【音大生の耳】ディズニー楽曲を解読するBEST5
こんにちは!
ついに30本目の投稿を迎えました✨
これまで29本の記事を通して、様々な作品や音楽についてお話ししてきましたが、今回は一つの節目。
これまでの「作品紹介」というスタイルを一旦捨てます!
音大で4年間、楽譜と向き合ってきた私が、ディズニー音楽を聴くときに一体何を捉えているのか。
なぜその曲が聴く人の心拍数を上げ、涙腺を刺激するのか。
その正体を解明します🧐
第5位:『右から2番目の星(The Second Star to the Right)』
※本記事の解説のために、【ディズニー公式】より動画を引用(埋め込み)させていただいております。動画:ディズニー・ミュージック・ショーケース/右から2番目の星|ディズニープラス
── 「属9の和音(9th)」が描く、ロンドン上空の浮遊感
冒頭のコーラスが入る瞬間、私たちは一瞬で「重力」から解放されます。
これを音楽的に説明すると、メロディに含まれる「属9」という和音を使い方が鍵を握っています。(※和音:2つ以上の音が同時に鳴ること)
技術的解説: 通常の安定したコードに、あえて「9度上」の音を加えることで、響きに心地よい「濁り」と「広がり」が生まれます。これが音楽における「浮遊感」の正体です。
筆者の感想: この曲はディズニーを象徴するシーンで、よく使われる名曲です。私がこの曲の素晴らしさを一番実感したのが、ディズニーシーの新エリアにあるライドです。皆さま体験されたことはありますか?
ネタバレになるのであまり多くは言えませんが、ライドの最後、この曲がピーターの言葉と共に流れるのですが、もう、めちゃめちゃ涙が溢れてきました(笑)
子ども時代や過去の思い出が一気に蘇ってくるライドは、世界中のディズニーリゾートを探しても、なかなか出会えないと思います。
この曲は昔の大切な思い出を蘇らせてくれる、そんな特別な曲ではないでしょうか。
第4位:『ビー・アワ・ゲスト(Be Our Guest)』
※本記事の解説のために、【Disney】より動画を引用(埋め込み)させていただいております。動画:"Be Our Guest" from Beauty and the Beast: Translated | Disney
── 目まぐるしい「半音転調」による期待感の強制
この曲には、聴き手を映画の世界にどんどん引き込む力があります!
その理由は、執拗なまでの「半音転調」と「加速」の構造にあるのではないでしょうか。
技術的解説: 曲の中でキー(調)が半音ずつ上がっていく手法が使われています。半音上がるたびに、楽器の数が増えて聴き手の緊張感が高まります。
筆者の感想:この曲も同じく、ディズニーランドにあるライドの冒頭部分で使われていますよね。
あの空間を初めて体験したときはビッックリしました!食器たちが机の上でベルをおもてなしするシーン。実はこの曲、好きすぎて自分の結婚式でピアノ演奏しました(笑)
第3位:『サークル・オブ・ライフ(Circle of Life)』
※本記事の解説のために、【DisneyMusicVEVO】より動画を引用(埋め込み)させていただいております。動画:Carmen Twillie, Lebo M. - Circle of Life (From "The Lion King")
── 「完全5度」による、新たな王の誕生
冒頭の叫びから、壮大なサバンナへ。
ここで注目すべきは、和音の中に「3度(明るさや暗さを決める音)」が含まれていない瞬間があることです。
ガチ分析: 鳴っているのは「ド」と「ソ」だけ。これを「完全5度」と呼びます。この響きは非常に中立的で、文明の匂いが一切しません。
3度の音を抜くことで、音楽がアフリカの広大な地平線という「空間」を描き出しています。生命の重みを際立たせる、プロの設計です。筆者の感想:劇団四季のミュージカルでも長く愛されているこの作品。
そもそも皆さま、ライオンキングはご覧になったことはありますか?
実はこの曲、映画の冒頭&ラスト、この両方で全く流れます。(少しネタバレになりますが)映画の冒頭ではシンバはまだ生まれたてのライオン。
そして映画のラストでは、シンバが次の世代に王の座を渡す、つまりシンバの子どもが、シンバと同じように崖の上に立つシーンになるのです。まさに、これは生命の連鎖、サークルオブライフなのです。
映像と音楽をあわせて鑑賞することで、ほんっとうに鳥肌がたちます。地響のような音響も素晴らしいです…
第2位:『ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)』
※本記事の解説のために、【デヴィッド・オグデン・スティアーズ - トピック】より動画を引用(埋め込み)させていただいております。動画:The Bells of Notre Dame
── 増4度の「悪魔のインターバル」が暴く、偽善と信仰
ディズニー音楽史上、最も重厚で芸術的だと言えるのがこのスコア。
ガチ分析: 合唱の中に、「増4度」という和音、つまり中世で「悪魔の音」と禁じられた不協和音が意図的に組み込まれています。フロローという悪役が聖歌を歌うとき、この濁った音が混ざることで、彼の信仰心が歪んでいることを論理的に示しています。
筆者の感想:この曲はディズニー作品の中でもっと宗教的な作品だと言われています。あらすじももちろんのこと、作品にでてくる楽曲のほとんどで、宗教的な面が感じ取られます。(例:Topsy Turvy)
テレビで全く放送されない理由が少し分かりますよね…。(2年程前に金曜ロードショーで放送されてましたが💦笑)
とにかく!この曲、ノートルダムの鐘の名にふさわしい重厚で、かつ曲の最後には希望に向かって音楽が進んでいく、そんな唯一無二の存在です🔔
第1位:『星に願いを(When You Wish Upon a Star)』
※本記事の解説のために、【DisneyMusicVEVO】より動画を引用(埋め込み)させていただいております。動画:Cynthia Erivo - When You Wish Upon A Star (From "Pinocchio"/Audio Only)
── 1オクターブの「跳躍」に込められた、重力と祈りの物理学
全てのディズニー作品の冒頭で流れるこの曲。
この曲はディズニーオタクの私からは、切っても切れない存在です…🪄
ガチ分析: 冒頭の「When you...」のメロディ。最初の音から次の音へ、1オクターブ(8度)一気に跳び上がります。これは楽器でも声でも、非常に「エネルギーを必要とする」動きです。実際にピアノを演奏する際、先生から1オクターブ跳躍の時は、「それはそれはすごく大切に、少し間をとって(溜めて)演奏して!」といつも注意されます(笑)
筆者の感想: この曲は正直、演奏すること自体は簡単です。(複雑なアレンジバージョンは除く)ですが簡単&みんなが知っている名曲だからこそ、難しい面がたくさんあります。まず、シンプルに音数が少ないので、演奏ミスが絶対に許されないです。美しいメロディの邪魔になるようなことが一切できない曲なので、実はなかなか手強いんです…。
ただそれ以上に、この素晴らしい楽曲は世界中でずっと愛され続け、もはやディズニーとは関係ない場面でも多く演奏されていますよね✨
私もこの曲に出会えた人生に、度々感謝しています。
まとめ:音楽は「人生の解像度」を上げるツールである
30本の記事でこのような分析を提示したのは、
皆さまに「音楽は、感情以前にロジックである」という事実を知ってほしかったからです!
構造を知れば、映画はもっと面白くなります。
それだけでなく、自分がどんな音に癒やされ、
どんなリズムで集中力が高まるのか、
自分の心を取り扱う「トリセツ」が手に入るようになります。📚
実は、こうした音楽理論の知見は、
「作業効率を最大化する音の聴き方」や
「メンタルをコントロールするメソッド」など、
私たちの日常をハックする実用的な技術としても応用可能です。
いつか、そんな皆さんの生活に役立つ「音楽の使い道」についても、
この場を借りて深く共有できればと考えています。
結びに
30本という一つの節目までお付き合いいただき、
本当にありがとうございました!
皆さまの「耳」が、
この記事をきっかけに少しでもアップデートされたなら、
一人の音楽家としてこれ以上の喜びはありません✨
31本目からも、どうぞよろしくお願いします!
