【息抜きコラム】ビジネス現場で「タダ飯」で食い物にされないために。引くべき「境界線」の話
毎日インフラやマクロ経済といったハードなテーマが続いたので、今回は少し肩の力を抜いた話をお届けします。
テーマは、ビジネスにおける「境界線」についてです。
事業を作ったり、海外のクライアントと交渉したりしていると、実に様々なタイプの人間に遭遇します。その中で、ビジネスを前に進める上で最も警戒すべきなのが、「Free Lunch(タダ飯)」を食おうとする人たちです。
「デパートの構造を建て替えろ」というテナント
つい今日、ある海外のクライアントから、信じられないような要求が飛んできました。 私がプロデュースで入っている、日本でも有数のトラフィックを持つ私の知人のWebメディアに対して、「うちの会社(商品)をもっと目立たせたいから、メディアの根幹であるシステム(テンプレート)そのものを作り変えてくれ」と言ってきたのです。
メディアのテンプレートを変えるということは、長年かけて築き上げたサイト全体のデザイン、他の記事のSEO評価、内部リンク構造のすべてに甚大な影響を与える「大工事」です。
これは例えるなら、「デパートに出店している一(いち)テナントが、自分の店を目立たせたいという個人的な都合で、デパートの建物の設計図から作り直せと要求している」のと同じくらい、常識外れで傲慢な話です。
彼らは決して悪人ではありません。「自社の売上を上げたい」という自分のKPIしか見えていない結果、悪気なく「他人の築き上げたプラットフォームや資産を、無料で自社のために使い倒そう(タダ飯を食おう)」としてしまうのです。
「いい人」は搾取され、ビジネスは破綻する
こういう「自分の立ち位置(分際)」を見失った無茶振りに対して、「せっかくの取引先だから…」「関係を悪化させたくないから…」と、自分の時間や資産を削って応えようとしてしまう人がいます。
しかし、厳しいようですが、そこで安請け合いしてしまうのは「いい人」ではなく、ビジネスマンとして「三流」です。(と思っています。)
一度でも相手の「タダ飯」を許してしまえば、彼らは「この人は無料で都合よく使える下請けだ」と認識し、要求はさらにエスカレートします。結果的に、自分のプラットフォームの価値は毀損され、本当に守るべきユーザーや、他のまともなクライアントにまで迷惑をかけることになります。
プロフェッショナルな「No」の引き方
では、どうすればいいのか。 感情的になって怒る必要はありません。プロフェッショナルとして、冷徹かつ論理的に「ここから先はあなたの領分ではない」という強固な境界線を引くのです。
先ほどのクライアントに対して、私は一切の妥協なくこう伝えました。
「我々が繋がっている彼らは、メディアの枠を貸している立場であり、あなたがメディアを所有しているわけではない。一企業の都合でインフラを変えるオーナーなどこの世に存在しない」と。
その上で、ただ突っぱねるのではなく、「そんな小手先のレイアウト変更にお金と時間を使うより、ユーザーにとって圧倒的に有利な『手数料の還元スキーム』を作りましょう。そうすれば、こちらが頼まれなくても、メディアは自然とあなたの商品をトップで紹介するようになる」と、本質的なビジネス構造(スキーム)の提案へと話を強制的に引き戻しました。
本当の「Win-Win」は構造から生まれる
ビジネスにおいて、「タダで何かを奪おうとする関係」に未来はありません。 相手の理不尽な要求に対して、自分の価値や資産を安売りして応えることは、決して「Win-Win」ではないのです。
本当のWin-Winとは、お互いが「自腹を切ってでも相手に価値を提供したい」と思えるような、強固で合理的な「利益の構造(スキーム)」を作り上げること(もちろんお互いの信頼から派生することいもあります)です。
あなたの周りにも、悪気なく「タダ飯」を食おうとしてくるテイカー(奪う人)はいませんか? もし心当たりがあるなら、今すぐプロフェッショナルとしての「冷徹な境界線」を引き直してみてください。
それだけで、ビジネスの風通しは劇的に良くなり、本当に時間を投じるべき「本物の仕事」に集中できるようになるはずです。
それでは、良い1日を。

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それでは、次回の記事でお会いしましょう。
