとしている方が、必ずいるはずです。

━━ 今週やること ━━
今週末までに、管理会社から届いている長期修繕計画の提案書を開いて、『足場』の文字を検索してください。足場が2回以上計上されていたら、その提案書は組み替えの余地があります。次の見積依頼は、今回のテンプレートをそのまま貼って4系統に送る。相見積は集めるのに3週間かかります。9月に動き出したら、繁忙期の10月・11月に間に合いません。塗装の適期は春と秋です。ここを逃すと、また1年、年60万円の値上がりを背負ったまま待つことになります。

──

本日の診察は以上です。この記事が判断の助けになったなら、「スキ」を押していってください。
フォローしていただくと、月に数本の症例と処方箋をお届けします。
質問はコメント欄へ。すべてには返せませんが、多い質問は次の講義で取り上げます。

──

※本記事は筆者の投資記録と見解の共有であり、投資勧誘・助言ではありません。また税務の取扱いは個別事情により異なります。最終的な投資判断・税務判断はご自身と顧問税理士の責任でお願いします。

【出典一覧】
・国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」
・国税庁「タックスアンサー No.1379 修繕費とならないものの判定」
・日本ペイント 建築用塗料 製品カタログ(耐用年数の目安)
・日本塗装工業会 会員名簿
・国土交通省「建設労働需給調査結果」(職種別労務単価の推移)

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