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応援する選手ができた日――東京女子プロレス後楽園大会を観て

1か月前の私は、東京女子プロレスのツーショット撮影会に参加する自分を想像していなかった。

いくらなんでも展開が早い。

そもそものきっかけは、3月29日の両国国技館大会だった。上坂すみれさんが出演するという理由で、東京女子プロレスを初めて観に行った。

その時点では、プロレスに詳しいわけではなかった。選手の名前も、関係性も、試合の見方もほとんど分からない。

それが気づけば、週刊プロレスを読み、新宿FACE大会に足を運び、YouTubeで両国大会のダイジェストやドキュメンタリーを見て、WRESTLE UNIVERSEに加入し、過去大会やラスベガス大会まで視聴していた。

そして5月4日、東京女子プロレスの後楽園ホール大会『YES! WONDERLAND '26』を観に行った。

我ながら、なかなかの急坂である。

ただ、勢いに任せて転げ落ちているというより、少しずつ足元を確かめながら進んでいる感覚もある。最初は何も分からずに浴びていたプロレスが、少しずつ違う見え方をし始めている。

今回の後楽園大会は、そのことを強く感じる一日だった。


初見で浴びる楽しさと、少し知ってから見る楽しさ

両国大会のときは、ほとんど何も知らなかった。

選手の名前も、関係性も、得意な戦い方も分からない。だからこそ、大会全体を浴びるような楽しさがあった。

入場、歓声、リング、照明、技の迫力、会場の大きさ。目の前で起きていることを、とにかく受け取るだけで精一杯だった。

それはそれで、何もかも新鮮で、初見ならではの楽しさだったと思う。

何も知らないからこそ驚ける。
何も知らないからこそ、会場全体の熱にそのまま巻き込まれる。

でも今回は少し違った。

新宿FACEで見た選手がいた。週刊プロレスで読んだ名前があった。WRESTLE UNIVERSEで過去大会やラスベガス大会も見ていた。

だから試合前に、

「この選手はこういう戦い方をするのかな」
「この組み合わせなら、こういう空気になるのかな」

という、自分なりの小さな予想を持つことができた。

もちろん、勝敗予想というほど大げさなものではない。試合を解説できるほど詳しくなったわけでもない。

ただ、「この人はこういう空気を持っているのかもしれない」という、初心者なりの小さな答え合わせができるようになっていた。

何も知らずに浴びる楽しさがある。
少しだけ知ってから見る楽しさもある。

今回の後楽園大会では、その違いを初めてはっきり感じた。

後楽園ホールでは、リングと客席の熱がつながって見えた

後楽園ホールは、両国国技館とも新宿FACEとも違っていた。

両国国技館は、大会全体を浴びるような祝祭感があった。会場が大きく、特別な大会を観ているという感覚が強かった。

新宿FACEは、リングとの距離の近さに驚いた。選手の身体が近く、音も表情も生々しく届いてくる。プロレスラーが目の前にいるという実感があった。

それに対して後楽園ホールでは、リング上の攻防と、それに反応する客席の熱が同時に見えた。

カウントが入るたびに、会場が一瞬前のめりになる。
技が返されると、歓声とため息が混ざる。
技が決まりそうになるたびに、空気がぐっと寄っていく。
返された瞬間に、また次の期待が生まれる。

リング上で起きたことが、客席を通ってもう一度大きくなる。

選手の動き、受ける側の表情、レフェリーのカウント、客席のざわめき。そういうものが重なって、「今いけるかもしれない」という空気を作っていた。

後楽園ホールでは、その流れがとても見えやすかった。

風城ハル選手を応援して観たことで、見え方が変わった

今回の大会で、私にとって大きかったのは、風城ハル選手を明確に応援する目線で試合を観たことだった。

前回の新宿FACE大会で、風城ハル選手が気になった。

キャリアを詳しく追っているわけでもない。ただ、リング上で向かっていく感じに惹かれた。
せっかくだからとサイン会に並んでサインをもらった。

そして今回は、風城選手が鈴芽選手の持つインターナショナル・プリンセス王座に挑戦するタイトルマッチだった。

初めて、「この選手を応援する」という気持ちでプロレスを現地で観た。

すると、同じ試合でも見え方が少し変わった。

カウントが入るたびに、ただの試合展開ではなく、自分の気持ちが一緒に動く。
技が決まりそうになるたびに、「いけるかもしれない」と思う。
返されると悔しい。思わず「あー!!」と声が出る。
それでもまたチャンスが来ると、もう一度期待してしまう。

結果は勝利ではなかった。

けれど、向かっていく姿は強く印象に残った。

技の名前はまだ分からない。細かい攻防を語れるほどの知識もまだない。

それでも、気合というか、挑戦者としての気持ちのようなものは確かに伝わってきた。

勝ったか負けたかだけではなく、「この人をまた見たい」と思えた。

応援する選手ができると、プロレスの見え方はこんなに変わるのかと思った。

リングの上の戦いを、ただ眺めているだけではいられなくなる。

もちろん客席の自分は痛くも痒くもないはずだ。
それでも気持ちが同じ方向に動く。熱くなる。
応援の言葉が溢れてくる。

試合後の爽快感は、なぜかサウナに似ているように思えた。
熱くなって、声を出して、最後にはすっと軽くなる。


選手ごとの違いが少しずつ見えてきた

風城選手だけではない。今回は、選手ごとの違いも少しずつ見えるようになってきた。

タイトルマッチだけでなく、前半の多人数タッグマッチの愉快な攻防も印象に残った。
「緩急」でいうところの「緩」だ。ここがあるから後半の試合の真剣さが際立つ。もちろんコミカルながらもしっかり要所要所でプロレスしている。これがすごい。

鈴芽選手は、挑戦者の勢いを受け止めて、最後に王者として締める選手に見えた。
風城選手の挑戦を受け止めながら、それでも最後は自分の試合として終わらせる。王者としての強さは、ただ攻めることだけではないのだと思った。

白昼夢、辰巳リカ選手と渡辺未詩選手のタッグも印象に残った。

渡辺未詩選手の分かりやすいパワー。
辰巳リカ選手の華やかさと、どこか危うい雰囲気。

二人が組むことで、ただ強いだけではない、明るさと危うさが同居するような東京女子らしい濃さが出ていた。

相手のジ・インスピレーションは、両国でタッグ王座を獲り、ラスベガスでも防衛していた海外の王者組だった。入場や表情、二人で見せる空気に、海外スターらしい完成度があった。

だからこそ、白昼夢が勝ってベルトを東京女子側に取り戻した瞬間は、とても気持ちよく見えた。

水波綾選手と凍雅選手の試合も、分かりやすい対比があった。

水波選手の熱量、声、前へ出ていく圧。
それに対して、凍雅選手の静かな意地。

熱と冷がぶつかるような試合に見えた。

メインイベントの荒井優希選手も印象に残った。

荒井選手が入場してくると、やはり会場の視線を集める華があった。
両国で王者になり、ラスベガスで防衛し、後楽園でもメインを締める。
その積み重ねも含めて、会場が荒井選手を王者として見ているように感じた。

その荒井選手に挑戦していく遠藤有栖選手。力強い姿勢が良かった。
試合後の二人の言葉にも、勝敗を越えて互いを認め合うような温度があって印象的だった。

それでも、「この人はこういう空気を持っているのかもしれない」と思える場面が増えてきた。

最初は「東京女子プロレス」という団体を見ていた。
今は少しずつ、その中にいる選手それぞれの違いが見え始めている。

勝敗より先に、見ていて楽しかった

今日の大会は、勝敗の意味を細かく整理する前に、まず見ていて楽しかった。

入場で空気が変わる。
技が決まりそうになるたびに前のめりになる。
カウントが返されるたびに引き戻される。

それだけでかなり満たされていた。

勝った選手はもちろん、負けた選手にも「次を見たい」と思わせるものが残っていた。

見終わったあと、重さよりも爽やかさがあった。
難しいことを考える前に、帰り道の気分がよかった。

特典会で感想を伝えた

試合後、風城ハル選手の撮影会とサイン会に参加した。

サイン中に、私はこんなことを伝えた。

「かっこよかったです。技とかは全然分からないのですが、気合というか挑戦者魂を感じました。さっき6月大会のチケットを取りました。応援しています」

技のことは本当に分からないので、言葉としてはだいぶ雑だったかもしれない。それでも、今日感じたことを自分の言葉で伝えるなら、そう言うしかなかった。

試合を観て、もっと応援したいと思った。
だから次の大会のチケットを取った。
そして、そのことを本人に伝えた。

ただ観て終わるだけではなく、応援する気持ちが次の行動につながっていく。たぶん、こういう小さな積み重ねで、少しずつ応援する気持ちが強くなっていくのだと思う。

まだ入口に立ったばかり

東京女子プロレスを見始めて、まだ1か月ほどしか経っていない。

技の名前も、選手の歴史も、団体の流れも、分からないことばかりだ。
今回見えたと思ったものも、これから見方が変わっていくのかもしれない。

それでも、次に見たい選手の名前は少しずつ浮かぶようになってきた。

何も知らずに浴びる楽しさもあった。
少し知ってから見る楽しさもあった。
そして、応援する選手がいると、試合中に気持ちが動く場所が変わることも知った。

両国で初めて東京女子プロレスを観た。
新宿FACEでリングの近さを知った。
後楽園ホールで、少しだけ選手ごとの色を感じられるようになった。
そして特典会で、応援したい気持ちを本人に伝えた。

それでも私は、まだ入口に立ったばかりだ。

専門用語も、技名も、プロレスの約束事も、まだほとんど知らない。

けれど、ひとつひとつ知るたびに、また見え方は変わっていくのだと思う。

次はどんな景色が見えるだろうか。

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