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2009年 北海道日本ハムファイターズ(優勝)

球団の北海道移転から今年で21年経っている日本ハム。この21年で日本ハムは5回優勝しているのですがそれぞれトレイ・ヒルマン監督、梨田昌孝監督そして栗山英樹監督と北海道移転後は3監督連続してペナントレースを制覇していることになります。もし今の新庄剛志監督も優勝すれば北海道移転後4監督連続で優勝監督になるわけですが。
さてこれまでヒルマンと栗山監督下の優勝や日本一は取り上げました。ということで今回は残す梨田日本ハムの優勝年である2009年を取り上げたいと思います。梨田日本ハムはどのようなチームだったのでしょうか。


「2年目」のジンクス

まず梨田昌孝に日本ハムのイメージが薄いので梨田昌孝について説明します。現役時代は近鉄一筋で2000年には近鉄監督に就任。就任2年目には前年最下位と低迷したチームを見事再建し超強力打線の「いてまえ打線」を築き上げ優勝に導きました。梨田監督は2004年に近鉄が消滅したタイミングで退任。しばらくは野球解説者をした後に2008年に日本ハム監督のオファーが来ました。4年ぶりの現場復帰となった2008年の日本ハムは3連覇ならずも3位でシーズンを終えました。
近鉄同様2年目に優勝を掴みたい日本ハムはオフに巨人とトレードが成立。
2006年の守護神マイケル中村と守備走塁要員の工藤隆人を放出して、巨人のスター遊撃手だったものの坂本勇人の台頭と自身のスキャンダルで出番を失った二岡智宏と先発救援両用できる林昌範を獲得する大型2対2トレードでした。
当時の日本ハムは2006年オフに新庄剛志が引退し、小笠原道大がFAで巨人へ移籍した影響もあり打線の得点力は一気に低下。ビッグバン打線からの転換を余儀なくされていました。

ドラフトではアマ球界No.1捕手とされていた東洋大・大野奨太を1位指名。日本ハムが捕手を1位指名するのは1998年の佐賀学園高・實松一成以来です。全体的に上位で即戦力、下位は高校生という指名です。

トレード加入の林(左)と二岡(右)
中央は梨田監督。

野手陣

これまで得点力が乏しかった日本ハム打線ですがこの年は689得点とリーグトップ。打率やOPSにおいてもリーグトップのめちゃくちゃ強い打線が出来上がりました。
リードオフマンの田中賢介は全試合出場で高い出塁能力を誇り(.373)、チームトップの31盗塁で走攻守でチームを支える絶対的セカンドに。理想のリードオフマンですね。
クリーンアップではWBCの4番も務めた稲葉篤紀が4年連続の打率3割をマーク。37歳と結構年齢は重ねてきていますがTHE中距離打者という感じの成績でチームの優勝に貢献。4番には髙橋信二が入ります。一発こそ少ないものの繋ぎの4番として安定した成績を残した髙橋は2004年以来の規定打席到達。交流戦では打率.411と首位打者でした。またこの年は一塁手としての出場がメインになります。チーム内HR王は2年目のターメル・スレッジ。髙橋が演出したチャンスを一振りで返す役割で怪我での登録抹消もありながらチーム内最多のHRと打点を記録。ポイントゲッターとしての役割を全うしました。

小谷野栄一は初の規定打席到達。ほぼ3割ペースで推移し、初の2桁HR、スレッジ、稲葉に次ぐチーム内打点数3位を記録。
そして覚醒を見せたのは糸井嘉男です。2003年度ドラフトで投手として自由獲得枠で入団した糸井ですが、いろんな事情もあり2006年から野手転向。そして2009年には開幕スタメンを勝ち取るとレギュラーに定着。正センターだった森本稀哲を押しのけてセンターに入ると高い身体能力を活かして攻守で躍動。最終的には初の規定打席到達で.306 15HR 58打点 24盗塁 OPS.901。よく糸井の野手転向は注目されがちですがもともとは近畿大学のエースですからね。高卒投手で投手では頭打ちだったけど打撃が良かったから野手転向みたいな感じではなく将来のエース候補に野手転向させたらとんでもない才能が開花したという本当にレアケースだと思います。
9番ショートはやっぱり金子誠。この年の金子は打撃が絶好調で4月には7試合連続二塁打の当時NPB最長記録を作り1997年以来の2桁HR、キャリア初の打率3割を残しました。普通に考えて9番に.304 14HR OPS.818がいる打線怖すぎる。

捕手は鶴岡慎也とドラ1の大野奨太が併用で起用。
巨人からトレード加入した二岡は主にDH・代打の切り札として起用されました。巨人では勝負強い打撃だった二岡ですが日本ハムでもそれは健在。ミスター右中間だなんて呼ばれたりしました。また人気も確かでオールスター投票DH部門で1位選出です。
得点力や打力もさることながら守備力も素晴らしくこの年は鶴岡、髙橋、田中、小谷野、金子、糸井、稲葉で7選手がGG賞に輝き、内野陣に至っては4ポジション全てで獲得。チーム失策数は55とリーグ最少です。

糸井嘉男
「残り9試合最後まで諦めずに戦います」(なおM6、首位独走)

投手陣

なんといってもダルビッシュ有の活躍を語らないわけにはいきません。
WBCにも選出されたダルビッシュは5月に4勝0敗、防御率0.90の活躍を見せると交流戦でも日本生命賞を受賞。通算107登板目にして通算60勝と史上最速のペースで勝ちを積み重ね、最終的には15勝5敗、防御率1.73。この時代は今よりも打高なので派手にこの環境で防御率1点台はやばいです。まだ無駄なランナーを出さずWHIPは0.90と物凄い値です。これで23歳です。
武田勝は2年ぶりの規定到達。そして自身初となる2桁勝利も達成。抜群の制球力が売りでBB%は3.4%と低いです。
2006年新人王もその後2年は不調だった八木智哉はこの年防御率2.88と復調し、9勝を挙げる活躍。移籍2年目の藤井秀悟は梨田監督の方針により5,6回投げて降板するケースが続きましたが、前年とは変わり7勝を挙げ勝ち越しました。

救援陣は個人的に誰かが投げすぎない良いバランスになっていると思います。MICHAELが退団した後の守護神には武田久が入ると、武田は55登板で防御率1点台、34Sで最多セーブと守護神1年目から大活躍。
セットアッパーでは左の宮西尚生、右の菊地和正というふうに使い分け、菊地は自身最多の58登板とリーグ3位の21H、宮西は無傷の7連勝を達成するなど安定した投球を見せ、13H、防御率2.89と活躍。
トレード加入の林は46登板で防御率3.33、勝ちパとしても起用されました。建山義紀も同じ46登板で前半戦こそ防御率1点台で抑えていましたが腰痛を発症した影響で制球が甘くなり7敗してしまいます。
45登板の江尻慎太郎は新任の小林繁投手コーチによりサイドスローに転向。45登板のうち33登板は同点または3点リード以内での登板ということでかなり信用されていたことがうかがい知れます。

日本ハムは先発/救援防御率ではいずれもリーグ2位もチーム防御率ではリーグ1位。守備陣が堅固なのも失点抑止力に寄与していますね。

ダルビッシュ有
北海道日本ハムの若き大エース。
「雄叫びあげて うなるその剛腕 我らのエース 日本のエース」

2年ぶりの頂点へ!

開幕カードの楽天3連戦、いきなりダルビッシュvs前年21勝のエース岩隈久志の投げ合いになるのですが、ダルビッシュが鉄平のタイムリーとセギノールの2ランで3点を初回から失うと打線は1点を返すも敗戦。その後2戦目、3戦目も負けなんと開幕3連敗。
4月7日のロッテ戦でようやく日本ハムは初勝利。二岡にも移籍後1号が飛び出し、TDN…多田野が8回1失点の好投を見せました。翌8日は初回に小谷野の3ランで先制すると3回には稲葉が2ラン、その後5回にロッテ打線に5点差を追いつかれるもその裏、小谷野と稲葉の2本目のHRで2点を追加。7回にはサブローのHRで追いつかれるもその裏稲葉が3打席連発となるソロHRを放ち空中戦は8-7で勝利しました。

7日のロッテ戦から4連勝、2つ負けを挟み15日オリックス戦から5連勝と勢いに乗る日本ハムは4月を12勝10敗で終えました。
5月も好調な日本ハムは大きな連勝こそないものの安定した強さで白星を重ね、首位に立ちます。交流戦では勝率5割ペースで最終的には12勝11敗1分の6位で終えました。

交流戦明けのロッテとのカードで勝ち越し、楽天に3連勝するもその後5連敗、しかし続くロッテとのカードで3連勝と持ち直します。
中でも10日のロッテ戦は日本ハム先発・多田野が好調。打線も4点を取り多田野は9回2アウトまでノーノーピッチング。しかし最後の打者・大松尚逸にライト前ヒットを打たれノーノー達成はならず。さすがKY、たまげたなあ。試合は多田野が1安打完封で勝利しました。

前半戦最終試合の22日のロッテ戦ではダルビッシュvs成瀬善久の投手戦でしたが5回に鶴岡のタイムリー、8回に鶴岡のソロが飛び出し女房役の援護を得たダルビッシュがロッテ打線を1失点に抑えて12勝目。日本ハムは2位ソフトバンクに1ゲーム差をつけて前半戦首位ターンを決めたのでした。
オールスターにはダルビッシュ、武田久、髙橋、金子、稲葉、糸井、二岡が選出(第1戦札幌ドームで第2戦マツダスタジアムとか移動超大変そう)。

後半戦開幕後のロッテ3連戦をスイープ。31日のソフトバンク戦でもダルビッシュが13勝目を挙げ勝利し前半戦前の15日からの連勝を9まで伸ばします。
8月は前半は勝ち負けが交互に続く展開。しかし18日楽天戦からシーズン最長の6連敗を喫してしまいます。というのも当時のチーム内にはインフルエンザが蔓延。福良淳一ヘッドコーチ、スレッジ、宮西が新型インフルエンザに感染し主力選手の欠場・抹消が相次いだのです。しかし26日のオリックス戦からは4連勝。28日のソフトバンク戦で初回に髙橋の2ランで逆転すると早めの継投で藤井を4回途中で降ろし救援5選手の継投リレー、結局勝利し宮西に無傷の7連勝目が付きました。5.5ゲーム差をつけた日本ハムはここでM29が点灯します。

若い頃の宮西尚生
比較的消耗が早い救援で16年後もまだやってるのはもう凄い。
(900登板おめでとうございます🎉)

このまま一気に勝って優勝を決定づけたい日本ハムでしたが、9月はなかなか勝ち越せず6日楽天戦からは6連敗。一時期ソフトバンクとの差も結構詰まりました。ただ好都合だったのはソフトバンクも同じ時期に結構負け越していたことでしょう。日本ハムは初めて月間負け越しとなる11勝14敗1分で9月を終えます。とはいえこの段階ではかなりマジックは減らせており、29日のオリックス戦で12-3と大勝した試合のヒーローインタビューで糸井が「残り9試合諦めずに頑張ります」となんか首位を追うチームみたいなコメントをするのですが実際もうM6とほぼ優勝は手中に入れたようなもの。
そしてM1にして迎えた10月6日の札幌ドームでの西武戦。2回に鶴岡の、3回には髙橋のタイムリーで先制すると4回には金子の2ランで4点リード。しかし西武も5回から反撃。9回までに4失点するも日本ハムはここで食い止め延長へ突入。他球場では2位の楽天が敗戦しこの瞬間日本ハムの優勝は決定。試合は12回裏に金子のサヨナラ犠飛で決着。日本ハムは2年ぶり北海道移転後では3度目となる優勝を手にし、梨田監督はマウンド上で3度胴上げされました。

最終成績は82勝60敗2分 勝率.577 貯金22。2位楽天には5.5ゲーム差を付けました。
個人的には日本ハムは下位との対戦でしっかり勝ち切ったことが大きいと思います。5位ロッテには18勝6敗、6位オリックスには16勝8敗と大きく勝ち越していました。一方で優勝争いをするも脱落し3位転落となったソフトバンクはロッテにもオリックスにも負け越しています。

CS

CSでは1stステージを勝ち上がってきた2位の楽天と対決。
楽天はこの年創設5年目にして初のAクラス、そして野村克也監督の退任も決定しており勢いがありました。
1勝のアドバンテージをもらい臨んだ1戦目にして日本ハムは楽天の勢いをくじくことになります。
まずこの試合、かなりの打ち合いで8回終わって4-6と2点ビハインド。しかも9回表に鉄平に2ランを打たれ4点ビハインドと戦況は悪化。楽天のマウンドには守護神福盛和男が上がります。その福盛に対し日本ハムは食らいつきます。金子が倒れるも田中・森本の連打でチャンスを作り稲葉の3連打目となるタイムリーで3点差。続く髙橋は四球を選び満塁を作って打席にはスレッジ。北の国からのチャンステーマが流れる中、福盛のこの回21球目となるボールを振り抜くと打球は大歓声のレフトスタンドへ着弾。お釣りなしのサヨナラ満塁ホームランです。なんと4点ビハインドから5点を入れ試合をひっくり返してしまいました。

激戦を物語るスコアボード 迫真の5x
そういえばこの7年後にもポストシーズンに赤いチームが21球目のところで
サヨナラ満塁弾食らってましたね。なんか因果でもあるのか?

第2戦では髙橋が決勝2点タイムリーを放ち、楽天打線を1失点に抑え勝利。
第3戦では田中将大の完投で敗戦しますが、第4戦では再びスレッジは大爆発。3打数3安打5打点と大暴れしたのもあって9-4で勝利。日本シリーズに進みます。

日本シリーズ

日本シリーズではリーグ3連覇を達成した読売ジャイアンツと対戦。この巨人も結構良いチームで日本ハム同様リーグ得点数や打率・OPSはリーグトップ。チーム防御率もリーグトップとリーグを代表する最強チーム同士の対決となりました。

札幌ドームでの初戦は日本ハム武田勝、巨人はゴンザレスが先発。
2回に武田が谷佳知に被弾を受けますがその直後にスレッジがHR。
しかし5回に巨人が坂本勇人の2点タイムリーを放つとこれが決勝点に。日本ハムは1点差まで追いつきましたが3-4で敗戦。
2戦目はダルビッシュ対内海哲也のエース対決。試合前には新庄剛志も登場しました。この試合は3回に稲葉のヒットを皮切りに5者連続安打で4点を先制。内海をKOしました。最終的にはダルビッシュが6回2失点の好投。救援陣も踏ん張り4-2で勝利、1勝1敗です。

東京ドームに舞台を移して第3戦は日本ハム糸数、巨人オビスポが先発。
初回から稲葉が2試合連続のHRで先制、2回にも小谷野のソロで追加点。しかしその裏に李承燁・阿部慎之助のアベックアーチで追いつかれると3回に小笠原道大のHRで勝ち越されてしまうと日本ハムは4-7で敗戦。
第4戦は日本ハム八木、巨人高橋尚成が先発。
3回に髙橋信二の2点タイムリー、小谷野の2点タイムリーで4点を先制。その後も加点して8-4でまた星を五分に戻します。
第5戦は日本ハム藤井、巨人は第1戦先発のゴンザレス。
この試合も日本ハムが先制したのですが(これで4試合連続)、藤井・ゴンザレスが好投を見せ7回まで1-0の投手戦に。しかし8回に藤井を降板させると2番手の建山、3番手の林がピンチを招き大道典良に同点タイムリーを打たれます。9回には髙橋信二のHRで再び均衡を破ったかのように見えましたが9回裏、守護神武田久が亀井善行に被弾し同点にされるとその後阿部にサヨナラHRを打たれ敗戦。劇的な形で巨人に王手をかけられてしまいます。

札幌ドームでの第6戦は日本ハム武田勝、巨人東野峻。
ただ巨人先発東野は髙橋信二の打球を手に受け14球で緊急降板。その後は内海が立ちはだかります。その内海を前に日本ハムは打線は沈黙。日本ハム先発武田は2回に谷のゴロの間に先制を許してしまうと6回には稲葉のエラーもあって2失点目。日本ハムはその後豊田清、山口鉄也、越智大祐、そしてクルーンを前に手も足も出ず無得点で敗戦。日本一は逃してしまいました。

日本ハムでは敢闘賞を受賞した髙橋信二が打率.385 2HR5打点、優秀選手賞を受賞した小谷野が.391 1HR 5打点と活躍しました。
一方稲葉は2HRは打ちましたが打率.208と低く、スレッジは.182、森本は.176と特に大砲クラスの選手が特に不調でした。

まとめ

この年の日本ハム打線がここ数年の貧打から流線型の強力打線を組んでいたこと、そしてダルビッシュを中心とした強い投手陣を形成していたことが分かるでしょう。
来年は梨田日本ハム3年目、悲願の日本一と連覇へどのようなシーズンを送ることになるのでしょうか。

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