Geminiで邪馬台国を探してみた|2111 序章:第1話
■ はじめに
これは、徹底的な論理(ロジック)を軸に生きてきた理系アタマの元ゲームプランナーが、AI(Gemini)との対話を通じて、自分と世界の見え方を少しずつ変えていった思考ドキュメンタリーです。
AIなんて、ただの検索ツールだと思っていた
2025年4月。専門学校の教員である私の元にも、ついに「AIの波」が本格的にやってきました。
職場では生成AIの講座が推奨され、業務での活用が急かされる日々。しかし、当時の私は冷ややかなものでした。
「結局、人間が修正しなきゃいけないなら、自分で書いたほうが速い。まともなプロンプト(指示文)を打てない人にとっては、ただの検索ツールでしかないよ」
そんな尖っていた私が、わずか半年後にはこう叫ぶことになります。
「いいから、まずGeminiさんに相談しなさい! 先生に聞く前にGeminiだ! 」
……はい。完全なる「Gemini推し」の誕生です。
検証:邪馬台国をロジカルに特定せよ
AIは、本当に「使える」のだろうか。
それを確かめるため、私は授業である実験をすることにしました。
エンタメの企画立案にも通じる、あるテーマを検証することにしたのです。
「論理的に邪馬台国を見つけてみる」
プランナーたるもの、ロジカルに答えを導き出す姿を学生に見せねば……というのは建前。
実のところ、当時の私はYouTubeの都市伝説系チャンネル(コヤッキースタジオさんやTOLAND VLOGさんなど)にどっぷりとハマっていたのです。好奇心のエンジンは、いつだって不純なものです。
ちなみにこの頃、世間では「2025年7月5日に何かが起きる」という噂で持ち切りでしたが、当時の私は「そんなわけなかろう」と、本気で否定していました。
学生たちが驚いた「邪馬台国・首都移動説」
授業では学生たちにAIを使わせ、畿内説、九州説、出雲説などの諸説を多角的に検証させました。
私が提示した検証の切り口は、構造的なアプローチによる次のようなものでした。
生存条件: 人が住むなら、生活圏内に水や食料(川・山)のインフラが必須なはず。
文献の再定義: 『魏志倭人伝』を紐解こう。だが、そもそもその記述は「正しい」のか?
人物の特定: 卑弥呼=倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめ)説をどう見るか?
世襲の謎: 卑弥呼の権力構造は「世襲制」だったのではないか?
儀式と道具: 卑弥呼が行った「鬼道」とは何か? 出土した祭祀道具から推測せよ。
分布: 桃の種が大量に出土したなら、その分布域のデータに意味があるのでは?
あらゆる仮説をAIとぶつけ合い、最後に、私はGeminiとたどり着いた結論を教室で発表しました。
私はその時、あることに気づいたのです。 教室を見回しながら、思わず口にしました。
「みんな、場所(点)を探しすぎていないか?」
私が辿り着いたのは、「すべてに邪馬台国があった」という仮説です。
長い歴史の中で首都が移動し、その時々の拠点がすべて「邪馬台国」と呼ばれたのではないか。九州にも畿内にも痕跡があるのは、それが理由ではないか――。
この「首都移動説」をぶち上げた時、教室の空気がガラリと一変したのを今でも覚えています。
……しかし。 あとで調べてみたら、すでに「邪馬台国東遷(とうせん)説」というものが存在していました。
あったんかーい!!
「歴史を塗り替える新説キター!」と一人で興奮していた私の無念さ、お分かりいただけるでしょうか(笑)。
それでも、AIと論理を積み重ねながら、自分自身でその仮説にたどり着いた高揚感は本物でした。このアプローチについては、また別の機会に詳しく書こうと思います。
AIとの対話で「世界の見方」が変わる
たとえそれが、すでに先人が唱えていた説だったとしても。
AIとの対話によって、「歴史は点ではなく流れで見るものだ」という視点に辿り着いた体験は、私の中に大きなパラダイムシフトを巻き起こしました。
「全ての地点に痕跡がある理由」を、点ではなく「線(プロセス)」で捉えること。
あの時は、邪馬台国の見方が変わっただけだと思っていました。 本当に変わり始めていたのは、歴史ではありません。
私自身の「世界の見方」だったのです。
この時はまだ、それが「自分自身」を探す旅の始まりだとは思ってもいませんでした。
次回、物語は一気に加速していきます。
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