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令和8年度 総監 記述式 設問(3) 国家施策 全集|地方創生・全18アウトプット対応【無料】

この記事でわかること

  • 令和8年度(本試験)必須科目I-2 設問(3)で問われた「我が国として取るべき施策」を、図のアウトプットa〜rの全18項目それぞれに1本ずつ用意した国家施策の解答文案

  • 各施策は「①施策とアウトプットにつながる理由/②有効性と実現性(最新の政策・数値)/③最も重大な障害と対応方策(5管理のトレードオフ明記)」の形式・各600字以内で、答案用紙1枚にそのまま転写できる分量

  • 設問(3)で「異なるアウトプットの2施策」をどう組み合わせるかの選び方


令和8年度 技術士第二次試験 総合技術監理部門の記述式I-2は「地方創生」が出題されました。設問(3)は、事業や組織の枠を超え、我が国として取るべき施策を2つ(図のアウトプットa〜rから異なる項目を選択し、①②③で)論じる形式です。

多くの受験者が「設問(1)(2)は自分の業務で書けても、設問(3)の国家スケールの施策が思いつかない・業界内に閉じてしまう」とつまずきます。本記事は、その設問(3)を、どのアウトプットを選んでも引き出せる施策の一覧として無料で公開します。

本番直前の総仕上げは、出題予想6テーマ×三層骨子で「何が出ても書ける型」を最短装填できるR8予想問題集(2026最終予想)が決め手。書き方の型から固めるなら、型・設問(3)の弾薬・R8演習を1セットにした記述式コアパックが入口に最適です。


この施策集について(試験前からの備えを無料開放)

正直にお伝えすると、当サイトの有料「R8予想問題集」はテーマを6つ(AI社会/気候変動適応/経済安全保障/災害復旧/資源循環/老朽化インフラ)に絞っており、「地方創生」というテーマ予想そのものは外していました

一方で、設問(3)の「国家施策」については別に備えていました。2026年6月1日(試験の約7週間前)に公開した有料マガジン「設問(3)国家施策バンク」に、将来課題11テーマの一つとして「地方創生・東京一極集中」を収録済みで、本試験の設問(3)で使える国家施策の弾薬を試験前から提供できていました(このバンクは記事末尾からリンクしています)。テーマが読めなくても、設問(3)は「将来課題の引き出し」で対応できる——その考え方を、本記事では無料で全18アウトプットに広げ、a〜rのどれを選んでも使える国家施策を1本ずつ用意しました。

この記事の使い方

自分が設問(1)(2)で選んだ事業・取組を踏まえ、設問(3)では図のアウトプットa〜rから、設問(1)(2)や互いに異なる2項目を選びます。下の対応表から、自分が選んだ(あるいは選びたい)アウトプットの施策を引いてください。各施策の③に書いた「○○管理×○○管理」の軸が異なる2施策を組み合わせると、論文に幅が出ます。

アウトプット別 施策 対応表

政策目標1「強い経済」:a 地域資源活用/b GX・DX(2案)/c 産業の地方移転/d 中小企業の稼ぐ力/e スタートアップ/f 地場産品の輸出/g インバウンド/h 人材育成・リスキリング

政策目標2「豊かな生活環境」:i 公共交通/j 買物環境/k インフラの維持/l 災害対応の強化(2案)/m 子育て・医療・介護・福祉(2案)/n 持続可能なまちづくり

政策目標3「選ばれる地方」:o 多様性に富んだ地方/p 教育環境整備/q 都市と地方の共生/r 地方への移住推進

以下、政策目標ごとに全21施策を掲載します。


政策目標1「強い経済」に対応する施策

地域資源の活用促進による価値創出(a.地域資源の活用促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:農林水産物や自然・景観・歴史的建物といった地域資源を、観光・福祉・教育など他分野と組み合わせて新事業を生む「地域資源活用価値創出」を国家施策として推進する。単なる素材供給から、地域が主体となって付加価値を設計・獲得する構造へ転換することで、地域外へ流出していた利益を域内に留め、a.地域資源の活用促進というアウトプットに直接つながる。

②有効性と実現性:政府は令和7年夏を目途に、官民共創で関係人口の増加を図る「地方みらい共創戦略」の策定を予定しており、施策を支える政策動向がある。数値目標として、地域資源を活用し付加価値額向上に取り組む事業体の割合を2023年度の68%から2030年度に78%へ引き上げる方針が示されている。インバウンド増加という追い風のもと、既存資源を組み替える発想は初期投資が小さく、実現性が高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、新事業への投資回収と地域環境・景観の保全が相反すること、すなわち 経済性管理×社会環境管理 の対立である。経済性管理の視点では、複数分野を束ねた事業計画で収益源を多角化し、投資回収の見通しを可視化する。社会環境管理の視点では、資源の過剰利用を避ける利用ルールを地域合意で定め、保全と活用を両立させる。

農村地域への産業立地・企業の地方移転促進(c.産業の地方移転・産業立地促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:農村産業法に基づき、農村地域への産業の立地・導入を国が計画的に促進する。都道府県の導入基本計画と市町村の導入実施計画の策定を後押しし、税制等の支援措置で企業の地方移転を誘導する。都市に偏在する製造・研究機能を地方へ分散させることで、地域に雇用と税源を生み、c.産業の地方移転・産業立地促進というアウトプットにつながる。

②有効性と実現性:令和6年3月末時点で、市町村の導入実施計画の計画面積は約1万8千ha、産業導入地区の企業立地面積は約1万3,900ha、操業企業数は6,935社に達しており、制度の実効性は実績で裏づけられる。リモートワークの普及で立地の自由度が高まった社会情勢も追い風であり、既存の法制度と税制支援の延長で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、企業誘致に伴う用地造成・インフラ整備が農地や自然環境の改変を招くこと、すなわち 社会環境管理×経済性管理 の対立である。社会環境管理の視点では、優良農地や生態系を回避した立地選定と環境配慮を計画段階で組み込む。経済性管理の視点では、既存インフラを活用できる地区へ誘導し、造成・整備費を抑えて立地の費用対効果を高める。

中小企業の稼ぐ力の強化(d.中小企業等の稼ぐ力の強化)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地域経済を支える中小企業の「稼ぐ力」を、設備投資とAI・デジタル化の支援で底上げする。生産性を高め、賃上げと成長投資の好循環を生むことで、地方の雇用の質と所得水準を引き上げる。個社の付加価値額を押し上げる直接支援であるため、d.中小企業等の稼ぐ力の強化というアウトプットに直結する。

②有効性と実現性:政府は中小企業生産性革命推進事業(令和6年度補正予算2,000億円)で設備投資やデジタル化を支援し、大規模成長投資補助金で中堅・中小企業の大規模投資を促す。売上高100億円超を目指す「100億企業」の創出を掲げ、中小企業経営強化税制を対象設備に建物を加えて拡充・延長する方針であり、予算・税制両面の裏づけがある。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、生産性向上へのデジタル投資を担う人材が地方の中小企業に不足すること、すなわち 人的資源管理×経済性管理 の対立である。人的資源管理の視点では、リスキリング支援と外部専門人材の共有で導入・運用を担う人を確保する。経済性管理の視点では、補助金を投資回収の見込める案件へ重点配分し、限られた財源で効果を最大化する。

スタートアップの創出促進(e.スタートアップの創出促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方での起業を後押しし、資金・人材・支援機関が循環するエコシステムを各地に育てる。既存産業の延長では生みにくい高付加価値の新事業を地域から創出することで、若者に挑戦の場を提供し人口流出を抑える。新規開業と成長企業の増加を狙う施策であり、e.スタートアップの創出促進というアウトプットにつながる。

②有効性と実現性:政府はスタートアップ育成5か年計画のもと、スタートアップ・エコシステム拠点都市の形成やグローバル・スタートアップ・キャンパス構想を進める。SBIR制度による支出目標額は2024年度で約1,406億円、ディープテックには最大6年・30億円のNEDO支援もあり、AI・デジタル技術の急速な進展という技術革新が地方発の起業の実現性を高めている。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、支援策や成長情報が都市の拠点に集中し、地方の起業家に届かないこと、すなわち 情報管理×社会環境管理 の対立である。情報管理の視点では、支援制度や投資家・メンターの情報を全国から検索できる基盤を国が整え、地理的な情報格差を埋める。社会環境管理の視点では、地域の金融機関や大学を巻き込み、挑戦を受け入れる地域文化を醸成して起業を根づかせる。

地場産品の輸出促進(f.地場産品の輸出促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:農林水産物・食品の海外販路を国家戦略として開拓し、産地と輸出事業者を一気通貫で支援する。国内市場が人口減少で縮小するなか、成長する海外需要を取り込むことで、地場産品の販売額と生産者所得を押し上げる。産地の輸出額拡大を直接の成果とする施策であり、f.地場産品の輸出促進というアウトプットにつながる。

②有効性と実現性:政府は農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略のもと、輸出額を2024年の1.5兆円から2030年に5兆円へ拡大する目標を掲げる。輸出の手本となるフラッグシップ輸出産地を2024年12月時点で80産地認定し、新規輸出1万者支援プログラムで新規参入を後押しする。世界的な日本食需要の高まりという経済情勢が追い風で、実現性は高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、輸出拡大に伴う相手国の食品規制・検疫への対応と、輸出量の急増による品質管理の負荷が相反すること、すなわち 情報管理×安全管理 の対立である。情報管理の視点では、相手国ごとの規制・手続情報を集約し、産地が迷わず対応できるよう提供する。安全管理の視点では、産地認定を通じて衛生・品質の基準を担保し、増産下でも安全性を維持する体制を整える。

インバウンド促進による地方誘客(g.インバウンド促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:訪日外国人を地方へ誘客し、食や食文化を軸に地域の消費を増やす観光施策を推進する。都市に集中しがちな訪日需要を地方へ広げ、宿泊・飲食・体験の消費を域内に落とすことで、地域経済を持続的に潤す。地方での外国人旅行消費の拡大を成果とする施策であり、g.インバウンド促進というアウトプットにつながる。

②有効性と実現性:政府は観光立国推進基本計画のもと、訪日外国人旅行者数を2023年の2,507万人から2030年に6,000万人へ、食関連の1人当たり消費額を6.4万円から7.5万円へ引き上げる目標を掲げる。農泊食文化を海外発信するSAVOR JAPANを2024年12月時点で43地域認定するなど施策が整い、円安基調の経済情勢も追い風で実現性は高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、誘客の集中が特定地域で過度な混雑を生み、来訪者と住民の安全を脅かすこと、すなわち 安全管理×経済性管理 の対立である。安全管理の視点では、混雑状況を把握して来訪の時期や場所を分散させ、事故や生活環境の悪化を防ぐオーバーツーリズム対策を講じる。経済性管理の視点では、農泊など受入地域を広げて需要を面的に配分し、地域全体で消費を取り込んで収益を確保する。

政策目標1「強い経済」に対応する施策(GX・DX・人材)

地域の脱炭素・グリーン産業創出(b.GX・DXの推進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方は再生可能エネルギーの適地や豊富な自然資源を抱える一方、脱炭素への対応が地域産業の重荷にもなりうる。そこで国は、地域の再エネ・水素等を核とした脱炭素の取組を、地場のグリーン産業創出と一体で後押しする。エネルギー安定供給・経済成長・脱炭素を同時に実現する構造へ転換することで、地方に新たな高付加価値型産業を生み、b.GX・DXの推進を成果として達成する。

②有効性と実現性:政府は2025年2月に「GX2040ビジョン」を閣議決定し、GX推進戦略を改訂して脱炭素と経済成長の同時実現を国家方針に据えた。研究開発から社会実装までを最長10年間継続支援するグリーンイノベーション基金は約2.8兆円の規模を持ち、地域のグリーン産業を長期に育てる基盤が整っている。既存の予算枠組みの延長線上で実現でき、有効性・実現性ともに高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、脱炭素への転換が既存の地域産業や雇用に短期のコスト負担を強いること、すなわち社会環境管理×経済性管理の対立である。社会環境管理の視点では、地域住民・事業者と合意を形成し、環境価値と地域便益を可視化して受容性を高める。経済性管理の視点では、基金による長期支援で投資負担を平準化し、脱炭素投資が地域雇用と収益に還元される移行経路を設計して、負担と便益の均衡を図る。

中小企業のAX・建設のオートメーション化(b.GX・DXの推進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方の中小企業や建設現場は深刻な人手不足に直面する。そこで国は、AIによる変革(AX)とデジタル技術の活用を後押しし、少ない人員でも生産性を高める構造へ転換する。中小企業のAXを人手不足を乗り越える切り札と位置づけ、建設分野ではオートメーション化を進めることで、地域産業の稼ぐ力を底上げし、b.GX・DXの推進を成果として達成する。

②有効性と実現性:政府は2025年12月閣議決定の「人工知能基本計画」で中小企業のAXを、人手不足を乗り越え大企業を追い抜くリープフロッグの切り札と位置づけた。建設分野では「i-Construction 2.0」が、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進め生産性を1.5倍に高める目標を掲げ、施工・データ連携・管理のオートメーション化を推進しており、技術革新を追い風に実現性が高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、AI・デジタル基盤の導入を急ぐほど、地方の中小企業や現場の人材が新技術に適応できず取り残されること、すなわち情報管理×人的資源管理の対立である。情報管理の視点では、データ連携の標準を国が整え、中小企業が使いやすい共通のデジタル基盤を提供する。人的資源管理の視点では、導入と並行して現場人材の教育・支援を行い、人と技術が噛み合う形で段階的に移行する。

三位一体の労働市場改革とリスキリング支援(h.人材育成・リスキリング促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方の人手不足を克服するには、成長分野へ人材を送り出す仕組みが欠かせない。そこで国は、リスキリングによる能力向上、ジョブ型人事の導入、労働移動の円滑化を並行して進める「三位一体の労働市場改革」を推進する。大学・高専の機能を成長分野へ強化し、働き手の学び直しを支援することで、地域の人材力を高め、h.人材育成・リスキリング促進を成果として達成する。

②有効性と実現性:政府はリスキリング・ジョブ型人事・労働移動の円滑化を並行して進める三位一体の労働市場改革を掲げ、2024年5月成立の改正雇用保険法で教育訓練給付金の上限引上げと教育訓練休暇給付金の創設を実現した。デジタル・グリーン等の成長分野への学部転換を促す大学・高専機能強化支援事業は約3,002億円の基金で継続支援され、人材供給の制度基盤が整っている。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、リスキリングや大学再編の効果が現れるまで時間と投資を要し、財政と企業の負担が先行すること、すなわち人的資源管理×経済性管理の対立である。人的資源管理の視点では、給付金や休暇制度で働きながら学べる環境を整え、成長分野への労働移動を円滑にして人材の質を高める。経済性管理の視点では、基金による長期投資の効果を人材の定着と生産性向上で検証し、限られた財源を効果の高い分野へ配分する。

政策目標2「豊かな生活環境」に対応する施策(生活インフラ)

地域公共交通のリ・デザイン(i.公共交通の維持)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:人口減少と運転手不足で赤字路線の廃止が続き、車を持たない高齢者らの移動手段が失われる「交通空白」が全国に広がっている。そこで国が主導し、地方公共団体と交通事業者の連携・協働で路線・ダイヤ・運行形態を地域単位で作り替える地域交通のリ・デザインを進め、自動運転移動サービスやデマンド交通を組み合わせ薄い需要でも成立する交通網を再構築する。担い手と技術を総動員して移動を再設計するため、公共交通の維持に直結する。

②有効性と実現性:国は「地域の公共交通リ・デザイン連携・協働指針」を策定し、令和7年度から9年度を交通空白解消・集中対策期間と定めて全面展開する方針で、政策の後押しが明確である。技術面でも、特定自動運行(レベル4相当)の許可制度が令和5年4月に施行され令和6年末で全国6件が許可、導入自治体へ令和6年度に99件の支援が行われるなど、実装が現実段階に入り実現性は高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、採算の取れない路線を維持する財政負担と、生活の足を確保する社会的要請の対立、すなわち経済性管理×社会環境管理である。経済性管理の視点では、自動運転やデマンド化で運行費を圧縮し、便益と費用を可視化して補助を重点配分する。社会環境管理の視点では、住民・事業者との協議で必要な移動需要を見極め、地域の合意の下でサービス水準を設計し受容性を確保する。

ラストワンマイル物流による買物環境の維持(j.買物環境の維持)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方では小売店の撤退で日常の買物が困難な買物弱者が増え、生活の維持が脅かされている。そこで国が、移動販売車や無人店舗、ドローン活用、共同配送など地域に応じた配送体制を支援し、最後の区間を担うラストワンマイル物流を強化する。あわせて農村RMOの形成を促し、買物や生活支援を地域ぐるみで支える。商品を確実に届ける仕組みを整えるため、買物環境の維持に直結する。

②有効性と実現性:食料・農業・農村基本計画は、買物困難者対策に取り組む市町村割合を2024年度の89%から2030年度に90%へ、生鮮食料品等の中継共同物流拠点数を2023年度の8か所から2030年度に30か所へ拡大する目標を掲げ、政策の方向が明確である。農村RMOも令和8年度までにモデル地区100地区の形成を目指し、無人店舗やドローン等の技術進展が薄い需要地でも配送を成立させ、実現性は高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、共同配送や無人店舗の運行の安全確保と、コスト削減・省人化の要請の対立、すなわち安全管理×経済性管理である。安全管理の視点では、ドローン運航や無人店舗の設備・食品衛生の基準を国が定め、事故や品質低下を防ぐ運用体制を整える。経済性管理の視点では、共同配送で複数事業者の荷を束ねて積載効率を高め、中継物流拠点を核に配送単価を下げ、安全対策の負担を吸収する採算構造を築く。

インフラ長寿命化と予防保全(k.インフラの維持)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:高度成長期に整備した道路・橋梁・水路等が一斉に老朽化する一方、地方では維持管理を担う技術者と財源が細り、施設の維持が困難になっている。そこで国が、壊れてから直す事後保全から軽微なうちに手を打つ予防保全型メンテナンスへ転換し、インフラ長寿命化計画に基づくストック管理と、群マネジメント、デジタルツイン等のインフラDXを一体で進める。少ない人と金で施設を持たせる構造へ変えるため、インフラの維持に直結する。

②有効性と実現性:国は5か年加速化対策で老朽化対策に約2.1兆円を確保し、不要施設の撤去等を推進している。技術面でも、AIで摩耗度を数値化する道路標示点検システムや電子国土基本図の3次元化が進む。i-Construction 2.0は2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割進める目標を掲げ、実現性が高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、点検・補修を担う技術者不足と、膨大な施設を確実に管理する情報要請の対立、すなわち人的資源管理×情報管理である。人的資源管理の視点では、群マネジメントで業務を集約し発注ロットを大きくして、少人数でも広域を支える体制と技術継承を進める。情報管理の視点では、点検データを標準形式で一元化しデジタルツインで施設状態を共有し、限られた人員が優先度の高い施設から補修判断する基盤を整える。

政策目標2「豊かな生活環境」に対応する施策(防災・国土強靱化)

事前防災・国土強靱化の中長期化(l.災害対応の強化の促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:気候変動で災害が激甚化するなか、被災後の復旧を繰り返す事後対応から、被害を未然に抑える事前防災へ国家の重心を移す。国土強靱化を単年度の補正頼みから中長期の安定投資へ転換し、流域治水と、ハザード情報に基づく土地利用の誘導を組み合わせる。地方の暮らしは一度の災害で長期に途絶するため、被害を事前に減らすことが生活環境の維持に直結し、アウトプットlにつながる。

②有効性と実現性:改正国土強靱化基本法(令和5年6月施行)に基づき、令和7年6月を目途に国土強靱化実施中期計画を策定し、現行の5か年加速化対策(累計約12.5兆円)を上回る概ね15兆円程度の事業規模を中長期的に推進する。流域治水プロジェクトは全国109の一級水系で展開し、田んぼダム等の事前放流で洪水調節容量を確保している。水害リスクマップの整備も進み、既存制度の運用で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、安全を優先した立地規制や防災投資が、既存市街地の経済活動や短期の財政効率と相反すること、すなわち安全管理 × 経済性管理の対立である。安全管理の視点では、国がハザード情報を整備・公開したうえで、防災上重要な施設から順にリスクの低い場所への立地転換を促す。経済性管理の視点では、中期計画で投資規模を平準化し、被害抑止による将来コスト削減を財政見通しで示して、限られた財源の重点配分を正当化する。

防災DXと道路啓開の実効性強化(l.災害対応の強化の促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:発災時に人手が限られる地方ほど、情報の分断と初動の遅れが被害を拡大させる。そこで、被害・避難所・道路通行情報をデジタル基盤で関係機関がリアルタイム共有し、道路啓開を計画に基づき迅速に実行する体制へ転換する。少ない人員でも広域の状況を把握し、救援と物資輸送を早めることで、地方の災害対応力が底上げされる。

②有効性と実現性:新総合防災情報システム(SOBO-WEB)が令和6年4月に運用開始し、被害情報をリアルタイム共有している。物資の調達・輸送を調整する新物資システムも令和7年度から運用する。改正道路法(令和7年4月成立・施行)で道路啓開計画が法定化され、令和7年度内に地方整備局単位での策定を進める。防災庁設置も見据えた司令塔機能の強化が背景にあり、既存制度の延長線上で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、デジタル基盤を高度化するほど、機器に不慣れな高齢者の多い地方の現場で使いこなせず、情報が住民に届かないこと、すなわち情報管理 × 社会環境管理の対立である。情報管理の視点では、防災デジタルプラットフォームでデータ連携を標準化し、被害・避難・道路情報を自動で結ぶ共通基盤として整備する。社会環境管理の視点では、官民連携プラットフォームで自治体と民間の運用を支援し、平時からの訓練で現場が使える体制を地域とともに整える。

政策目標2「豊かな生活環境」に対応する施策(暮らし・まちづくり)

満足できる子育てサービスの実現(m.満足できる子育て・医療・介護・福祉サービスの実現)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方から若者・女性が流出する背景には、子育て負担の大きさと支援の不足がある。そこで、就労要件を問わず未就園児を預けられる乳児等通園支援(こども誰でも通園制度)を全国に整え、保育の職員配置を手厚くして質を高める。子育て世帯の孤立と負担を減らせば、地方でも安心して子を産み育てられ、m.満足できる子育てサービスの実現につながる。

②有効性と実現性:政府はこども未来戦略を掲げ、2024〜2026年度を集中取組期間として支援を加速している。乳児等通園支援は2024年度の試行を経て2025年度に制度化、2026年度から本格実施される見込みで、就労要件を問わない点で地方の子育て世帯に広く届く。保育の職員配置基準は76年ぶりに改善され、量の拡大から質の向上へ政策が転換した。既存制度の全国展開として実現性が高い。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、配置改善や新制度の全国実施に必要な保育人材が地方で確保できず、財源も限られること、すなわち人的資源管理×経済性管理の対立である。人的資源管理の視点では、処遇改善と復職支援で保育士を確保し、広域での人材融通や研修を国が支える。経済性管理の視点では、限られた財源を配置改善と誰でも通園に重点配分し、費用対効果を人口定着効果で示して持続的な財政運営を担保する。

持続的な地域医療・介護の実現(m.満足できる子育て・医療・介護・福祉サービスの実現)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:高齢化が進む地方では、病院や介護施設を従来の拠点型で維持することが難しく、医療・介護の空白が生活の不安を高める。そこで、地域医療構想を改訂して外来・在宅・介護連携まで含めた地域全体で医療を再設計し、オンライン診療と地域包括ケアで在宅の医療介護を支える。少ない資源でも切れ目なく医療介護を届ければ、m.満足できる医療・介護サービスの実現につながる。

②有効性と実現性:政府は2040年頃を見据えた新たな地域医療構想へ改訂を進め、医療法等の改正案を国会に提出している。第9期介護保険事業計画(令和6〜8年度)に基づき、テクノロジー活用で介護現場の生産性向上を図る方針である。データヘルス改革により2025年度を目途に保健医療情報の基盤整備も進む。人口減少を前提に供給体制を再編する現実的な方策で、既存計画の延長線上で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、拠点の統廃合や在宅移行が住民の安全と受診機会を損なう懸念と相反すること、すなわち安全管理×経済性管理の対立である。安全管理の視点では、オンライン診療と地域包括ケアで在宅の見守りと救急搬送体制を確保し、医療の質と安全を担保する。経済性管理の視点では、供給体制の効率化で限られた医療費と人材を重点配分し、持続可能な地域医療を長期の財政見通しで正当化する。

コンパクト+ネットワークによる持続可能なまちづくり(n.持続可能なまちづくり)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:人口が薄く広がったまま市街地を維持すると、インフラや生活サービスの一人当たり負担が膨張し、地方は持続できない。そこで、住まいと医療・商業等の都市機能を核となる拠点にゆるやかにまとめ、拠点どうしを公共交通網でつなぐコンパクト+ネットワーク型へ転換する。立地適正化計画で長期的に持続可能な土地利用へ誘導すれば、限られた資源で暮らしを支えるn.持続可能なまちづくりにつながる。

②有効性と実現性:政府は立地適正化計画と防災を連動させ、都市構造再編集中支援事業により病院や老人デイサービスセンター等の要援護者施設をハザードエリア外へ誘導する。こどもまんなかまちづくり事業では市町村こども計画と都市再生整備計画を連携させ、子供の居場所やバリアフリー施設を一体整備する。人口減少で土地利用を再編する余地が生まれる局面と整合し、既存制度の運用で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、機能集約が住み慣れた地域からの移転を伴い、住民の生活継続性と相反すること、すなわち社会環境管理×経済性管理の対立である。社会環境管理の視点では、移転を強制せず利便性向上と支援で緩やかに誘導し、拠点外にも最低限の生活機能を残して合意を形成する。経済性管理の視点では、集約による維持コスト削減を長期の財政見通しで可視化し、限られた財源の重点配分を正当化する。

政策目標3「選ばれる地方」に対応する施策

女性が流出しない地域社会の構築(o.多様性に富んだ地方の実現)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方からの人口流出は特に若年女性で顕著で、雇用機会や価値観の多様性の乏しさが背景にある。そこで、男女間賃金差異の公表拡大や女性の意思決定過程への参画促進を国が制度化し、地域の固定的な性別役割意識を変えていく。女性が働き続け意思決定に加われる地域をつくることは、若年女性の流出を止め、多様性に富んだ地方を実現するアウトプットに直結する。

②有効性と実現性:女性活躍推進法の改正案は、男女間賃金差異の情報公表義務を常用労働者301人以上から101人以上の事業主へ拡大する方向で、地方の中小事業所にも透明性を及ぼす点で有効性が高い。第5次男女共同参画基本計画は都道府県・市町村防災会議の女性委員割合を令和7年までに30パーセントとする目標を掲げ、農業委員も2020年代の早期に30パーセントを目指すなど、意思決定への参画を数値で後押ししており、既存政策の運用で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、賃金や登用の改善に時間を要する一方、地域に根強く残る性別役割の固定観念が女性の定着を妨げること、すなわち 人的資源管理 × 社会環境管理 の対立である。人的資源管理の視点では、賃金差異の公表と登用目標で女性が働き続けられる質の高い雇用を地方に育てる。社会環境管理の視点では、多様な生き方を受け入れる地域の意識改革を進め、選ばれる地方の前提条件を整える。

高校を核とした地域教育環境の高度化(p.教育環境整備の促進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方では進学や進路の選択肢の乏しさが若者流出を招く。そこで、1人1台端末環境を活かしたデータ利活用による個別最適な学びと、特色ある高校教育を国が支援し、地域で質の高い教育を受けられる環境を整える。魅力ある学びの場を地方に用意することは、子育て世代の定着と教育環境整備の促進というアウトプットにつながる。

②有効性と実現性:GIGAスクール構想では教育データ標準5.0を2024年度に公表し、次世代校務DXを都道府県域の共同調達で補助するなど、少人数の地方校でもデータ活用型の学びを実装できる基盤が整いつつある。スーパーサイエンスハイスクールは2024年度に全国225校が先進的な理数教育を実施し、地域学校協働活動を担うコミュニティ・スクールは公立学校の58.7パーセントに導入済みで、地域と学校の連携基盤の上に実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、端末やデータ活用を進めるほど、教員の少ない地方校で運用体制が追いつかず学校間の教育格差が広がること、すなわち 情報管理 × 社会環境管理 の対立である。情報管理の視点では、教育データ標準に沿った共同調達とICT支援員の配置で、少人数校でもデータを安全に扱える運用を国が支える。社会環境管理の視点では、地域学校協働本部を通じて地域人材を学びに巻き込み、学校を核とした地域の受容と協働を醸成する。

二地域居住による都市と地方の共生(q.都市と地方の共生の実現)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:定住人口の増加だけで地方を支えることは難しく、都市の人材や活力を地方に還流させる仕組みが要る。そこで、二地域居住や関係人口の拡大を国が制度で後押しし、都市住民が地方に継続的に関わる状態をつくる。住まいや働く場を都市と地方の双方に持つ人を増やすことは、都市と地方の共生の実現というアウトプットに直結する。

②有効性と実現性:改正広域的地域活性化法が令和6年11月に施行され、市町村が環境整備計画を策定すれば住宅やコワーキングスペースの整備支援を受けやすくなる裏付けが整った。2024年10月には全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームが発足し機運が高まる。食料・農業・農村基本計画は農村関係人口が拡大した市町村を2024年度の356から2030年度に630へ増やす目標を掲げ、リモートワーク定着の追い風の下で実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、二地域居住者を受け入れる住宅やコワーキング等の整備が受入地域に財政負担を強いる一方、共生の効果が現れるまで時間を要すること、すなわち 経済性管理 × 社会環境管理 の対立である。経済性管理の視点では、環境整備計画に基づく国の支援を活用し、限られた財源を関係人口拡大に効く整備へ重点配分する。社会環境管理の視点では、官民プラットフォームで住民合意と地域資源の維持を図り、共生を根づかせる。

地域おこし協力隊を軸とした移住定着の推進(r.地方への移住推進)

①施策の内容とアウトプットにつながる理由:地方の担い手不足を補うには、都市から地方へ人が移り住み定着する流れを国として太くする必要がある。そこで、地域おこし協力隊や移住支援金を拡充し、移住希望者が任期中に地域と関係を築いて定住へ移行できる導線を整える。移住から定着までを一体で支えることは、地方への移住推進というアウトプットに直結する。

②有効性と実現性:地域おこし協力隊は2024年度に1,176自治体で7,910人が活動し、直近5年の任期終了者の約69パーセントが活動地と同じ地域に定住するなど定着効果が実証されている。移住支援金は令和7年度から農林水産業への就業も新たに支援対象に加わり、担い手確保と結びついた。ふるさと回帰支援センターの移住相談件数が2024年に過去最高の6万1,720件に達するなど関心の高まりを背景に実現できる。

③最も重大な障害と対応方策:最大の障害は、移住希望者に届く相談・支援情報が制度ごとに分散し、地域の生活実態と噛み合わないまま移住して定着に至らないこと、すなわち 情報管理 × 社会環境管理 の対立である。情報管理の視点では、支援金や協力隊制度の情報を回帰支援センター等で一元的に整理し、任期後の定住率も添えて移住希望者に正確に届ける。社会環境管理の視点では、隊員と地域の関係構築を支え、移住者を受け入れる地域の意識と生活基盤を整えて定着を確かにする。

設問(3)で2施策をどう組み合わせるか

設問(3)は、異なるアウトプットの施策を2つ選んで論じます。良い組み合わせのコツは3つです。

  1. 前提を国家スケールで置く:冒頭で「我が国では人口の東京圏偏在と地方の機能低下が進む」と宣言し、課題を一自治体に限定しない。

  2. トレードオフの軸が異なる2施策を選ぶ:上の各施策の③に「○○管理×○○管理」の対立を明記しています。例えば「安全管理×経済性管理」の防災系施策と、「人的資源管理×社会環境管理」の人材・移住系施策を組むと、論文に視点の幅が出ます。同じ軸ばかりだと単調に見えます。

  3. ③でどの分野の視点かを明記する:設問は「解答欄にはどの分野の視点であるかを明記すること」を求めています。克服策は各管理の「管理行為」として書きます。

自分の設問(1)(2)で選んだアウトプットと重ならない項目から2つを選べば、設問全体のまとまりも保てます。


関連ページ・教材

本試験の設問文全文と出題背景は、doboku-note のサイトで確認できます。

設問(1)(2)を含む全14ペルソナの地方創生 模範解答(自治体10・受注者4)は、本文掲載+立場別の無料PDFで別記事にまとめています。

択一(I-1)40問の暫定解答と自己採点のしかたは、解答速報の記事で確認できます。

来年以降、どのテーマが出題されても設問(3)の弾薬を引き出せるようにしておきたい方は、この記事の元になった「設問(3)国家施策バンク」(将来課題11テーマ×国家施策の引き出し集)が近道です。

記述式の型・演習・フル模範論文まで一式そろえるなら、全部入りの完全パックが最もお得です。



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