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令和8年度 総監 記述式 模範解答例|地方創生(必須科目I-2)

この記事でわかること

  • 令和8年度(本試験)必須科目I-2「地方創生」の設問の要約

  • 全14の立場別の模範解答(自治体10・受注者4)を、設問(1)〜(3)のフル答案で本文に掲載

  • 各版はPDFでもダウンロードできる(記事末尾に14ファイルを添付)

  • 設問ごとの採点者視点と、テーマに依存しない答案の型


令和8年度 技術士第二次試験 総合技術監理部門(総監)の記述式I-2は「地方創生」が出題されました。「地方創生2.0基本構想」と「地方創生に関する総合戦略」(3つの政策目標と18のアウトプットa〜r)を土台にした出題です。

本試験テーマ「地方創生」は、6月1日(試験の約7週間前)公開の教材「設問(3)国家施策バンク」で事前に収録していた将来課題テーマの一つです。国土交通白書や政府の基本構想と連動した出題分析の実例として、本記事の模範解答とあわせてご覧ください。

総監記述式は、取り上げる事業や組織の立場によって、設問(1)(2)の書き方が大きく変わります。そこで本記事では、14の立場すべての模範解答を用意しました。目次から自分の業務に最も近い立場へ飛んで読み、必要なら末尾のPDFをダウンロードしてください。

作成者は総合技術監理部門の合格者(元・地方公共団体 土木職員=発注者)です。各解答は答案用紙1枚以内(各設問・各施策600字以内)の分量に合わせています。公式解答の発表前に作成した一例であり、テーマそのものより「どんなお題でも通用する答案の型」を読み取る材料としてご活用ください。


試験問題(令和8年度 必須科目I-2「地方創生」・設問の要約)

地方創生に貢献している事業や組織を1つ取り上げ、総合技術監理の視点から次の3問に答える構成です。

  • 設問(1):事業・組織の内容と、近い将来(おおむね5年以内)に貢献しうる取組を2つ(図のアウトプットa〜rから異なる項目を選択)

  • 設問(2):2つの取組それぞれの具体的内容・効果・障害と対応方策(各1枚以内、5管理のうち2つ以上の視点と異なる管理分野間のトレードオフを明記)

  • 設問(3):事業・組織の枠を超えた、国として取るべき施策を2つ(各1枚以内、複数視点での重大な障害と対応方策)

設問文の全文は、doboku-note の令和8年度 総監記述式 過去問解説に掲載しています。

立場別 模範解答(全14版)

以下、14の立場それぞれの模範解答を掲載します。各版は「前提条件 → 設問(1) → 設問(2) → 設問(3)」の順で、答案用紙1枚以内の分量で書いています。各版の最後に、その立場の模範解答PDFを添付しています(印刷して手元に置きたい方はどうぞ)。


自治体 道路担当(発注者)版

以下は、都道府県○○土木事務所 道路管理課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。道路・橋梁の維持管理と地域の安全な交通確保を担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○県○○土木事務所 道路管理課 課長補佐

  • 事業の性格:管内の県道・橋梁等の維持管理、点検・修繕の企画立案を担う発注者組織

  • 地域特性:人口減少・技術者不足が進む中山間地域を多く抱える県

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○県○○土木事務所 道路管理課であり、目的は管内の県道・橋梁等の道路インフラを適切に維持管理し、地域住民の安全な交通と社会経済活動を支える基盤を確保することにある。創出している成果物は、道路・橋梁等の構造物そのものに加え、点検データに基づく修繕計画、応急復旧を含む維持管理サービス、及びこれらを支える予算要求・発注関連の政策文書である。

管内には供用後50年を超える橋梁が増加しつつあり、人口減少に伴う技術系職員の減少とも相まって、従来の事後保全型の管理体制の限界が顕在化している。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:k.インフラの維持を目指し、点検データとデジタルツインを活用した予防保全型メンテナンスへの転換を進める。

  • 取組2:l.災害対応の強化の促進を目指し、道路BCP(事業継続計画)に基づく道路啓開体制の高度化を進める。

いずれも、限られた人員・予算のもとで道路インフラという生活インフラを持続的に維持し、地域が将来にわたって「選ばれる地方」であり続けるための基盤づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: デジタルツイン・点検DXによる予防保全型メンテナンスへの転換(取組1)

道路管理課が保有する橋梁・舗装の点検データを3次元国土基本図と連携させ、サイバー空間上にインフラ状態を再現するデジタルツインを構築する。地域の建設業協会・測量業者と連携し、ドローン・AIによる路面性状の自動診断を定期点検に組み込み、収集データをデジタルツイン上で一元管理する。

これにより、劣化が進行する前に修繕の優先順位を判定できる予防保全型の管理へ転換し、大規模修繕や通行止めに至る前に対応する体制を構築する。

この取組がインフラの維持というアウトプットの達成につながる理由は、点検データを構造物ごとに時系列で蓄積・可視化することで、限られた予算を劣化の速い構造物へ優先配分でき、事後保全で生じていた突発的な大規模修繕・架替えを回避できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。情報管理の視点では、点検データの形式が業者ごとに異なり、デジタルツインへの統合に膨大な整備コストを要する(情報管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、建設業協会と連携してデータ形式を統一する仕様書標準を協議のうえ策定し、段階的に移行することで整備コストを平準化する。

人的資源管理の視点では、AI診断結果を検証できる技術系職員が不足し、判定の妥当性を担保する体制が弱い(人的資源管理×安全管理のトレードオフ)。これに対し、近隣自治体と技術職員を相互派遣する広域連携協定を締結し、検証体制を共同で構築する。

施策 2-2: 道路BCP・道路啓開体制の高度化(取組2)

管内の道路法改正に基づく道路啓開計画の法定化を踏まえ、地域の建設業者・自主防災組織と連携した道路BCPを策定し、大規模災害発生時の道路啓開ルート・資機材・応援体制をあらかじめ協定化する。平時から啓開訓練を建設業協会と合同で実施し、新総合防災情報システムとの連携により、被災状況をリアルタイムで共有できる体制を整える。

この取組が災害対応の強化の促進というアウトプットの達成につながる理由は、あらかじめ啓開ルートと役割分担を協定化しておくことで、発災直後の初動対応時間を短縮し、緊急輸送道路の機能不全による孤立集落の発生を防げるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、啓開訓練や資機材の事前配置には平時から継続的な予算が必要だが、財政制約のもとで防災投資は後回しにされやすい(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、国土強靱化の交付金を活用しつつ、啓開ルート整備を予防保全の修繕計画と一体的に発注することで投資効率を高める。

情報管理の視点では、被災状況の共有を担う建設業者の担い手不足により、現場情報を発注者へ正確に伝える体制が地域内で手薄になっている(情報管理×人的資源管理のトレードオフ)。これに対し、複数の土木事務所管内で相互応援協定を結び、防災情報システムの操作を含めて広域で技術者を融通できる仕組みを平時から構築しておく。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: インフラメンテナンス人材の育成・リスキリング促進

①施策の内容:h.人材育成・リスキリング促進を目指し、国が主導してインフラ点検・維持管理分野の人材育成プログラムを全国的に整備する。i-Construction 2.0が掲げる建設現場の省人化目標と連動させ、デジタルツイン・BIM/CIMを扱える技術者を地域の高専・工業高校と連携して計画的に育成する。

②有効性と実現性:全国の橋梁・水利施設で標準耐用年数を超える施設が過半に達しており、限られた技術者でインフラを支えるには省力化技術を使いこなす人材が不可欠である。国が示す省人化目標と歩調を合わせることで、施策の方向性に一貫性が生まれ、地方の教育機関を巻き込むことで実現性も高い。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、育成した人材が都市部の民間企業へ流出し、地方の公共インフラを支える人材として定着しないことである。これは地方の人手不足という我が国の構造課題と直結する。対応方策として、地域の建設業者・自治体・教育機関が連携する協議会を設け、育成段階から地元企業との接点を持たせるとともに、資格取得支援と処遇改善を組み合わせて地方での就業を後押しする。

施策 3-2: インフラ技術者の地方への移住・定着推進

①施策の内容:r.地方への移住推進を目指し、インフラ点検・維持管理業務を軸とした二地域居住・地域おこし協力隊の受け皿を拡充する国の施策を進める。都市部の技術者が地方のインフラ管理業務に週単位で関わる仕組みを整え、関係人口としての参画から移住・定着へつなげる。

②有効性と実現性:地域おこし協力隊は任期終了後も地域に定住する割合が高く、二地域居住を支える環境整備が制度面で進みつつある。都市部人材の専門性を地方のインフラ管理という具体的な業務に接続することで、抽象的な移住促進より参画のハードルが下がり、実現性が高い。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、都市部の技術者にとって地方のインフラ管理業務が生活基盤として不安定に映り、移住の決断に踏み切れないことである。これは東京圏への過度な一極集中という我が国が直面する課題の裏返しでもある。

対応方策として、地方公共団体と国が連携し、住宅・コワーキングスペース等の環境整備計画を支援するとともに、複数自治体の業務を掛け持ちできる広域雇用の枠組みを整え、収入面の不安定さを緩和する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(道路担当版)。

自治体 河川担当(発注者)版

以下は、都道府県○○土木事務所 河川砂防課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。管内二級河川の堤防・護岸・砂防施設の維持管理と、流域治水の企画を担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○県○○土木事務所 河川砂防課 課長補佐

  • 事業の性格:管内の二級河川・準用河川の堤防・護岸・水門・砂防施設の維持管理と、流域治水・水防体制の企画立案を担う発注者組織

  • 地域特性:人口減少と技術系職員の減少が進み、豪雨災害の激甚化にさらされる中山間地域を多く抱える県

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○県○○土木事務所 河川砂防課であり、目的は管内の二級河川・準用河川の堤防・護岸・水門・砂防施設を適切に維持管理し、流域住民の生命・財産を洪水と土砂災害から守る安全な地域を確保することにある。創出している成果物は、河川構造物・砂防施設そのものに加え、河川巡視・点検記録、補修設計図書、河川整備計画、及び流域治水を関係者と協働で進めるための政策文書である。

管内には供用後50年を超える護岸・水門が増加しつつあり、人口減少に伴う河川技術系職員の減少とも相まって、従来の事後保全型の管理体制と、行政単独の水防体制の限界が顕在化している。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:k.インフラの維持を目指し、点検DXと予防保全型メンテナンスへの転換により、限られた人員・予算で河川構造物を持続的に維持する体制を築く。

  • 取組2:l.災害対応の強化の促進を目指し、流域治水協議会を核とした水防・河川管理施設のBCP高度化を進める。

いずれも、担い手が細るなかで河川インフラという生活基盤を守り、地域が将来にわたって安心して住み続けられる「選ばれる地方」であるための土台づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

取組1:点検DX・予防保全型メンテナンスへの転換(k.インフラの維持)

河川砂防課が保有する堤防・護岸・砂防施設の点検データを3次元国土基本図と連携させ、ドローンとAI画像解析による法面・護岸ブロックの変状自動診断を定期点検に組み込む。地域の建設業協会・測量業者と連携し、収集データをGISベースのデジタル台帳で一元管理し、劣化が進む前に補修の優先順位を判定する予防保全型の管理へ転換する。

この取組がインフラの維持というアウトプットの達成につながる理由は、点検結果を構造物ごとに時系列で蓄積・可視化することで、限られた予算を劣化の速い施設へ優先配分でき、事後保全で生じていた突発的な大規模補修を回避できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。情報管理の視点では、点検データの形式が業者ごとに異なり、AI診断用の教師データ整備に膨大なコストを要する(情報管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、建設業協会と協議してデータ形式の統一仕様を策定し、変状の多い老朽区間から段階的に移行して整備コストを平準化する。人的資源管理の視点では、AI診断結果を検証できる技術系職員が不足し、判定の妥当性を担保する体制が弱い(人的資源管理×安全管理のトレードオフ)。これに対し、近隣自治体と技術職員を相互派遣する広域連携協定を締結し、検証体制を共同で構築する。

取組2:流域治水協議会を核とした水防・河川管理施設のBCP高度化(l.災害対応の強化の促進)

流域治水協議会の枠組みを活かし、地域の建設業者・自主防災組織・農業者と連携した水防・河川管理施設のBCPを策定する。操作要員の高齢化に備え水門・排水機場の操作を遠隔化・自動化し、被災時の役割分担と資機材を協定化する。平時から水防訓練を関係者と合同で実施し、防災情報システムで被災状況を共有する体制を整える。

この取組が災害対応の強化の促進につながる理由は、操作・応急復旧の体制と役割を事前に協定化して初動を早め、水門操作の遅れによる浸水被害の拡大を防げるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、遠隔化設備や訓練に平時から継続的な予算が要るが、財政制約下で防災投資は後回しにされやすい(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、国土強靱化の交付金で施設改良を補修計画と一体発注し、協議会で投資効果を示して合意を得る。情報管理の視点では、被災状況の共有を担う地域の建設業者の担い手不足で、現場情報を発注者へ伝える体制が手薄になっている(情報管理×人的資源管理のトレードオフ)。これに対し、複数の土木事務所で相互応援協定を結び、防災情報システムの操作を含め広域で技術者を融通する。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1:国土の災害リスク分散と安全な地域形成(l.災害対応の強化の促進)

①施策の内容とアウトプット・つながる理由:人口と機能が災害リスクの高い地域に集中したまま放置すると、巨大災害が国家機能と多数の生命を一度に脅かす。そこで、ハザード情報に基づく土地利用の規制・誘導を国土政策として強化し、災害リスクの低い地域への居住・機能の誘導と、リスクの高い地域での流域治水の強化を進め、安全を組み込んだ国土構造へ転換する。これはl.災害対応の強化の促進につながり、人口減少で土地利用を再編する余地が生まれる局面を、災害に強い国土へ作り替える好機とする。

②有効性と実現性:気候変動で災害が激甚化する見通しのなか、リスクを前提とした立地誘導の有効性は高い。政府も流域治水や立地適正化と連動した防災まちづくりを進めており、既存制度の運用で実現できる。人口減少で市街地の再編余地が生まれる社会情勢の変化も、安全な国土形成の追い風となる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、安全を優先した立地規制が、利便性の高い既存市街地の経済活動と相反することである(安全管理×経済性管理のトレードオフ)。安全管理の視点では、ハザード情報を国レベルで整備・公開し、重要施設から優先的にリスクの低い立地へ誘導する。経済性管理の視点では、規制一辺倒ではなく、安全な地域への移転支援とリスク地域での減災投資を組み合わせ、経済活動への影響を抑えながら安全性を高める。

施策 3-2:デジタル田園都市国家構想による地域サービスの維持(k.インフラの維持)

①施策の内容とアウトプット・つながる理由:人口が減少した地域では、医療・教育・交通・行政などの生活サービスや、それを支えるインフラ管理を、従来の対面・拠点型で維持することが困難になる。そこで、デジタル技術を徹底活用し、遠隔サービスと広域でのインフラ点検・管理を、人口密度に依存しない形で再構築する。地域のデータ基盤を整備し、少ない人員で広域に必要な機能を届ける構造へ転換することで、k.インフラの維持につなげる。

②有効性と実現性:サービス供給の単位を物理的な拠点からデジタル基盤へ移すことで、過疎地でも生活機能とインフラ管理を維持できる点で有効性が高い。通信基盤の整備と生成AI等の技術革新が遠隔サービスの実用性を急速に高めており、政府もデジタル田園都市国家構想として予算を投じて推進しているため、既存政策の延長線上で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、デジタル化を進めるほど高齢者など利用に不慣れな層が取り残され、地域内で格差が生じることである(情報管理×社会環境管理のトレードオフ)。情報管理の視点では、データ連携の標準を国が定めて分野横断でサービスをつなぎ、誰もが使える共通基盤として整備する。社会環境管理の視点では、デジタル支援員の配置や対面窓口の併設で利用格差を埋め、住民の理解を得ながら段階的に移行する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(河川担当版)。

自治体 港湾担当(発注者)版

以下は、都道府県○○港湾事務所 港湾整備課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。重要港湾○○港の岸壁・防波堤・臨港道路の整備と維持管理、地域の物流基盤の確保を担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○県○○港湾事務所 港湾整備課 課長補佐(港湾及び空港分野の発注・監督担当)

  • 事業の性格:重要港湾○○港の岸壁・防波堤・臨港道路等の整備と維持管理、物流機能の確保を担う発注者組織

  • 地域特性:人口減少で在来貨物が縮小する一方、背後に地場産業を抱え、地震・津波リスクの高い臨海地域

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○県○○港湾事務所 港湾整備課であり、目的は重要港湾○○港の岸壁・防波堤・臨港道路等を整備・維持管理し、地域の物流基盤と安全な海上輸送を確保することにある。創出している成果物は、港湾施設という構造物そのものに加え、港湾計画・長寿命化計画、物流機能を維持する発注・監督サービス、及び予算要求や港湾関係機関との調整を担う政策文書である。

人口減少で在来貨物が縮小する一方、背後の地場産業は物流コストの低減と災害時の輸送継続を強く求めており、港湾を核とした地域経済の維持が課題となっている。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:c.産業の地方移転・産業立地促進を目指し、港湾を核とした産業・物流機能の誘致により背後圏への企業立地を促す。

  • 取組2:l.災害対応の強化の促進を目指し、耐震強化岸壁と港湾BCPを軸に海上輸送の代替路を確保する。

いずれも、限られた人員・予算のもとで港湾という基盤を持続的に活かし、地域が将来にわたって「選ばれる地方」であり続けるための土台づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

取組1:港湾を核とした産業・物流機能の誘致(c.産業の地方移転・産業立地促進)

港湾整備課が管理する岸壁・埠頭用地と臨港道路を活かし、地元自治体の企業誘致部局・港湾運送事業者・地場産業界・地方銀行と連携して、港湾を核とした物流拠点・製造拠点の立地を促す。荷主のニーズを踏まえて埠頭の再編・用地整備を発注者として計画し、金融界の投資と、産業振興部局が所管する立地補助策との連携を図りながら、背後圏への産業移転を後押しする。

この取組が産業の地方移転・産業立地促進というアウトプットの達成につながる理由は、港湾の物流機能と用地を一体で提供することで、企業にとって輸送コストと立地コストの双方が下がり、東京圏に集中していた物流・製造機能を地方へ呼び込む誘因が生まれるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。社会環境管理の視点では、埠頭再編や用地整備が漁業権・港湾利用者・住民の既得の利害と衝突し、合意形成の遅れが立地機会を逃すおそれがある。経済性管理の視点では、需要が不確実なまま先行して用地・岸壁を整備すると過剰投資となる(社会環境管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、産官学金労言士による港湾活用協議会を設けて利害を可視化し、需要が固まった区画から段階的に整備する仕組みで、合意形成と投資効率を両立させる。

取組2:耐震強化岸壁・港湾BCPによる災害対応の強化(l.災害対応の強化の促進)

道路啓開計画の法定化と歩調を合わせ、港湾機能継続計画(港湾BCP)の枠組みに基づき、地元建設業協会・港湾運送事業者・海上保安部・近隣港湾管理者と連携し、耐震強化岸壁を核とした港湾BCPを策定する。発災時に海上から緊急物資・燃料を受け入れる代替輸送路と、岸壁・航路の啓開ルート・資機材・応援体制をあらかじめ協定化し、防災情報システムと連携して被災状況を共有する。

この取組が災害対応の強化の促進というアウトプットの達成につながる理由は、陸上輸送が寸断される大規模災害でも、耐震強化岸壁を拠点に海上輸送の代替路を確保することで、背後圏の孤立を防ぎ、地域の生活と産業活動の継続を支えられるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、耐震強化岸壁の整備と啓開資機材の事前配置には多額の継続的予算が必要だが、財政制約下で防災投資は後回しにされやすい。安全管理の視点では、平時に使わない代替機能ゆえ訓練不足のまま形骸化し、発災時に機能しない懸念がある(経済性管理×安全管理のトレードオフ)。これに対し、国土強靱化の交付金を活用して耐震化を平時の岸壁改良と一体で発注し、建設業協会と合同の啓開訓練を協定で定例化して実効性を保つ。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1:東京一極集中の是正と機能の地方分散(c.産業の地方移転・産業立地促進)

①施策の内容とアウトプット・つながる理由:人・企業・行政機能が東京圏へ過度に集中し、地方の活力低下と巨大災害時の国家機能の脆弱性を同時に高めている。そこで、企業の本社・物流機能や政府関係機関の地方移転を促し、二地域居住やテレワークを後押しして、人と機能を全国へ分散させる。港湾等の物流基盤を分散先の受け皿として整備することで、c.産業の地方移転・産業立地促進につなげる。

②有効性と実現性:機能分散は地方の雇用と税源を生むとともに、首都直下地震等の際の国家機能の継続性を高める二重の効果を持つ。コロナ禍を経てテレワークが定着し、技術的に分散の前提が整った。政府は企業の地方移転への税制優遇や政府機関移転を進めており、既存政策の拡充で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、東京圏の集積がもたらす経済効率と、分散による国土の均衡が相反することである(社会環境管理×経済性管理のトレードオフ)。社会環境管理の視点では、災害リスクの分散と地方の持続可能性という長期の国土価値で分散の意義を位置づける。経済性管理の視点では、分散先にも産業集積が生まれるよう港湾・デジタル基盤と交通網を重点整備し、効率性の損失を最小化しながら分散を進める。

施策 3-2:国土の災害リスク分散と安全な地域形成(l.災害対応の強化の促進)

①施策の内容とアウトプット・つながる理由:人口と機能が災害リスクの高い地域に集中したまま放置すると、巨大災害が国家機能と多数の生命を一度に脅かす。そこで、ハザード情報に基づく土地利用の規制・誘導を国土政策として強化し、リスクの低い地域への居住・機能の誘導と、港湾等の重要拠点での耐震・耐津波対策を進め、安全を組み込んだ国土構造へ転換する。これはl.災害対応の強化の促進につながる。

②有効性と実現性:人口減少で土地利用を再編する余地が生まれる局面は、災害に強い国土へ作り替える好機でもある。気候変動で災害が激甚化する見通しのなか、リスクを前提とした立地誘導の有効性は高い。政府も流域治水や立地適正化と連動した防災まちづくりを進めており、既存制度の運用で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、安全を優先した立地規制が、利便性の高い既存市街地や臨海部の経済活動と相反することである(安全管理×経済性管理のトレードオフ)。安全管理の視点では、ハザード情報を国レベルで整備・公開し、重要施設から優先的にリスクの低い立地へ誘導する。経済性管理の視点では、規制一辺倒ではなく、安全な地域への移転支援とリスク地域での減災投資を組み合わせ、経済活動への影響を抑えながら安全性を高める。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(港湾担当版)。

自治体 砂防担当(発注者)版

以下は、○○県○○土木事務所 砂防課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。砂防堰堤・急傾斜地崩壊防止施設・地すべり対策施設の整備・維持管理と、住民の警戒避難体制の確保を担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○県○○土木事務所 砂防課 課長補佐

  • 事業の性格:管内の土砂災害対策施設(砂防堰堤・急傾斜地崩壊防止施設等)の整備・維持管理と、警戒避難体制(土砂災害警戒区域の指定・ハザード情報提供)を担う発注者組織

  • 地域特性:人口減少・技術者不足が進み、山間部・急傾斜地背後に土砂災害高リスク集落を多く抱える県

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○県○○土木事務所 砂防課であり、目的は管内の砂防堰堤・急傾斜地崩壊防止施設・地すべり対策施設を適切に整備・維持管理し、豪雨激甚化時代においても住民の生命・財産を土砂災害から守ることにある。創出している成果物は、土砂災害対策施設そのものに加え、施設点検調書・健全度評価報告書、土砂災害警戒区域の指定に用いる基礎調査結果、住民向けのハザード情報・警戒避難計画といった防災サービス及び政策文書である。

管内には設置後30年を超える砂防施設が増加する一方、少子化を背景とした土木職の採用難と熟練技術者の退職が重なり、平時の維持管理と豪雨時の緊急対応を限られた人員で両立させる限界が顕在化している。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:l.災害対応の強化の促進を目指し、砂防のハード対策と警戒避難のソフト対策を一体化した土砂災害対応体制の高度化を進める。

  • 取組2:k.インフラの維持を目指し、点検DXによる砂防施設の予防保全型・長寿命化管理への転換を進める。

いずれも、住民が土砂災害の危険と背中合わせの中山間地域で安心して暮らし続け、地域が将来にわたって「選ばれる地方」であるための基盤づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: ハード・ソフト一体の土砂災害対応体制の高度化(取組1)

砂防堰堤等のハード整備の進捗情報と、SAR衛星・雨量観測に基づく斜面変位・土砂移動の予兆情報を統合し、危険度をリアルタイムで可視化するシステムを構築する。地元建設業協会・自主防災組織・市町村と連携し、警戒区域ごとの避難ルート・要配慮者名簿・啓開資機材をあらかじめ協定化し、合同避難訓練を平時から実施する。

この取組が災害対応の強化の促進というアウトプットの達成につながる理由は、ハード整備で守り切れない残余リスクを、予兆情報に基づく早期避難というソフト対策で補完し、逃げ遅れによる人的被害を最小化できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。安全管理の視点では、避難の空振りを恐れて発令判断が遅れると人的被害に直結する一方、頻繁な発令は住民の警報慣れと避難疲れを招く(安全管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、市町村・自主防災組織と発令基準を事前に合意し、段階的な情報提供で住民の主体的判断を支える。情報管理の視点では、予兆情報を扱える職員が不足し判定の妥当性を担保しにくい(情報管理×人的資源管理のトレードオフ)。これに対し、解析は地質コンサルへ委託し、危険度ランクに基づく最終判断を近隣自治体と相互応援協定で融通する体制を構築する。

施策 2-2: 点検DXによる砂防施設の予防保全・長寿命化管理(取組2)

砂防堰堤の堆砂量測定・急傾斜地施設の変状把握に、ドローンのUAVレーザーとAI画像診断を導入し、収集データを施設ごとの健全度台帳へ時系列で一元管理する。地元測量業者・建設業協会と連携し、入渓リスクの高い現地測量を遠隔計測へ置き換え、変位が閾値を超えた施設のみ集中点検する優先度付き管理へ移行する。

この取組がインフラの維持というアウトプットの達成につながる理由は、劣化・堆砂の進行を早期に定量把握することで、限られた予算を優先度の高い施設へ重点配分でき、機能喪失に至る前の予防的な補修で施設を長寿命化できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、点検DXの機器導入と台帳整備には初期投資が必要だが、財政制約下で予防的投資は後回しにされやすい(経済性管理×人的資源管理のトレードオフ)。これに対し、データ入力を測量コンサルへ委託して所内工数を外部化し、初期整備費は施設長寿命化計画に基づく国の交付金を活用して平準化する。情報管理の視点では、業者ごとに点検データの形式が異なり台帳統合の妨げとなる(情報管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、建設業協会と協議して納品データ形式の仕様書標準を定め、段階的に統合コストを抑える。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: 国土の災害リスク分散と安全な地域形成

①施策とアウトプット:l.災害対応の強化の促進を目指し、ハザード情報に基づく土地利用の規制・誘導を国土政策として強化する。人口と機能が土砂災害等の高リスク地域に集中したまま放置すると巨大災害が生命と国家機能を一度に脅かすため、リスクの低い地域への居住・機能誘導と、高リスク地域での対策強化を進め、安全を組み込んだ国土構造へ転換する。これが災害対応の強化につながる。

②有効性と実現性:人口減少で土地利用を再編する余地が生まれる局面は、災害に強い国土へ作り替える好機でもある。気候変動で土砂災害が激甚化する見通しのなか、立地誘導の有効性は高い。政府も流域治水や立地適正化と連動した防災まちづくりを進めており、既存制度の運用で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、安全を優先した立地規制が、利便性の高い既存市街地の経済活動と相反することである(安全管理×経済性管理のトレードオフ)。これは限られた財源で国土の安全と経済効率をどう両立させるかという我が国の構造課題と直結する。対応方策として、安全管理の視点では、ハザード情報を国レベルで整備・公開し、重要施設から優先的にリスクの低い立地へ誘導する。経済性管理の視点では、規制一辺倒でなく、安全な地域への移転支援とリスク地域での減災投資を組み合わせ、経済活動への影響を抑えながら安全性を高める。

施策 3-2: コンパクト+ネットワークによる都市機能の集約

①施策とアウトプット:k.インフラの維持を目指し、居住と都市機能を拠点へ緩やかに集約し、拠点間を公共交通で結ぶ「コンパクト+ネットワーク」の国土・都市構造へ転換する。人口が薄く広がったまま市街地を維持するとインフラの一人当たりコストが膨張し財政的に持続できないため、立地適正化計画等で持続可能な土地利用へ誘導し、砂防を含む生活インフラを維持可能な範囲に収める。これがインフラの維持につながる。

②有効性と実現性:人口減少局面で限られた財源を効率的に使い、インフラの維持更新負担を抑えながら生活利便を保つ現実的な方策であり、政府が国土形成計画の基本方針に掲げている。インフラ老朽化と更新需要の集中という財政制約の背景とも整合し、既存の都市計画制度の運用で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、機能集約が長年住み慣れた地域からの移転を伴い、住民の生活継続性と感情に反することである(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これは地方の人口減少と地域社会の維持という我が国の構造課題と直結する。対応方策として、経済性管理の視点では、集約による維持コスト削減の効果を長期の財政見通しで可視化し、限られた財源の重点配分を正当化する。社会環境管理の視点では、移転を強制せず利便性向上と支援策で緩やかに誘導し、拠点外地域にも最低限の生活機能と土砂災害への備えを残して合意を形成する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(砂防担当版)。

自治体 下水道担当(発注者)版

以下は、○○市上下水道局 下水道課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。下水道管路・処理場の維持管理・改築更新と経営を担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○市上下水道局 下水道課 課長補佐(施工計画・積算・発注監理の担当)

  • 事業の性格:管内の公共下水道(管路・浄化センター)の維持管理・改築更新と、下水道使用料による事業経営を担う発注者組織

  • 地域特性:人口減少が進み、下水道使用料収入の減少と施設の老朽化・技術者不足が同時に進行する地方都市

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○市上下水道局 下水道課であり、目的は管内の公共下水道(管路約300km・浄化センター)を適切に維持管理・改築更新し、汚水の安全な収集・処理と快適な生活環境を持続的に確保することにある。創出している成果物は、下水道管路・処理施設という構造物そのものに加え、点検データに基づくストックマネジメント計画、改築更新の設計・積算図書、及び下水道使用料による事業経営を支える経営戦略・予算関連の政策文書である。

管内には供用後50年(法定耐用年数)を超える老朽管路が増加する一方、人口減少に伴う使用料収入の減少と土木職員の不足が重なり、従来の事後保全型・単独経営の限界が顕在化している。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:k.インフラの維持を目指し、点検データに基づくストックマネジメントで管路・処理場の予防保全型の改築更新へ転換する。

  • 取組2:n.持続可能なまちづくりを目指し、人口減少に対応した処理区の再編・汚水処理施設のダウンサイジングを進める。

いずれも、限られた人員・財源のもとで下水道という生活基盤を持続的に維持し、地域が将来にわたって暮らし続けられる基盤づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: ストックマネジメントによる予防保全型の改築更新(取組1)

下水道課が保有する管路のカメラ調査データ・処理場の設備台帳を一元化したデータベースを構築し、布設年度・管種・腐食環境から健全度を評価するストックマネジメント計画を策定する。地域の建設業協会・管路調査業者と連携して調査・診断の様式を統一し、健全度の低い管路から優先的に改築更新を発注する体制へ転換する。これにより、道路陥没や機能停止に至る前に対応する予防保全型の管理を確立する。

この取組がインフラの維持というアウトプットの達成につながる理由は、管路を構造物ごとに時系列で評価・可視化することで、限られた予算を劣化の速い施設へ優先配分でき、事後保全で生じていた突発的な緊急工事・陥没復旧を回避できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。情報管理の視点では、精緻な健全度評価には全管路の調査データ整備が前提だが、300km全線の調査は費用・人員の負担が大きく、初期のデータ整備で財政が圧迫される(情報管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、調査空白区間から委託を優先し、社会資本整備総合交付金を財源に活用して負担を平準化する。

人的資源管理の視点では、AI診断や健全度判定の妥当性を検証できる技術系職員が不足している(人的資源管理×安全管理のトレードオフ)。これに対し、近隣自治体と技術職員を相互派遣する広域連携協定を締結し、検証体制を共同で構築する。

施策 2-2: 処理区再編と汚水処理施設のダウンサイジング(取組2)

人口減少で汚水量が減少した区域について、複数の処理区を統廃合し、老朽化した小規模浄化センターを廃止・集約するとともに、更新時に施設能力を実需要に合わせて縮小するダウンサイジングを進める。地域の住民・地元建設業者・下水道公社と連携し、集約先への送水管整備と維持管理の共同発注を計画的に発注する。

この取組が持続可能なまちづくりというアウトプットの達成につながる理由は、過大となった処理能力を実需要に合わせることで、更新投資とランニングコストを圧縮し、人口減少後も使用料で賄える身の丈の施設構成へ再構築できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、施設集約は長期のコスト削減に資する一方、送水管整備や統合の初期投資がかさみ、廃止施設周辺の住民には受益の変化への不安が生じる(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、集約による維持コスト削減効果を長期の経営見通しで住民・議会に可視化し、段階的な集約で合意を形成する。

安全管理の視点では、汚水量が減った管路では流速低下による硫化水素の発生・腐食や堆積が進み、施設縮小と機能維持が相反する(安全管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、流下能力を確保する管路縮径・伏越し改良を集約計画と一体で発注し、腐食対策を織り込む。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: コンパクト+ネットワークによる都市機能の集約

①課題と施策:n.持続可能なまちづくりを目指す。人口が薄く広がったまま市街地を維持すると、下水道をはじめとするインフラと行政サービスの一人当たりコストが膨張し、財政的に持続できない。そこで居住と都市機能を拠点へ緩やかに集約し、拠点間を公共交通で結ぶ「コンパクト+ネットワーク」の都市構造へ転換する。立地適正化計画により、汚水処理の効率が高い集約市街地へ長期的に土地利用を誘導する。

②有効性と実現性:人口減少局面で限られた財源を効率的に使い、インフラの維持更新負担を抑えながら生活利便を保つ現実的な方策であり、政府が国土形成計画の基本方針として掲げている。下水道施設の老朽化と更新需要の集中という財政制約の背景とも整合し、既存の都市計画制度の運用で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、機能集約が長年住み慣れた地域からの移転を伴い、住民の生活継続性と感情に反すること、すなわち 経済性管理×社会環境管理(財政効率と住民の生活継続性)の対立である。対応方策として、経済性管理の視点では、集約による維持コスト削減の効果を長期の財政見通しで可視化し、限られた財源の重点配分を正当化する。社会環境管理の視点では、移転を強制せず、利便性の向上と支援策で緩やかに誘導し、拠点外地域にも最低限の生活機能を残して合意を形成する。

施策 3-2: デジタル田園都市国家構想による地域サービスの維持

①課題と施策:k.インフラの維持を目指す。人口が減少した地域では、下水道等のインフラを従来の対面・拠点型の人員体制で維持することが困難になる。そこでデジタル技術を徹底活用し、AI管路診断・IoTによる処理場の遠隔監視・広域でのデータ共有など、現地人員に依存しない形で維持管理を再構築し、少ない人員で広域に必要な維持管理を届ける構造へ転換する。

②有効性と実現性:維持管理の供給単位を物理的な拠点からデジタル基盤へ移すことで、過疎地でもインフラ機能を維持でき有効性が高い。通信基盤の整備と生成AI等の技術革新が遠隔診断の実用性を高めており、政府もデジタル田園都市国家構想として予算を投じて推進している。既存の行政デジタル化政策の延長線上で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、AI診断の精度保証に必要な教師データの標準化が進まず、自治体ごとにデータがサイロ化していること、すなわち 情報管理×社会環境管理(データ活用と地域・現場の受容性)の対立である。情報管理の視点では、国が標準フォーマットとAPI仕様を定めて分野横断でデータをつなぎ、共通基盤として整備する。社会環境管理の視点では、AI診断を根拠とする責任フロー(一次診断はAI・最終判定は有資格者)を制度で明示し、中小自治体への支援員配置で活用格差を埋めながら段階的に移行する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(下水道担当版)。

自治体 上水道担当(発注者)版

以下は、○○市水道局 管路整備課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。浄水場・配水管路の維持管理・更新と水道事業経営を担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○市水道局 管路整備課 課長補佐(工事発注・監督業務の総括)

  • 事業の性格:市内の浄水場・配水管路(総延長600km)の維持管理・更新と、水道料金による事業経営を担う発注者組織

  • 地域特性:人口減少で料金収入が漸減し、法定耐用年数(40年)を超過した管路が約40%に達する地方都市

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○市水道局 管路整備課であり、目的は経年劣化した配水管路の更新と耐震化により断水リスクを低減し、少子高齢化に伴う需要減少局面においても安全な水を安定して供給し続けることにある。創出している成果物は、浄水場・配水管路という構造物そのものに加え、管路更新工事の設計・積算図書、劣化リスクを可視化したアセットマネジメント計画、漏水調査・修繕履歴データベース、及び水道料金による事業経営を支える経営戦略・予算関連の政策文書である。

管内には法定耐用年数を超過した管路が約240km存在し、熟練技術者の大量退職と料金収入の漸減が重なって、従来の事後保全型・単独経営の限界が顕在化している。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:k.インフラの維持を目指し、アセットマネジメントに基づく管路の計画的な耐震化・更新と、近隣自治体との水道広域連携を進める。

  • 取組2:m.満足できる子育て・医療・介護・福祉サービスの実現を目指し、災害時にも途切れない安全な水の供給という生活基盤サービスを維持する体制を構築する。

いずれも、限られた人員・財源のもとで水道という生活インフラを持続的に維持し、地域が将来にわたって暮らし続けられる「豊かな生活環境」を支える基盤づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: アセットマネジメントと広域連携による管路更新(取組1)

管路整備課が保有する過去の管路更新・漏水修繕記録をGIS上に集約し、管種・埋設年次・土質・破損履歴から劣化リスクを可視化するアセットマネジメント基盤を構築する。地域の管工事業協会・測量業者と連携して更新工事の共同発注体制を整え、隣接自治体とは管路更新の共同発注・技術職員の相互融通を制度化して広域連携を進める。これにより、限られた予算をリスクの高い区間へ優先配分し、事後保全型から予防保全型の管理へ転換する。

この取組がインフラの維持というアウトプットの達成につながる理由は、劣化リスクを順位付けして更新を計画化することで突発的な断水事故と緊急修繕を回避でき、単独では維持困難な施設・技術者を広域で補完できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、GIS基盤の整備と全路線更新には多大な投資を要するが、料金収入が減少する財政制約下で全区間への一括展開は困難である(経済性管理×安全管理のトレードオフ)。これに対し、初年度は幹線管路に絞って先行実装し、削減効果を定量検証のうえ段階的に拡大する。社会環境管理の視点では、料金水準の異なる自治体間で費用負担を合意するのは難しく、協議が頓挫しやすい(社会環境管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、経営統合を前提としない共同発注・共同研修から着手して連携実績を積み、便益試算の透明化と国の激変緩和措置で合意形成を図る。

施策 2-2: 災害時にも途切れない安全な水の供給体制(取組2)

配水池の耐震化と管路網のループ化・重要給水施設への優先配水ルート整備を進め、地域の管工事業者・自主防災組織と連携した災害時の応急給水協定を締結する。病院・高齢者施設・保育所等の生活基盤施設を優先給水拠点として位置づけ、平時から応急給水訓練を業協会と合同で実施し、被災状況を関係者間でリアルタイム共有できる体制を整える。

この取組が満足できる子育て・医療・介護・福祉サービスの実現につながる理由は、水は医療・介護・子育てのいずれにも不可欠な基盤であり、災害時にも安全な水を優先的に届ける体制を整えておくことで、脆弱な立場の住民の生命と生活を守れるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、耐震化や資機材の事前配置には平時から継続的な予算が必要だが、財政制約のもとで防災投資は後回しにされやすい(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、国土強靱化の交付金を活用しつつ、優先給水ルートの整備を管路更新計画と一体的に発注して投資効率を高める。人的資源管理の視点では、応急給水と情報共有を担う職員・地域の担い手が不足し、発災直後の初動体制が地域内で手薄になっている(人的資源管理×安全管理のトレードオフ)。これに対し、近隣自治体と技術職員を相互派遣する広域応援協定を締結し、給水拠点運営と情報システム操作を含めて広域で人員を融通できる仕組みを平時から構築しておく。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: 広域連携・圏域行政による行政機能の維持

①課題と施策:k.インフラの維持を目指す。人口減少で個々の自治体が単独で水道等の専門行政を維持することが難しくなる。そこで、複数の自治体が連携して圏域単位で行政機能を担う広域連携を制度的に推進する。専門人材・施設・システムを共同で整備・運用し、限られた資源で必要な生活インフラを持続可能な形で提供する。

②有効性と実現性:単独では維持できない専門行政(インフラ管理・防災・情報システム等)を圏域で支え合う現実的な方策であり、政府も連携中枢都市圏などの枠組みを整備している。自治体のデジタル化と標準化の進展が広域連携の技術的基盤を後押ししており、既存制度の拡充で実現できる。重複施設の削減による財政負担軽減という経済の動向とも整合する。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、広域化で行政が効率化する一方、住民から行政が遠くなり、地域ごとの実情に応じた自治が損なわれること、すなわち 経済性管理×社会環境管理(行政効率と住民自治・受容性)の対立である。対応方策として、経済性管理の視点では、共同化による費用削減と専門性向上の効果を明示し、限られた人材・財源の有効活用を図る。社会環境管理の視点では、広域で担う機能と各自治体に残す機能を整理し、住民参加の仕組みを保って自治と受容性を確保する。

施策 3-2: デジタル田園都市国家構想による地域サービスの維持

①課題と施策:m.満足できる子育て・医療・介護・福祉サービスの実現を目指す。人口が減少した地域では、医療・介護・子育てなどの生活サービスを従来の対面・拠点型で維持することが困難になる。そこで、デジタル技術を徹底活用し、遠隔医療・オンライン教育・広域での行政手続など、人口密度に依存しない形でサービスを再構築する。地域のデータ基盤を整備し、少ない人員で広域に必要なサービスを届ける構造へ転換する。

②有効性と実現性:人口減少を前提に、サービス供給の単位を物理的な拠点からデジタル基盤へ移すことで、過疎地でも生活機能を維持できる点で有効性が高い。通信基盤の整備と生成AI等の技術革新が遠隔サービスの実用性を急速に高めており、政府もデジタル田園都市国家構想の後継施策として予算を投じて推進している。既存の通信・行政デジタル化政策の延長線上で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、デジタル化を進めるほど高齢者など利用に不慣れな層が取り残され、地域内で格差が生じること、すなわち 情報管理×社会環境管理(デジタル活用と地域の受容性)の対立である。対応方策として、情報管理の視点では、データ連携の標準を国が定めて分野横断でサービスをつなぎ、誰もが使える共通基盤として整備する。社会環境管理の視点では、デジタル支援員の配置や対面窓口の併設で利用格差を埋め、住民の理解を得ながら段階的に移行する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(上水道担当版)。

自治体 公園緑地担当(発注者)版

以下は、○○市建設部公園緑地課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。都市公園・緑地の整備と維持管理、Park-PFI等の官民連携を担う部門を題材にしています。多世代・多様な人が集う公園の再整備と、緑地の防災減災機能の活用を地方創生への貢献軸に据えています。

前提条件

  • 立場:○○市建設部公園緑地課 課長補佐(整備・維持管理・官民連携担当)

  • 事業の性格:管内の都市公園・緑地の整備と維持管理、Park-PFI等の官民連携を企画・発注する自治体の発注者組織

  • 地域特性:人口減少・高齢化が進み、若者・女性の転出超過が続く地方都市。工場跡地や低未利用地を抱える市街地

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○市建設部公園緑地課であり、目的は管内の都市公園・緑地を整備・維持管理し、多世代・多様な市民が集う居場所と、防災減災に資する緑のインフラを地域に確保することにある。創出している成果物は、公園・緑地という構造物そのものに加え、公園施設長寿命化計画、Park-PFI等の官民連携による整備・管理運営の枠組み、及びこれらを支える発注関連の政策文書である。

管内には高度経済成長期に整備され老朽化した公園が多い一方、少子化で遊具需要は減り、高齢者の健康増進利用や賑わい機能への需要が高まっている。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:o.多様性に富んだ地方の実現を目指し、老朽公園をPark-PFIで多世代・多様な人が集う賑わい拠点へ再整備する。

  • 取組2:n.持続可能なまちづくりを目指し、緑地のグリーンインフラ機能(雨水浸透・防災減災)を活用したまちづくりを進める。

いずれも、限られた人員・予算のもとで、選ばれる地方としての魅力と、安全で持続可能な生活環境を両立させる基盤づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: Park-PFIによる多世代・多様な人が集う公園への再整備(取組1)

老朽化した都市公園を、公募設置管理制度(Park-PFI)を活用して再整備する。地域の民間事業者・商店会・子育て/高齢者団体と連携し、カフェ等の収益施設の収益を園路のバリアフリー化や広場の再整備に還元する仕組みを構築する。地元大学や女性起業家によるマルシェ・イベント運営を組み込み、若者・女性を含む多様な世代が日常的に集う賑わい拠点へ転換する。

この取組が多様性に富んだ地方の実現というアウトプットの達成につながる理由は、収益施設の民間投資を公共空間の質向上に循環させることで、公費を抑えつつ多世代・多様な人を惹きつける居場所を持続的に運営でき、地域に「選ばれる」魅力を生み出せるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、事業者は収益性の高い商業用途を優先しがちで、収益性の低いバリアフリー・多世代交流機能が後回しになりやすい(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、公募条件に多世代利用・ユニバーサルデザインの数値目標と報告義務を課し、社会包摂機能を市が担保する。社会環境管理の視点では、商業化への地域住民の懸念が合意形成を阻む。これに対し、商店会・住民団体を計画段階から協議に加え、公共性の維持を約した協定を結んで受容性を確保する。

施策 2-2: 緑地のグリーンインフラ機能を活用した持続可能なまちづくり(取組2)

低未利用地や既存緑地を、雨水浸透・遊水機能と一時避難地機能を備えたグリーンインフラとして整備する。地域の建設業者・自主防災組織・自治会と連携し、平時は健康増進・交流の場、災害時は避難地となる多機能な緑地に転換し、雨水流出抑制で内水氾濫リスクも軽減する。地元NPOによる維持管理協働で、少人数の行政体制でも緑の質を保つ。

この取組が持続可能なまちづくりというアウトプットの達成につながる理由は、緑地に治水・防災と交流の複数機能を持たせることで、単機能施設を個別に増やすより維持コストを抑えつつ、安全で暮らし続けられる生活環境を確保できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。安全管理の視点では、避難地としての防災性能を高めるほど平時の自由な利用や景観に制約が生じ、緑地の魅力が損なわれうる(安全管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、防災機能を園路・広場に兼用させる設計とし、平時利用と災害時機能を両立させる。社会環境管理の視点では、住民協働の維持管理は担い手の高齢化で継続性が不安定になる。これに対し、企業のCSR緑地管理や地元大学の参画を市が調整し、担い手を多層化して持続性を確保する。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: 若者・女性に選ばれる地域づくり

①施策の内容とアウトプット:o.多様性に富んだ地方の実現を目指し、地方に魅力ある雇用を創出し、多様な生き方を受け入れる地域社会への転換を国が主導する。賃金水準の向上、女性が活躍できる職場づくり、関係人口の拡大を一体で進め、若者・女性が「住み続けたい・移り住みたい」と思える地域をつくる。多様な人が集う公共空間の整備支援もこれに含める。

②有効性と実現性:これは人口の自然減と社会減の双方に効く根本対策であり、政府も地方創生2.0の中核に「若者・女性に選ばれる地域」を据えている。リモートワークの普及や地方移住への関心の高まりという社会情勢の変化が後押しとなり、雇用・教育・子育て政策の連携で実現性は高い。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、雇用や賃金の改善には時間を要する一方、地域に根強く残る固定的な価値観が若者・女性の定着を妨げることである。これは地方の人手不足という我が国の構造課題と直結する。対応方策として、人的資源管理の視点では成長分野の誘致と人材育成で質の高い雇用を地方に生み出す。社会環境管理の視点では、多様な働き方・生き方を受け入れる地域の意識改革と環境整備を進め、選ばれる地域の前提条件を整える。

施策 3-2: コンパクト+ネットワークによる都市機能の集約

①施策の内容とアウトプット:n.持続可能なまちづくりを目指し、居住と都市機能を拠点に緩やかに集約し、拠点間を公共交通で結ぶ「コンパクト+ネットワーク」の都市構造へ転換する。立地適正化計画などの制度で、公園・緑地を含む都市機能を持続可能な土地利用へ長期的に誘導する。

②有効性と実現性:人口減少局面で限られた財源を効率的に使い、インフラの維持更新負担を抑えながら生活利便を保つ現実的な方策であり、政府が国土形成計画の基本方針に掲げている。インフラの老朽化と更新需要の集中という財政制約の背景とも整合し、既存の都市計画制度の運用で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、機能集約が長年住み慣れた地域からの移転を伴い、住民の生活継続性と感情に反することである。対応方策として、経済性管理の視点では、集約による維持コスト削減の効果を長期の財政見通しで可視化し、限られた財源の重点配分を正当化する。社会環境管理の視点では、移転を強制せず、利便性の向上と支援策で緩やかに誘導し、拠点外地域にも最低限の生活機能を残して合意を形成する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(公園緑地担当版)。

自治体 都市計画担当(発注者)版

以下は、○○市 都市計画課(発注者・行政官)の立場で書いた模範解答例です。立地適正化計画・都市計画マスタープランに基づくコンパクト+ネットワーク型の都市づくりと、中心市街地の再生・周辺集落の生活拠点維持を担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○市 都市計画課 課長補佐(立地適正化計画主管)

  • 事業の性格:市の都市計画マスタープラン・立地適正化計画を策定し、居住誘導・都市機能誘導と土地利用の許認可を担う発注者組織

  • 地域特性:市街化区域内に低密度市街地が広く残り、郊外の空き家・空き地が増加。中心市街地の商業機能は縮小し、周辺集落では買物・交通の維持が困難になりつつある地方都市

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○市 都市計画課であり、目的は、人口減少下で持続可能な都市構造を実現するため、立地適正化計画等に基づき居住・都市機能を拠点に緩やかに集約し、拠点間を公共交通で結ぶコンパクト+ネットワーク型の都市づくりを進めることにある。創出している成果物は、立地適正化計画書・都市計画マスタープラン等の政策文書、誘導区域の設定と誘導施設の補助制度、及び開発許可・都市計画決定に関する許認可サービスである。

市街化区域内では居住誘導区域外の低密度市街地が広く残り、郊外の空き家・空き地が増加する一方、中心市街地の商業・医療機能は縮小し、周辺集落では買物・通院の足の確保が困難になりつつある。

近い将来(おおむね5年以内)に地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:n.持続可能なまちづくりを目指し、立地適正化計画に基づく居住誘導と都市機能の集約を、GIS・PLATEAUを活用して高度化し、拠点への緩やかな誘導を進める。

  • 取組2:q.都市と地方の共生の実現を目指し、中心市街地の拠点再生と周辺集落の小さな生活拠点(小さな拠点)とを公共交通・デジタルで結び、都市部と周辺部が支え合う圏域構造を形成する。

いずれも、限られた財源と職員のもとで都市機能と生活サービスを持続的に維持し、市全体が将来にわたって「選ばれる地方」であり続けるための都市構造づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: 立地適正化計画に基づく居住誘導・都市機能集約の高度化(取組1)

都市計画課が保有する都市計画情報を、住民基本台帳の人口動態と国土交通省の3D都市モデル「Project PLATEAU」上で連携させ、空き家分布・建物老朽度・将来人口推計を重ねた「都市のカルテ」を構築する。地域の不動産事業者・金融機関・自治会と連携し、居住誘導区域内の中古住宅取得・リノベーション補助と、区域外の老朽空き家の除却・跡地緑地化を組み合わせた住み替え支援を、Web公開の誘導区域マップと一体で運用する。

この取組が持続可能なまちづくりというアウトプットの達成につながる理由は、居住と都市機能が拠点に緩やかに集約されることで、道路・上下水道等インフラの一人当たり維持コストが抑制され、限られた財源で生活利便を保つ都市構造へ転換できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、機能集約による維持コスト削減は長期の効果である一方、誘導施策・補助制度の設計と運用には継続的な予算と人員を要する(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、集約による長期の財政効果を都市経営の見通しとして可視化し、国のデジタル田園都市国家構想交付金等を活用して初期負担を抑えつつ段階的に運用する。社会環境管理の視点では、区域外の住民に移転を強いる印象を与え反発が生じうるため、移転は強制せず利便向上と支援で緩やかに誘導し、不動産業者・自治会と協議の場を設けて合意を形成する。

施策 2-2: 中心市街地拠点と周辺集落を結ぶ都市・地方の共生圏形成(取組2)

中心市街地に医療・商業・子育て支援を集めた都市機能誘導拠点を再生する一方、周辺集落には日常生活を支える「小さな拠点」を維持し、両者を公共交通(デマンド交通等)とオンライン診療・買物支援で結ぶ。地域の交通事業者・商工会・社会福祉協議会と連携し、拠点間の運行計画と拠点機能の配置を、地区まちづくり協議会で住民参加により決める。

この取組が都市と地方の共生の実現につながる理由は、拠点機能と周辺集落の生活拠点が交通・デジタルで補完し合うことで、周辺部の住民が住み慣れた地域に留まりつつ都市機能にアクセスでき、都市と地方が相互に支え合う関係を築けるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。人的資源管理の視点では、拠点再配置と交通再編には都市計画・福祉・交通の多部局と多様な事業者の調整が必要で、専門職員が不足する市では合意形成の工数を負いきれない(人的資源管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、庁内連絡会議で役割分担を明確化し、拠点再生と交通再編を一体の交付金事業として発注し調整コストを平準化する。社会環境管理の視点では、周辺集落から拠点への集約が生活圏の縮小と受け取られ住民感情に反しうる(社会環境管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、小さな拠点に最低限の生活機能を残し、拠点間交通の利便向上という便益を先に示し、住民参加の協議会で段階的に合意を形成する。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: コンパクト+ネットワークによる都市機能の集約

①施策とアウトプット・つながる理由:n.持続可能なまちづくりを目指し、居住と都市機能を拠点に緩やかに集約し拠点間を公共交通で結ぶ「コンパクト+ネットワーク」の国土・都市構造への転換を、立地適正化計画等の制度で全国的に誘導する。人口が薄く広がったまま市街地を維持するとインフラと行政サービスの一人当たりコストが膨張し財政的に持続できないため、拠点集約は持続可能なまちづくりに直結する。

②有効性と実現性:人口減少局面で限られた財源を効率的に使い、インフラの維持更新負担を抑えながら生活利便を保つ現実的な方策であり、政府が国土形成計画の基本方針として掲げている。インフラの老朽化と更新需要の集中という財政制約の背景とも整合し、既存の都市計画制度の運用で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、機能集約が長年住み慣れた地域からの移転を伴い、住民の生活継続性と感情に反することである。すなわち 経済性管理×社会環境管理(財政効率と住民の生活継続性)の対立である。対応方策として、経済性管理の視点では、集約による維持コスト削減の効果を長期の財政見通しで可視化し、限られた財源の重点配分を正当化する。社会環境管理の視点では、移転を強制せず、利便性の向上と支援策で緩やかに誘導し、拠点外地域にも最低限の生活機能を残して合意を形成する。

施策 3-2: 東京一極集中の是正と機能の地方分散

①施策とアウトプット・つながる理由:q.都市と地方の共生の実現を目指し、企業の本社機能・政府関係機関・大学の地方移転を促し、二地域居住やテレワークを後押しして人と機能を全国へ分散させる。人口・企業・行政機能が東京圏へ過度に集中したままでは地方の活力低下と巨大災害時の国家機能の脆弱性が同時に高まるため、機能の地方分散は都市と地方が支え合う共生の実現に直結する。

②有効性と実現性:機能分散は地方の雇用と税源を生むとともに、首都直下地震等の際の国家機能の継続性を高める二重の効果を持つ。リモートワークの定着で技術的に分散の前提が整い、政府も企業の地方移転への税制優遇や政府機関移転を進めており、既存政策の拡充で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、東京圏の集積がもたらす経済効率と、巨大災害時に機能が一極集中したままでは国家機能の存続が脅かされるリスクとが相反することである。すなわち 安全管理×経済性管理(災害時の国家機能の存続と集積の経済性)の対立である。対応方策として、安全管理の視点では、首都直下地震等に備えて中枢機能のバックアップと移転先の分散を国土政策として進め、災害時の国家機能の継続性を確保する。経済性管理の視点では、分散先にも産業集積が生まれるようデジタル基盤と交通網を重点整備し、地方の持続可能性という長期の国土価値で分散の意義を位置づけて効率性の損失を最小化する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(都市計画担当版)。

自治体 技術基準担当(発注者)版

以下は、○○県 県土整備部 技術管理課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。土木の設計基準・標準仕様・積算基準の策定改定や、BIM/CIM・電子納品といった技術施策の企画を、全所属向けに担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○県 県土整備部 技術管理課 課長補佐(基準改定・積算審査・BIM/CIM 運用の企画統括)

  • 事業の性格:県の土木工事の設計基準・標準仕様書・積算基準を策定改定し、BIM/CIM・電子納品の運用方針を定めて、本庁・出先約20所属の技術職員に周知・普及する発注者組織

  • 地域特性:人口減少と土木職の採用難でベテランの基準・積算担当の退職が進み、地域建設業も担い手が細る中山間地域を多く抱える県

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○県 県土整備部 技術管理課であり、目的は県の土木工事の設計・積算・施工管理を全所属で統一した技術水準に保ち、発注者として品質と安全を確保するとともに、その技術基準を地域建設業と共有して県内の建設生産プロセス全体を支えることにある。創出している成果物は、設計基準・標準仕様書・積算基準に加え、BIM/CIM 活用方針・電子納品要領、現場向け運用通知、及び技術者育成の研修プログラムである。

団塊世代の基準・積算担当の退職と土木職の採用難が進み、基準改定や積算審査を一人で担う職員が増える一方、地域建設業でも BIM/CIM に対応できる技術者の確保が難しく、県全体の生産性向上と技術継承が停滞しかねない状況が顕在化している。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:b.GX・DXの推進を目指し、BIM/CIM・i-Construction を県の技術基準に組み込み、地域建設業とともに建設生産プロセスのDXを進める。

  • 取組2:h.人材育成・リスキリング促進を目指し、発注者職員と地域建設業の技術者を対象にしたデジタル技術の育成・リスキリングの仕組みを整える。

いずれも、担い手が細るなかで県の技術水準と地域建設業の競争力を維持し、地域が将来にわたって社会基盤を担える「選ばれる地方」であるための土台づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

取組1:BIM/CIM・i-Construction を核とした建設生産プロセスのDX推進(b.GX・DXの推進)

技術管理課が定める設計・積算・電子納品の基準に BIM/CIM のモデル作成・属性付与のルールと ICT 施工の要領を組み込み、設計から施工・維持管理まで同じ形式で技術情報を引き継げる共通基盤を整備する。地域の建設業協会・測量設計業者と連携し、県内で無理なく対応できる標準データ形式とテンプレートを協議して定め、中小の受注者でも導入できる形で普及させる。

この取組が GX・DX の推進につながる理由は、発注者が基準として共通ルールを示すことで、設計・施工の各段階で3次元データが再利用され、手戻りと省人化が進んで建設生産プロセス全体の生産性が高まるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。情報管理の視点では、データ形式が業者ごとに個別最適化され、共通基盤への統合に膨大な整備コストと版管理を要する(情報管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、建設業協会と統一仕様を協議し、活用工事の多い工種から段階的に移行して整備コストを平準化し、各要領の適用範囲・改定履歴を明示して旧版の混在を防ぐ。人的資源管理の視点では、地域建設業でBIM/CIMを扱える技術者が偏在し、複雑な要領は中小の担い手を脱落させる(人的資源管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、全県で統一する部分と地域の実情で運用できる裁量部分を区分し、共同研修や導入支援で中小業者の裾野を広げて担い手確保と両立させる。

取組2:発注者・地域建設業のデジタル人材育成とリスキリング(h.人材育成・リスキリング促進)

技術管理課が地域の高専・工業高校・建設業協会と連携し、BIM/CIM・電子納品・ICT 施工を扱えるデジタル人材の育成プログラムを整備する。発注者職員には基準・積算審査を省力化技術で担うリスキリング研修を、地域建設業には実案件データを教材とした共同研修を実施し、産官学連携で県内の技術者の裾野を広げる。

この取組が人材育成・リスキリング促進につながる理由は、発注者が基準改定と歩調を合わせて育成の場を用意することで、省力化技術を使いこなせる人材が発注者・受注者の双方に育ち、職員減少下でも設計・積算・審査の品質を保てるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。人的資源管理の視点では、育成した人材が都市部の民間企業へ流出し、地方の担い手として定着しにくい(人的資源管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、産官学の協議会を設けて育成段階から地元企業との接点を持たせ、処遇改善で地方での定着を後押しする。経済性管理の視点では、研修運営やベテランの知識移転に人員と予算を要し、人員逼迫のなかで育成投資が後回しになりやすい(人的資源管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、ベテランの退職前の一定期間を知識移転に位置づけ、再雇用や非常勤での関与を制度化し、育成費は自治体DX推進の交付金で確保する。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1:デジタル田園都市国家構想による地域サービスの維持(k.インフラの維持)

①施策の内容とアウトプット・つながる理由:人口が減少した地域では、医療・教育・交通・行政などの生活サービスや、それを支えるインフラの点検・管理を、従来の対面・拠点型で維持することが困難になる。そこで、デジタル技術を徹底活用し、遠隔サービスと広域でのインフラ管理を、人口密度に依存しない形で再構築する。地域のデータ基盤を整備し、少ない人員で広域に必要な機能を届ける構造へ転換することで、k.インフラの維持につなげる。

②有効性と実現性:人口減少を前提に、サービス供給の単位を物理的な拠点からデジタル基盤へ移すことで、過疎地でも生活機能とインフラ管理を維持できる点で有効性が高い。通信基盤の整備と生成AI等の技術革新が遠隔サービスの実用性を急速に高めており、政府もデジタル田園都市国家構想として予算を投じて推進しているため、既存政策の延長線上で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、デジタル化を進めるほど高齢者など利用に不慣れな層が取り残され、地域内で格差が生じることである(情報管理×社会環境管理のトレードオフ)。情報管理の視点では、データ連携の標準を国が定めて分野横断でサービスをつなぎ、誰もが使える共通基盤として整備する。社会環境管理の視点では、デジタル支援員の配置や対面窓口の併設で利用格差を埋め、住民の理解を得ながら段階的に移行する。

施策 3-2:広域連携・圏域行政による行政機能の維持(q.都市と地方の共生の実現)

①施策の内容とアウトプット・つながる理由:人口減少で個々の自治体が単独でインフラ管理や専門行政を維持することが難しくなる。そこで、複数の自治体が連携して圏域単位で行政機能を担う「広域連携」を制度的に推進し、技術基準・積算・情報システムや専門人材を共同で整備・運用する。都市と地方が機能を補い合う圏域行政へ転換することで、q.都市と地方の共生の実現につなげる。

②有効性と実現性:単独では維持できない専門行政(インフラ管理・防災・情報システム等)を圏域で支え合う現実的な方策であり、政府も連携中枢都市圏などの枠組みを整備している。自治体のデジタル化と基準・システムの標準化の進展が広域連携の技術的基盤を後押ししており、既存制度の拡充で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、広域化で行政が効率化する一方、住民から行政が遠くなり、地域ごとの実情に応じた自治が損なわれることである(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。経済性管理の視点では、基準・システムの共同化による費用削減と専門性向上の効果を明示し、限られた人材・財源の有効活用を図る。社会環境管理の視点では、圏域で担う機能と各自治体に残す機能を整理し、住民参加の仕組みを保って自治と受容性を確保する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(技術基準担当版)。

自治体 契約調達担当(発注者)版

以下は、○○県○○地域振興局 契約検査課(発注者)の立場で書いた模範解答例です。公共土木工事の入札・契約制度の運用、地域建設業の育成と担い手確保施策を担う部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○県○○地域振興局 契約検査課 課長補佐(積算審査・総合評価落札方式の運用・入札参加資格審査・契約事務の統括)

  • 事業の性格:公共土木工事の調達を公正かつ透明に執行し、適正な価格で必要な品質を確保するとともに、地域建設業の担い手を確保する発注者組織

  • 地域特性:人口減少・若年層の地方離れが進み、地域建設業の担い手不足で特定工種の入札不調が増える中山間地域を多く抱える県

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○県○○地域振興局 契約検査課であり、目的は会計法令に則って公共工事の調達を公正かつ透明に執行し、適正な価格で必要な品質を確保するとともに、地域を支える建設業の担い手と健全な競争環境を確保することにある。創出している成果物は、予定価格の積算根拠資料、総合評価落札方式の評価結果、入札参加資格者名簿、工事請負契約書、及び地域建設業の育成方針を定める調達政策文書である。

管内では若者・女性の地方離れと建設業の担い手不足が進み、舗装・管路など特定工種で入札参加者が減少して入札不調・不落が増加し、発注者の権限で地域の稼ぐ力と人材を支える調達運用が求められている。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:d.中小企業等の稼ぐ力の強化を目指し、地域内発注と適正価格での契約を進める調達運用への転換により、地域建設業の生産性と経営体力を高める。

  • 取組2:h.人材育成・リスキリング促進を目指し、週休2日・処遇改善を評価する調達を通じて地域の建設人材を育成・確保する体制を築く。

いずれも、発注者の権限を活かして地域建設業の稼ぐ力と担い手を支え、地域が将来にわたって働き続けられる「選ばれる地方」であるための土台づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

取組1:地域内発注と適正価格での契約による稼ぐ力の強化(d.中小企業等の稼ぐ力の強化)

地域建設業協会・金融機関・商工団体と連携し、ICT活用工事や生産性向上に取り組む地元業者を総合評価で加点する運用を導入する。あわせて発注ロットと発注時期を地元業者の受注余力に合わせて設計し、地域内発注を優先しつつ、週休2日や適正工期に見合う経費を予定価格へ反映して適正価格での契約を確保する。金融機関とはICT機材導入への融資、協会とは技術指導で連携する。

この取組がd.中小企業等の稼ぐ力の強化というアウトプットの達成につながる理由は、地元業者がICT導入と適正な利潤で経営基盤を強化でき、地域内で工事費が循環して雇用と所得を生むため、地域建設業の生産性と稼ぐ力が高まるからである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、適正価格での契約と週休2日経費の反映は工事費を押し上げ、限られた建設事業費で発注できる工事量が減る。一方で社会環境管理の視点では、地元業者の存続と地域雇用の維持という社会的要請を満たす必要がある(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、適正価格化を工期に余裕のある工事から段階的に拡大し、発注平準化による稼働率向上で受注者の固定費負担が下がる効果を費用便益として整理し、金融機関・商工団体とともに財政部局・議会へ説明して予算枠を確保する。

取組2:週休2日・処遇改善を評価する調達による建設人材の育成(h.人材育成・リスキリング促進)

地域建設業協会・工業高校・高専と連携し、週休2日の達成、若手・女性技術者の登用、資格取得支援やリスキリングへの取組を総合評価落札方式で加点する運用を導入する。あわせて協会・教育機関と協働で現場実習やICT講習の受け皿を整え、育成に取り組む受注者が受注しやすい仕組みを設けて、地域の建設人材の育成と定着を発注者側から後押しする。

この取組がh.人材育成・リスキリング促進というアウトプットの達成につながる理由は、受注者が休日確保や人材育成への投資を技術評価として回収でき、教育機関と接続した実習が若年層の入職を促すため、地域の建設人材が計画的に育成・確保されるからである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。人的資源管理の視点では、担い手確保に向けた育成投資は受注者の負担を増し、短期的には経営を圧迫する。一方で経済性管理の視点では、育成加点を積算・評価へ反映すると発注事務が増え、限られた職員での執行効率が下がる(人的資源管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、育成の評価は休日取得記録や若手配置の有無など客観的に確認できる事実に限定して評定者の判断負担を抑え、協会・教育機関との共同育成で受注者個社の負担を分散し、処遇改善が受注機会に確実につながる運用を明示して投資を促す。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1:若者・女性に選ばれる地域づくり(h.人材育成・リスキリング促進)

①施策の内容とアウトプット・つながる理由:地方からの人口流出は、特に若者と女性に顕著であり、雇用機会や価値観の多様性の乏しさが背景にある。そこで、地方に魅力ある雇用を創出し、多様な生き方を受け入れる地域社会へ転換する。建設業を含む地域産業の賃金水準の向上、女性が活躍できる職場づくり、リスキリングによる質の高い人材育成を一体で進める。これはh.人材育成・リスキリング促進につながり、地方に人材を生み育てることで人口の自然減と社会減の双方に効く。

②有効性と実現性:人口の自然減と社会減の双方に効く根本対策であり、政府も地方創生2.0の中核に「若者・女性に選ばれる地域」を据えている。リモートワークの普及や地方移住への関心の高まりという社会情勢の変化が後押しとなり、雇用・教育・子育て政策の連携で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、雇用や賃金の改善には時間を要する一方、地域に根強く残る固定的な価値観が若者・女性の定着を妨げることである(人的資源管理×社会環境管理のトレードオフ)。人的資源管理の視点では、成長分野の誘致とリスキリングで質の高い雇用を地方に生み出す。社会環境管理の視点では、多様な働き方・生き方を受け入れる地域の意識改革と環境整備を進め、選ばれる地域の前提条件を整える。

施策 3-2:広域連携・圏域行政による行政機能の維持(q.都市と地方の共生の実現)

①施策の内容とアウトプット・つながる理由:人口減少で個々の自治体が単独で行政サービスを維持することが難しくなる。とりわけ積算・契約・監督を担う発注者側の技術職員の確保が困難になる。そこで、複数の自治体が連携して圏域単位で調達・発注事務を共同で担う「広域連携」を制度的に推進する。専門人材・システムを共同で整備・運用し、限られた資源で発注機能を持続可能な形で維持することで、q.都市と地方の共生の実現につなげる。

②有効性と実現性:単独では維持できない専門行政を圏域で支え合う現実的な方策であり、政府も連携中枢都市圏などの枠組みを整備している。自治体のデジタル化と標準化の進展が広域連携の技術的基盤を後押ししており、既存制度の拡充で実現できる。人口減少を前提に行政の広域連携は不可避であり、財政負担の抑制にもつながる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、広域化で行政が効率化する一方、地域要件や地元業者との関係に関わる調達の自治が損なわれることである(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。経済性管理の視点では、共同化による費用削減と専門性向上の効果を明示し、限られた人材・財源の有効活用を図る。社会環境管理の視点では、広域で担う積算・審査などの機能と、地域要件の設定など各自治体に残す機能を整理し、住民・地元業者への説明の仕組みを保って自治と受容性を確保する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(契約調達担当版)。

ゼネコン(総合建設業・受注者)版

以下は、○○建設 △△土木支店 土木事業部(総合建設業・受注者)の立場で書いた模範解答例です。地方のインフラ整備・維持修繕工事を元請施工する事業者を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○建設 △△土木支店 土木事業部 工事部長

  • 事業の性格:地方の道路・橋梁・河川等の新設・維持修繕工事を元請として施工する受注者組織

  • 地域特性:人口減少と技能者の高齢化が進み、災害協定に基づく応急復旧の担い手を地域が地元建設業に依存する地方圏

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○建設 △△土木支店 土木事業部である。目的は、地方公共団体等が発注する道路・橋梁・河川等のインフラ整備・維持修繕工事を元請として施工し、地域の社会基盤の機能を確保・回復することにある。創出している成果物は、竣工した各種土木構造物と補修・補強を終えた既設構造物、施工計画書・品質記録・安全衛生記録、及び災害協定に基づく応急復旧・道路啓開という役務である。

管内は技能労働者の高齢化と若年入職者の減少が進み、従来の労働集約型の施工体制では、増大する維持修繕需要と災害時の応急対応を同時に担うことが困難になりつつある。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:b.GX・DXの推進を目指し、ICT施工の全面展開と低炭素施工の導入により、地域建設業としての施工能力と競争力を強化する。

  • 取組2:l.災害対応の強化の促進を目指し、災害協定に基づく応急復旧・道路啓開の担い手として、地元事業者と連携した初動対応体制を高度化する。

いずれも、地域の建設業が担い手として存続し、地方のインフラと安全を支え続けるための基盤づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: ICT施工・低炭素施工によるGX・DXの推進(取組1)

自社の全現場でICT建設機械(3Dマシンガイダンス)とドローン測量を標準装備し、施工データをクラウドで一元管理する。地域の測量業者・建設機械レンタル業者と連携して機材とデータ基盤を共同利用し、あわせて電動・バイオ燃料建機の導入で施工由来のCO2を削減する低炭素施工を段階的に組み込む。

この取組がGX・DXの推進というアウトプットの達成につながる理由は、施工の省人化・省力化で少ない技能者でも工期と品質を確保でき、施工データと低炭素施工の実績が地域建設業の受注競争力として蓄積されるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、ICT建機・電動建機は初期投資が通常建機の2〜3倍に達し、受注が不安定な地方事業者には負担が重い(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、i-Construction 2.0関連の補助制度を活用し、レンタル業者との共同利用で投資を分散して低炭素施工の地域波及を図る。

情報管理の視点では、施工データの形式が現場ごとに不統一で、蓄積しても活用できない(情報管理×人的資源管理のトレードオフ)。これに対し、支店内でデータ様式を標準化し、若手を対象にICT・データ活用の社内研修を制度化して運用人材を育てる。

施策 2-2: 災害協定に基づく応急復旧・道路啓開体制の高度化(取組2)

地方公共団体と締結する災害協定に基づき、地域の建設業協会・同業者と連携して、道路啓開ルート・資機材・要員をあらかじめ役割分担しておく相互応援体制を整備する。平時から自治体と合同で啓開訓練を実施し、被災状況を共有する情報連絡系統を協定化して、発災直後の初動を地元事業者主体で立ち上げられる体制を構築する。

この取組が災害対応の強化の促進というアウトプットの達成につながる理由は、地元を熟知した建設業者が啓開ルートと役割を事前に共有しておくことで、発災直後の初動時間を短縮し、緊急輸送道路の途絶による孤立集落の発生を防げるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。人的資源管理の視点では、応急復旧を担う技能者が高齢化・減少し、災害時に動員できる要員が地域で不足している(人的資源管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、複数事業者で要員を融通する広域応援協定を結び、平時の維持修繕工事を安定的に受注して人員を確保する。

安全管理の視点では、二次災害の危険が残る現場で啓開作業を急ぐと、作業員の被災リスクが高まる(安全管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、危険度評価の判断基準を自治体と共有し、防災情報システムで現場状況を確認したうえで着手順序を管理する。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: 東京一極集中の是正と機能の地方分散

①施策の内容:c.産業の地方移転・産業立地促進を目指し、企業の本社機能・政府関係機関・大学の地方移転を促し、二地域居住やテレワークを後押しして人と機能を全国へ分散させる。人口・企業・行政機能が東京圏へ過度に集中し、地方の活力低下と巨大災害時の国家機能の脆弱性を同時に高めている状況を、国土の均衡ある発展として是正する。

②有効性と実現性:機能分散は地方の雇用と税源を生むとともに、首都直下地震等の際の国家機能の継続性を高める二重の効果を持つ。コロナ禍を経てテレワークが定着し、技術的に分散の前提が整ったことも追い風である。政府は企業の地方移転への税制優遇や政府機関移転を進めており、既存政策の拡充で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、東京圏の集積がもたらす経済効率と、分散による国土の均衡が相反することである(社会環境管理×経済性管理の対立)。社会環境管理の視点では、災害リスクの分散と地方の持続可能性という長期の国土価値で分散の意義を位置づける。経済性管理の視点では、分散先にも産業集積が生まれるようデジタル基盤と交通網を重点整備し、地域建設業が担う整備需要を通じて効率性の損失を最小化しながら分散を進める。

施策 3-2: 国土の災害リスク分散と安全な地域形成

①施策の内容:l.災害対応の強化の促進を目指し、ハザード情報に基づく土地利用の規制・誘導を国土政策として強化する。人口と機能が災害リスクの高い地域に集中したまま放置すると巨大災害が国家機能と多数の生命を一度に脅かすため、リスクの低い地域への居住・機能の誘導と、リスクの高い地域での対策強化を進め、安全を組み込んだ国土構造へ転換する。

②有効性と実現性:人口減少で土地利用を再編する余地が生まれる局面は、災害に強い国土へ作り替える好機でもある。気候変動で災害が激甚化する見通しのなか、リスクを前提とした立地誘導の有効性は高い。政府も流域治水や国土強靱化5か年加速化対策と連動した防災まちづくりを進めており、既存制度の運用で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、安全を優先した立地規制が、利便性の高い既存市街地の経済活動と相反することである(安全管理×経済性管理の対立)。安全管理の視点では、ハザード情報を国レベルで整備・公開し、重要施設から優先的にリスクの低い立地へ誘導する。経済性管理の視点では、規制一辺倒ではなく、安全な地域への移転支援とリスク地域での減災投資を組み合わせ、地域建設業の担い手を維持しながら経済活動への影響を抑えて安全性を高める。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(ゼネコン版)。

河川・砂防コンサルタント(受注者)版

以下は、中堅建設コンサルタント ○○河川・砂防部門(受注者・技術支援者)の立場で書いた模範解答例です。治水計画・河川構造物の調査設計・流域治水の技術支援を通じて、地方公共団体を技術面から支える建設コンサルタントを題材にしています。

前提条件

  • 立場:中堅建設コンサルタント ○○河川・砂防部門 部長(部門統括・技術指導・提案受注)

  • 事業の性格:治水計画・河川管理施設の調査設計、流域治水の技術支援を担う受注者組織

  • 地域特性:人口減少と技術者不足が進み、河川管理者を抱える自治体の体制脆弱化が進む地域

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は中堅建設コンサルタント ○○河川・砂防部門であり、目的は治水計画・河川構造物の調査設計と流域治水の技術支援を通じて、流域住民の安全・安心を確保し、地域が持続的に暮らせる基盤づくりに貢献することにある。創出している成果物は、河川構造物の点検・診断結果、長寿命化計画書、補修更新設計図書に加え、浸水シミュレーション、流域治水推進計画、防災・避難計画の策定支援資料である。

管内の自治体では河川管理者の人員削減が進み、老朽化した河川管理施設の点検・更新と、激甚化する水害への対応の双方で技術力が不足している。当部門は受注者として、これを技術面から補完する役割を担う。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:k.インフラの維持を目指し、河川管理施設の点検・長寿命化計画の技術支援を、デジタルツインを活用して高度化する。

  • 取組2:l.災害対応の強化の促進を目指し、浸水シミュレーションに基づく流域治水・防災計画の策定支援を進める。

いずれも、限られた人員・予算の自治体を技術支援で補い、地域が将来にわたって安全に暮らせる「選ばれる地方」であり続けるための基盤づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: デジタルツインによる河川管理施設の点検・長寿命化支援(取組1)

樋門・水門・護岸等の点検データを3次元国土基本図と連携させ、施設の状態をサイバー空間上に再現するデジタルツインを構築する。地域の建設業協会・測量業者と連携し、ドローン・AIによる変状の自動検出を定期点検に組み込み、収集データをデジタルツイン上で一元管理する。これにより、劣化が進む前に修繕の優先順位を判定できる予防保全型の長寿命化計画を、自治体に代わって当部門が技術支援する。

この取組がインフラの維持というアウトプットの達成につながる理由は、施設ごとの劣化を時系列で可視化することで、限られた自治体予算を劣化の速い施設へ優先配分でき、突発的な大規模更新を回避できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。情報管理の視点では、点検データの形式が業者ごとに異なり、デジタルツインへの統合に膨大な整備コストを要する(情報管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、建設業協会と連携してデータ形式の標準仕様を協議のうえ策定し、段階的に移行して整備コストを平準化する。

人的資源管理の視点では、AI検出結果の妥当性を検証できるベテラン技術者が退職で減り、若手への技能継承が追いつかない(人的資源管理×安全管理のトレードオフ)。これに対し、判定根拠を体系化したナレッジベースを整備し、最終判定は技術者が行う運用を標準化して判断力を維持する。

施策 2-2: 浸水シミュレーションに基づく流域治水・防災計画の策定支援(取組2)

流域全体の地形・河道・雨量データを用いた浸水シミュレーションを実施し、想定最大規模の水害を可視化する。この結果を土台に、地域の自主防災組織・自治会・農業関係者など流域のステークホルダーと協議し、流域治水対策と住民避難計画を一体で策定する技術支援を自治体に提供する。平時からオンラインと対面を併用した住民説明を運営し、シミュレーション結果を分かりやすく伝える。

この取組が災害対応の強化の促進というアウトプットの達成につながる理由は、浸水範囲を科学的根拠とともに住民へ示すことで、避難の実効性が高まり、逃げ遅れによる人的被害を減らせるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。社会環境管理の視点では、オンライン併用は高齢住民が参加しにくく、デジタルディバイドが合意形成の阻害要因となる一方、対面併設は当部門の運営工数を増やし採算を圧迫する(社会環境管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、住民組織内に説明者を育てるピア・サポートで運営を分担し、伴走支援費を自治体発注に明示計上して両立させる。

人的資源管理の視点では、シミュレーションを扱える技術者が地域内で不足し、複数自治体を同時支援する体制が手薄になる(人的資源管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、解析業務を標準化して若手でも担える体制を整え、複数自治体の並行受注でリスクを分散する。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: 国土の災害リスク分散と安全な地域形成

①施策の内容:l.災害対応の強化の促進を目指し、ハザード情報に基づく土地利用の規制・誘導を国土政策として強化する。人口減少で土地利用を再編できる局面を、災害に強い国土へ作り替える好機と捉え、リスクの低い地域への居住・機能の誘導と、リスクの高い地域での流域治水・減災投資の強化を一体で進める。

②有効性と実現性:気候変動で水害が激甚化する見通しのなか、リスクを前提とした立地誘導の有効性は高い。政府も流域治水や立地適正化と連動した防災まちづくりを進めており、既存制度の運用で実現できる。人口が減る局面はむしろ再編の余地を生み、安全を組み込んだ国土構造への転換を後押しする。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、安全を優先した立地規制が、利便性の高い既存市街地の経済活動と相反すること、すなわち 安全管理×経済性管理(災害リスク分散と集積の効率)の対立である。対応方策として、安全管理の視点では、ハザード情報を国レベルで整備・公開し、重要施設から優先的にリスクの低い立地へ誘導する。経済性管理の視点では、規制一辺倒とせず、安全な地域への移転支援とリスク地域での減災投資を組み合わせ、経済活動への影響を抑えながら安全性を高める。

施策 3-2: デジタル田園都市国家構想による地域サービスの維持

①施策の内容:k.インフラの維持を目指し、デジタル技術を徹底活用して、人口密度に依存しない形でインフラ管理サービスを再構築する。少ない技術者で広域の河川管理施設を支えられるよう、点検・診断データの共通基盤を国が整備し、遠隔での状態監視と広域連携による維持管理へ転換する。

②有効性と実現性:人口減少を前提に、サービス供給の単位を物理的な拠点からデジタル基盤へ移すことで、過疎地でもインフラ機能を維持できる点で有効性が高い。通信基盤の整備と生成AI等の技術革新が遠隔サービスの実用性を高めており、政府もデジタル田園都市国家構想として予算を投じて推進している。既存の行政デジタル化政策の延長線上で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、デジタル化を進めるほど、扱いに不慣れな小規模自治体や高齢の管理者が取り残され、地域間で格差が生じること、すなわち 情報管理×社会環境管理(デジタル活用と地域の受容性)の対立である。対応方策として、情報管理の視点では、データ連携の標準を国が定めて分野横断で共通基盤として整備する。社会環境管理の視点では、デジタル支援員の配置や対面窓口の併設で利用格差を埋め、住民・自治体の理解を得ながら段階的に移行する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(河川・砂防コンサル版)。

道路・橋梁コンサルタント(受注者)版

以下は、○○建設コンサルタント株式会社 社会基盤部(受注者)の立場で書いた模範解答例です。道路管理者向けに橋梁の点検・診断・修繕設計と道路計画の技術支援を担う建設コンサルタント部門を題材にしています。

前提条件

  • 立場:○○建設コンサルタント株式会社 社会基盤部 橋梁グループ プロジェクトマネージャー(受注者=技術支援者)

  • 事業の性格:地方公共団体(道路管理者)から橋梁定期点検・診断・修繕設計と道路計画の技術支援を受託し、成果物で発注者のインフラ管理を支える建設コンサルタント

  • 地域特性:人口減少・技術者不足が進み、発注者側の技術力空洞化も進む中山間地域を多く抱える地方圏

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は○○建設コンサルタント株式会社 社会基盤部であり、目的は道路管理者が保有する橋梁群の健全性を診断・評価し、最適な修繕設計と長寿命化計画を提供することで、発注者の道路インフラ管理を技術面から支え、地域の安全な交通と社会経済活動を持続的に確保することにある。創出している成果物は、橋梁定期点検結果報告書、損傷図・修繕設計図書、長寿命化修繕計画、及びこれらを支える3次元点検データやデジタルツインである。

管内には供用後50年を超える橋梁が増加する一方、少子化による診断技術者の採用難と発注者側の能力空洞化が重なり、従来の人手依存・事後保全型の支援体制の限界が顕在化している。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:k.インフラの維持を目指し、点検データとデジタルツイン/BIMを活用した予防保全型の維持管理支援へ転換する。

  • 取組2:b.GX・DXの推進を目指し、AI損傷検出と3次元データ活用で点検・診断業務を省人化し、技術継承を高度化する。

いずれも、限られた人員・予算のもとで発注者のインフラ管理を技術面から支え、地域が将来にわたって暮らし続けられる基盤づくりに直結する取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: デジタルツイン・BIMによる予防保全型の維持管理支援(取組1)

受託した橋梁群の点検データを3次元国土基本図と連携させ、サイバー空間上に構造物の状態を再現するデジタルツインを構築し、劣化予測に基づく修繕優先度を発注者へ提示する。地域の測量業者・建設業協会と連携し、ドローン・近接目視データをBIMモデル上で一元管理する。発注者が事後保全から予防保全へ転換する判断を、可視化された根拠で技術支援する。

この取組がインフラの維持というアウトプットの達成につながる理由は、構造物ごとに劣化を時系列で可視化することで、発注者が限られた予算を劣化の速い橋梁へ優先配分でき、突発的な大規模修繕や通行止めを回避できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。情報管理の視点では、点検データの形式が業者・年度ごとに異なり、デジタルツインへの統合に膨大な整備工数を要し、受注者の生産性を短期的に下げる(情報管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、発注者・建設業協会とデータ様式の標準仕様を協議して統一し、損傷の多い部材から段階的に整備してコストを平準化する。

社会環境管理の視点では、予防保全は成果が長期にわたり、単年度予算の発注者や住民に効果が伝わりにくく合意が得にくい(社会環境管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、長寿命化によるライフサイクルコスト縮減効果を長期見通しで発注者・議会へ可視化し、合意形成を支援する。

施策 2-2: AI損傷検出と3次元データ活用による点検・診断のDX(取組2)

自社が受託した多数の橋梁点検画像をディープラーニングで学習させ、近接目視画像から損傷の種類・位置・面積を自動判定するAIを導入する。技術者はAIの一次判定を起点に現地確認と診断評価へ専念し、少人数でも高品質な点検を遂行する。地域の若手技術者・地元業者と連携し、3次元データ上でAI判定を検証する研修を組み込み、退職するベテランの暗黙知を形式知として継承する。

この取組がGX・DXの推進というアウトプットの達成につながる理由は、定型的な損傷抽出をAIに委ねることで技術者一人あたりの処理件数が増え、担い手が減っても受託規模と診断品質を維持でき、地域に高度な技術基盤を残せるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。人的資源管理の視点では、AI判定を検証できる中堅技術者が地方では不足し、誤判定をそのまま採用すると成果物に重大な誤りが混入する(人的資源管理×安全管理のトレードオフ)。これに対し、AI一次判定を上席技術者が必ず確認する2段階検証フローを社内標準化し、退職予定者をアドバイザーとして継続参画させ検証体制を確保する。

情報管理の視点では、AI学習に必要な正解ラベル付きデータの整備が個社では過大な負担となる(情報管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、業界団体・同業者と連携してデータ共有プールを形成し、個社の整備負担を分散する。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: デジタル田園都市国家構想による地域サービスの維持

①課題と施策:i.公共交通の維持を目指す。人口が減少した地域では、交通・医療・行政などの生活サービスを従来の対面・拠点型で維持することが困難になる。そこで、デジタル技術を徹底活用し、自動運転移動サービス・遠隔医療・オンライン行政など、人口密度に依存しない形でサービスを再構築する。地域のデータ基盤を整備し、少ない人員で広域に必要なサービスを届ける構造へ転換する。

②有効性と実現性:人口減少を前提に、サービス供給の単位を物理的な拠点からデジタル基盤へ移すことで、過疎地でも生活機能を維持できる点で有効性が高い。通信基盤の整備と生成AI等の技術革新が遠隔サービスの実用性を急速に高めており、政府もデジタル田園都市国家構想として予算を投じ、交通空白の解消へ集中対策期間を設けている。既存の行政デジタル化政策の延長線上で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、デジタル化を進めるほど高齢者など利用に不慣れな層が取り残され、地域内で格差が生じること、すなわち 情報管理×社会環境管理(デジタル活用と地域の受容性)の対立である。対応方策として、情報管理の視点では、データ連携の標準を国が定めて分野横断でサービスをつなぎ、誰もが使える共通基盤として整備する。社会環境管理の視点では、デジタル支援員の配置や対面窓口の併設で利用格差を埋め、住民の理解を得ながら段階的に移行する。

施策 3-2: コンパクト+ネットワークによる都市機能の集約

①課題と施策:n.持続可能なまちづくりを目指す。人口が薄く広がったまま市街地を維持すると、道路・橋梁をはじめとするインフラと行政サービスの一人当たりコストが膨張し、財政的に持続できない。そこで居住と都市機能を拠点へ緩やかに集約し、拠点間を公共交通で結ぶ「コンパクト+ネットワーク」の国土・都市構造へ転換する。立地適正化計画により、維持すべきインフラを絞り込む方向へ長期的に土地利用を誘導する。

②有効性と実現性:人口減少局面で限られた財源を効率的に使い、インフラの維持更新負担を抑えながら生活利便を保つ現実的な方策であり、政府が国土形成計画の基本方針として掲げている。橋梁をはじめインフラの老朽化と更新需要の集中という財政制約の背景とも整合し、既存の都市計画制度の運用で実現できる。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、機能集約が長年住み慣れた地域からの移転を伴い、住民の生活継続性と感情に反すること、すなわち 経済性管理×社会環境管理(財政効率と住民の生活継続性)の対立である。対応方策として、経済性管理の視点では、集約による維持コスト削減の効果を長期の財政見通しで可視化し、限られた財源の重点配分を正当化する。社会環境管理の視点では、移転を強制せず、利便性の向上と支援策で緩やかに誘導し、拠点外地域にも最低限の生活機能を残して合意を形成する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(道路・橋梁コンサル版)。

都市計画コンサルタント(受注者)版

以下は、建設コンサルタント会社 都市計画部(受注者)の立場で書いた模範解答例です。立地適正化計画・都市計画マスタープランの策定支援やまちづくり・移住定住の計画支援を担う技術支援者を題材にしています。

前提条件

  • 立場:建設コンサルタント会社 都市計画部 プロジェクトマネージャー(受注者=技術支援者)

  • 事業の性格:地方公共団体から立地適正化計画・都市計画マスタープラン・中心市街地活性化・移住定住施策の策定支援を受託するコンサルティング事業

  • 地域特性:東京圏都市部以外の人口減少地域が主な対象で、発注者側の市町村職員が少数精鋭・多業務兼任、住民ニーズの多様化で合意形成の工数が増大

設問(1)事業や組織の内容と貢献しうる取組

事業や組織の内容

名称は建設コンサルタント会社 都市計画部であり、目的は人口減少・高齢化が進む地方の市町村に対し、居住・都市機能の集約や移住定住の計画立案を技術的に支援し、持続可能な地域構造の実現に貢献することにある。創出している成果物は、立地適正化計画書・都市計画マスタープラン・空き家活用や移住定住の計画といった政策文書に加え、居住誘導区域等のGISデータ、住民ワークショップ・説明会の運営支援サービス、及び現況分析報告書である。

対象とする多くの市町村では、人口が全域に分散したまま高齢化が進み、生活サービスの維持が困難になる一方、発注者側の技術職員が不足して計画策定を外部に依存する構造が強まっている。

近い将来、地方創生の目標に向けて貢献すると考えられる取組を2つ挙げる。

  • 取組1:n.持続可能なまちづくりを目指し、立地適正化計画とエリアマネジメントを一体で支援し、コンパクトなまちづくりへの転換を進める。

  • 取組2:r.地方への移住推進を目指し、空き家活用と関係人口づくりを組み込んだ移住定住の計画策定を支援する。

いずれも、発注者である市町村が限られた人員・財源のもとで持続可能な地域を築くための計画基盤を、受注者として技術的に支える取組である。

設問(2)具体的な取組内容とトレードオフ

施策 2-1: 立地適正化計画とエリアマネジメントの一体支援(取組1)

発注者の市町村を支援し、居住誘導区域・都市機能誘導区域を設定する立地適正化計画を策定するとともに、拠点運営を担うエリアマネジメント組織の設立まで一体で計画する。地域のステークホルダーとの連携として、地元商工会・金融機関・自治会・大学とワークショップを重ね、誘導区域案と担い手像を住民参加で描く。受注者はGISによる将来人口・サービス立地の分析と合意形成の運営を担う。

この取組が持続可能なまちづくりというアウトプットの達成につながる理由は、区域を数値と地図で可視化し拠点運営の担い手を計画段階から確保することで、計画が絵に描いた餅に終わらず、集約による行政コストの抑制と生活利便の維持を両立できるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。経済性管理の視点では、集約は長期の維持コスト削減に資するが、誘導区域外の住民には資産価値への不安が生じ、発注者は合意形成の遅延という政治的コストを負う(経済性管理×社会環境管理のトレードオフ)。これに対し、受注者として集約効果を長期財政見通しで可視化し、区域外にも最低限の生活機能を残す誘導案で段階的合意を支える。人的資源管理の視点では、こうした合意形成を担える中堅技術者が受注者側でも不足している(人的資源管理×経済性管理のトレードオフ)。これに対し、合意形成のノウハウを社内で標準化・共有し、少人数でも品質を保つ。

施策 2-2: 空き家活用と関係人口づくりを組み込んだ移住定住計画の支援(取組2)

発注者の移住定住施策を支援し、増加する空き家を移住者向け住宅・二地域居住の受け皿として活用する計画を策定する。地域のステークホルダーとの連携として、地元不動産事業者・NPO・地域おこし協力隊と連携し、空き家バンクの運用や移住体験の仕組みを計画に組み込む。受注者は空き家の実態調査・GIS整備と、関係人口から移住・定着に至る導線の設計を担う。

この取組が地方への移住推進というアウトプットの達成につながる理由は、放置されがちな空き家を移住の受け皿へ転換し関係人口づくりと接続することで、移住のハードルを下げ社会減の緩和につなげられるためである。

直面する障害を2つの管理分野から述べる。情報管理の視点では、空き家の所有者情報や利用可否のデータが分散・欠落し、活用可能な物件を特定できない(情報管理×社会環境管理のトレードオフ)。調査を進めるほど個人情報や所有者感情への配慮が重くなる。これに対し、受注者として自治体の固定資産・住民データと連携する調査様式を整え、公開範囲を限定した空き家台帳を設計する。社会環境管理の視点では、移住者受入れへの既存住民の抵抗が定着を妨げる(社会環境管理×人的資源管理のトレードオフ)。これに対し、既存住民と移住者が交わる関係人口プログラムを計画に組み込み、双方が担い手として参画する体制を設計する。

設問(3)我が国として取るべき施策

事業・組織の枠を超え、地方創生の目標に向けて国として取るべき施策を2つ挙げる。

施策 3-1: 若者・女性に選ばれる地域づくり

①課題と施策:r.地方への移住推進を目指す。地方からの人口流出は特に若者と女性に顕著であり、質の高い雇用機会や多様な生き方を受け入れる素地の乏しさが背景にある。そこで、成長分野の雇用を地方に創出し、女性が活躍できる職場づくりと多様な価値観を受け入れる地域社会への転換を、移住支援・関係人口拡大と一体で国が進め、「住み続けたい・移り住みたい」地域をつくる。

②有効性と実現性:人口の自然減と社会減の双方に効く根本対策であり、政府も地方創生2.0の中核に「若者・女性に選ばれる地方」を据えている。リモートワークの普及や地方移住への関心の高まりという社会情勢の変化が後押しとなり、雇用・教育・子育て政策の連携で実現できる。ふるさと回帰の相談件数が過去最高を更新するなど、機運は高まっている。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、雇用や賃金の改善には時間を要する一方、地域に根強く残る固定的な性別役割意識が若者・女性の定着を妨げること、すなわち 人的資源管理×社会環境管理(人材定着と地域の意識変革)の対立である。対応方策として、人的資源管理の視点では、成長分野の誘致とリスキリング支援で質の高い雇用を地方に生み出す。社会環境管理の視点では、多様な働き方・生き方を受け入れる地域の意識改革と環境整備を進め、選ばれる地域の前提条件を整える。

施策 3-2: コンパクト+ネットワークによる都市機能の集約

①課題と施策:n.持続可能なまちづくりを目指す。人口が薄く広がったまま市街地を維持すると、インフラと行政サービスの一人当たりコストが膨張し、財政的に持続できない。そこで居住と都市機能を拠点へ緩やかに集約し、拠点間を公共交通で結ぶ「コンパクト+ネットワーク」の都市構造へ転換する。立地適正化計画により、長期的に持続可能な土地利用へ誘導する。

②有効性と実現性:人口減少局面で限られた財源を効率的に使い、インフラの維持更新負担を抑えながら生活利便を保つ現実的な方策であり、政府が国土形成計画の基本方針として掲げている。インフラの老朽化と更新需要の集中という財政制約の背景とも整合し、既存の都市計画制度の運用で実現できる。交通空白の解消に向けた自動運転移動サービスの普及も拠点間ネットワークを補強する。

③重大な障害と対応方策:最も重大な障害は、機能集約が長年住み慣れた地域からの移転を伴い、住民の生活継続性と感情に反すること、すなわち 経済性管理×社会環境管理(財政効率と住民の生活継続性)の対立である。対応方策として、経済性管理の視点では、集約による維持コスト削減の効果を長期の財政見通しで可視化し、限られた財源の重点配分を正当化する。社会環境管理の視点では、移転を強制せず、利便性の向上と支援策で緩やかに誘導し、拠点外地域にも最低限の生活機能を残して合意を形成する。

この立場の模範解答は、下のPDFでもダウンロードできます(都市計画コンサル版)。

採点者視点でのチェックポイント

「地方創生」テーマは「事業・組織の取組(設問1・2)→ 国家施策(設問3)」という二層構造で書きます。採点者がチェックするのは次の4点です。

  • 事業・組織の内容と、貢献する2つの取組が、異なるアウトプット(a〜r)に対応しているか

  • 各取組で、総合技術監理5分野のうち2つ以上の視点を明記し、異なる管理分野間の具体的なトレードオフ(情報×経済性、人的資源×安全など)を立てているか

  • 設問(3)が事業・組織の枠を超えた「国としての施策」になっているか(一担当者レベルに矮小化していないか)

  • 設問(2)(3)を通じて、同一のトレードオフ軸を繰り返さず、多様な管理分野の組み合わせで書けているか

来年度以降の受験者にとって、このテーマ構造は他年度のテーマ(カーボンニュートラル・DX推進など)とも共通する型です。前文から問題の本質を把握する→自分の業務経験を5管理の視点で分析する→管理間のトレードオフを特定する→統合的な解決策を提示する、という4ステップは、テーマが変わっても応用できます。

設問(3)の施策をもっと引き出したい方へ

設問(3)の「国家施策」を、地方創生の全アウトプット(a〜r)ごとにさらに増やした無料記事も公開しています。

テーマに依存しない答案の型は総監記述式 論文戦略に整理しています。立場別の過去問フル模範論文(R03〜R07・14ペルソナ)や演習まで一式そろえるなら、完全パックが近道です。

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