「世界第3位の対外純資産国」をどう解釈すべきか
対外純資産公表の季節
もう5月も終わりですね。色々なニュースが重なり過ぎて、積み残している議論が非常に多くあります。とはいえ、これだけは捨て置けないというテーマから順に紹介して参りたいと思います。
先週5月26日には年1度の「対外資産負債残高統計」が財務省より公表されました。2025年末時点の日本の対外経済部門の状況が明かされています。毎年、この時期に定点チェックしており、ちょうど1年前にも「34年ぶりの首位転落」が話題になったので議論を深掘りいたしました:
今年の6月1発目も同じ議論をしたいと思います。いつも通り、メディア報道は対外純資産残高の世界順位に拘るヘッドラインが多く見られておりますが、順位には意味がなく、「残高」の絶対値にも意味はありません。意味があるのは「構造」であり、これが現状の円安と決定的に関係します。
3位後退は予想通り
まず、基本情報から見ておきましょう。2025年末時点の日本の対外純資産残高は561兆7504億円と7年連続で過去最大を更新したものの、ドイツ(675兆5374億円)は元より、中国(636兆3391億円)にも追い抜かれ、世界第3位の対外純資産国の座に収まりました。大体、報道はここまで、です:

上述の通り、昨年は「34年ぶりに『世界最大の対外純資産国』のステータスを喪失したこと」が必要以上に騒がれましたから、順位自体、2年連続で落としたことになります。以下、国際比較の推移です。
心なしか昨年よりも取材や照会が少ないのは2位が3位になっても、関心は大きくない、といったとことでしょうか:

もっとも、1年前の本欄では「世界第3位の対外純資産国へ順位を落とすことも概ね既定路線」と論じていた経緯があります。以下、該当箇所です:
世界第3位の対外純資産国へ順位を落とすことも概ね既定路線と見受けられます。今から留意し、騒ぎ過ぎないようにしたいところです
よって、今回の結果について筆者は意外感を覚えていません。
繰り返し述べている事実ですが、そもそも対外純資産残高の順位を議論することに価値は無く、もっと言えば残高全体の金額にも意味はありません。重要なことは残高がどのように構成されているのか、一言で言えば「構造」です。昨年と同様の論理構成に沿いつつ、解説させて頂こうと思います。
資産・負債の別に見ておきますと、対外資産残高は前年比+8.5%の1805兆6340億円、対外負債残高は同+10.5%の1243兆8840億円でした。負債の増加幅が大きかったものの、ネットアウトすれば純資産の積み上げは順調に続いています。国際的な順位はさておき、この事実は重要です。その結果、最終的な仕上がりは561兆7504億円と7年連続で過去最大なわけですから、順位はどうであろうと、残高は大きく、また増勢が続いています。※そもそもそれが良いことなのか、は後述するように別の話です。
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