鶏ハムに論破された医師が、プロテインの真実を語る〜「なんとなく飲む」をやめるための、プロテイン完全ガイド〜
今回のキーワードは「鶏ハム」。
プロテインより美味しくて安くてタンパク質が摂れるものが、スーパーに売っています。
その「プロテイン」、誰のために飲んでいますか。
インスタを開くと今日も流れてくる。
「朝のルーティン🌿 プロテインで美ボディ!」
「あの子も飲んでる✨ 話題のプロテイン」
「飲むだけで理想のカラダへ!今だけモニター価格」
ねえ…筋トレしてる?
していないなら、そのプロテイン、残念だけど、ただのカロリーです。
ごめんね。でも本当のことだから言う。
魔法の粉なんてない。飲むだけで痩せる粉も、飲むだけで筋肉がつく粉も、この世に存在しない。
ただし——「全部嘘」でもないのが、今日の話の面白いところ。私の盛大な失敗談から始めさせてください。
プロテインをゲ◯と表現するまでの道のり
少し前、運動をしていない時期に「置き換えダイエット」目的でプロテインに手を出しました(例に漏れずありとあらゆる失敗をしている私)。
あと、安直なことに
「ダイエット女子=プロテインやろ!」みたいな謎のイメージがあったので。
とあるYouTuberプロデュースのメーカーのやつが商品入れ替えで安売りだったので、ストロベリー味とチョコレート味を購入。
飲みました。
…ゲ◯みたいにまずかった。
語彙力の問題ではなく。本当にそういう味でした。
「凍らせてアイスにしたら食べられるかも」と思って試しました。創意工夫です。
…うーん、ゲ◯すぎて無理でした。
仕方ないので、年を取って痩せて困っていた母親にあげました。母は文句ひとつ言わず飲んでいました。母、強い。
プロテインシェイカーは計量カップとして使われています。
ちょっと麦茶飲むのとかにも便利なサイズ。
その後、人生初のフルマラソンに向けて練習を始めた今、プロテインはというと——飲んでいません。
あのまずさのトラウマが抜けきれず。
その代わり、せっせと鶏むね肉を買って鶏ハムを生成しています。
美味しい。最高。毎週作っています。
コストコのむね肉で作ったら桁違いに美味しかった。レシピ(といえるほどのものではありませんが)知りたい方いたら聞いてください。
とはいえ、やっぱり簡便にタンパク質が取れるとのあやつ。
決別しつつもずっと気になる存在。
そもそも「プロテイン」って何者?
プロテインとは、タンパク質を粉末にしたサプリメントです。
タンパク質は筋肉・臓器・皮膚・髪・爪など体のあらゆる組織の材料になる、生きていく上で必須の栄養素。
1日の推奨摂取量は成人女性で約50g、成人男性で約65g。
……で、これがどのくらいの量か。身近な食品で換算するとこうなります。
食品1食あたりのタンパク質量女性の1日分(50g)には…
オイコス(プレーン・砂糖不使用)1個 約13g → 約4個
サラダチキン 1パック 約20g → 約2.5パック
鶏ハム(200g・1本)約46g → ほぼ1本で足りる
木綿豆腐(1丁・300g)約21g → 約2.5丁
絹ごし豆腐(1丁・300g)約16g → 約3丁強
納豆(1パック・45g)約7.4g → 約7パック

納豆7パック。毎日食べたら家族に引かれます。
この表を見ると「意外と足りてないかも」と気づく人も多いはず。
特に食が細い女性や、ダイエット中で食事量が減っている人は要注意です。
だからこそプロテインの需要が生まれているのも、理解はできる。
問題は「飲み方」と「目的」がずれていること。それだけです。
プロテインの種類は大きく3つ。
ホエイプロテイン(牛乳由来・吸収速い)
筋トレ後の素早い補給に最適。売り場の9割はこれ。筋トレ民の定番。
さらにWPC(濃縮型・コスパ重視)とWPI(精製型・乳糖をほぼ除去)の2種類がある。お腹が弱い人や乳糖不耐症の人はWPIを選んで。
カゼインプロテイン(牛乳由来・吸収ゆっくり)
就寝前の補給に向いている。寝ている間にじわじわ筋肉に届くタイプ。
ソイプロテイン(大豆由来・吸収ゆっくり)
乳糖不耐症の人や植物性にこだわる人向け。女性ホルモンに似た成分が含まれるため、女性に人気。
「なんとなくプロテイン」で選ぶと、目的と全然違う種類を飲み続けることになります。まず種類を知ることから。
筋トレなしで飲んだら、何が起きるか
余分なタンパク質は、カロリーになります。
肝臓でエネルギーに変換されるか、脂肪として蓄積される。プロテインを飲んだからといって、使われなかった分が勝手に筋肉になることはない。
私が置き換えダイエットでプロテインを飲んでいた期間、体重はというと——変わりませんでした。 正直に言います。
ただここで一つ、面白い話があります。
食事誘発性熱産生(DIT) という概念を知っていますか。
食べ物を消化・吸収するときにも、カロリーを消費するという話。しかも三大栄養素によって消費率が全然違う。
栄養素消化時のカロリー消費率
タンパク質 → 約30%
糖質 → 約6%
脂質 → 約4%
タンパク質は食べるだけで摂取カロリーの3割が消費される。

これが「タンパク質は太りにくい」と言われる、医学的な理由です。
つまりプロテインを飲むこと自体は、カロリー的に完全な無駄ではない。問題は「運動しないと筋肉にならない」という点だけ。
では、なぜ世の中には『プロテインで痩せた』という人がいるのか?その正体が、下記です。
DHC置き換えダイエット、あの理論の正体
一昔前に流行ったやつ。あの理論はシンプルです。
1食(約500〜700kcal)をプロテイン(約100〜150kcal)に置き換える
… →カロリーが大幅に減る→痩せる。
プロテインの力で痩せるんじゃなくて、ただのカロリー制限で痩せている。

プロテインである必要は、実はほぼない。
鶏ハムを1食分食べても、理論上は同じ効果が出ます。しかも美味しい。
なんなら、タンパク質じゃなくてお腹さえ膨れれば何でも良い。
しかも置き換えダイエットの落とし穴は、やめた瞬間にリバウンドすること。
極端なカロリー制限をしている間、体は省エネモードに入る。
食事を戻した瞬間、省エネ体質がフル稼働してリバウンドする。
これ、GLP-1と全く同じ構図なんですよね。
出口戦略のない食事制限は、リバウンド製造機。
数字で殴ります。鶏ハムvsプロテイン本気比較
鶏むね肉(皮なし)は100gあたりタンパク質23.3g、カロリー105kcal。
鶏ハム1本(約200g)のタンパク質は約46g。カロリーは約210kcal。
一方プロテインは、一般的なホエイWPCで1食(約30g)あたりタンパク質約22〜24g、カロリー約110〜130kcal、1食あたり約150〜300円。
鶏ハム(200g) 約210kcal 約150〜200円
プロテイン2食 約220〜260kcal 約300〜600円
同じタンパク質量で比較すると、鶏ハムの方が安くて腹持ちも良くて美味しい。

円安の影響でホエイプロテインは値上がり傾向が続いています。
鶏肉も値上がりしていますが、それでも鶏ハムのコスパは優秀。
プロテインの唯一の強みは手軽さです。
シェイカーに入れて振るだけ、持ち運べる、運動直後にすぐ飲める。
この利便性にお金を払う価値があるかどうか、という話です。
どうせ飲むなら、正しく飲んでほしい
せっかくなので、正しい飲み方も教えます。
運動後30〜45分以内が基本(ゴールデンタイム)
筋肉の合成が最も活発になる時間帯。筋トレ勢はここで飲んでください。迷ったらここ一択。
朝も有効
睡眠中は約8時間、タンパク質を摂れていない状態が続いています。
朝食でしっかりタンパク質を摂ることで、筋肉の分解を防ぎ基礎代謝を維持できる。
朝食が菓子パン1個だけの人は、プロテインを足す価値があります。
就寝前はカゼイン一択
ホエイは吸収が速すぎて就寝前には向かない。
就寝前に補給したいならカゼインかソイを。
(ガチ筋トレ勢の人くらいですが…)
運動前は不要
「運動前に飲むと力が出る」は都市伝説です。
タンパク質はエネルギー源として即効性がない。
運動前はむしろ糖質を。

目的別の選び方はこちら:
筋トレ後の素早い補給→ホエイWPC(コスパ重視)またはWPI(吸収重視)
乳糖不耐症→ホエイWPI・ソイ
就寝前→カゼイン
植物性にこだわる→ソイ
コスパ重視→ホエイWPC
※就寝前は筋トレをガチでやっている人向け。普通の人は気にしなくて大丈夫。
👑GLP-1使用中の人へ、特別に伝えたいこと
ここから先は、GLP-1(マンジャロ・オゼンピック・リベルサスなど)を使っている人、または使おうとしている人に向けた話です。
GLP-1は食欲を強力に抑制します。
使い始めると、びっくりするくらい食べられなくなる。
これが問題で、食べられない→タンパク質不足→筋肉が分解される→基礎代謝が落ちる→薬をやめた瞬間にリバウンドという負のループが始まります。
私が4回リバウンドした理由の一つが、まさにここです。
痩せることに夢中になって、タンパク質を意識的に摂ることを怠った。
しかも睡眠中は約8時間、タンパク質ゼロの状態が続く。
食欲がないからと朝食を抜けば、さらに筋肉の分解が加速する。
GLP-1使用中こそ、意識的にタンパク質を摂り続けることが最重要です。
食欲がない時でも飲める、という点で、プロテインが唯一本当に役立つ場面がここかもしれない。
鶏ハム職人の私でも、GLP-1使用中だけはプロテインを選ぶ可能性がある。それくらい重要な話。
GLP-1と組み合わせる正しいタンパク質戦略、リバウンドを防ぐ出口戦略については、こちらで詳しく書いています。
[GLP-1の真実|リバウンドを防ぐ出口戦略→]
結論:プロテインに払うお金の正しい使い道
まとめます。
運動なしのプロテインは、ただのカロリー
置き換えダイエットで痩せるのはカロリー制限のせい、プロテインのせいじゃない
タンパク質は消化時に30%カロリーを消費するから「太りにくい」は本当
でも筋肉になるには運動が必要、これは絶対
コスパは鶏ハムが優秀、プロテインの強みは利便性だけ
GLP-1使用中だけは、プロテインが本当に重要になる
インスタグラマーが飲んでいるから、という理由だけで買うのはやめてください。
その前に鶏むね肉を買ってください。鶏ハムにしてください。美味しいです。母親にあげる必要もありません。
より根本的に食欲や代謝を医学的にコントロールする方法として、GLP-1という選択肢があります。
私自身の失敗談も含めて、こちらで詳しく解説しています。
次回は…
食べないで痩せるのは当たり前。
食べながら痩せたい。
そんな人のための血糖コントロールに基づくできるだけ太らない食べ方について。
私自身が知りたいので勉強しつつまとめます。笑
食後の眠気対策も☝️
2日後にお会いしましょう🌷
