本棚の20世紀(44)片岡義男著「ぼくはプレスリーが大好き」
ぼくはプレスリーを識らない。知ってはいるけど、それはいわゆる通り一遍にも満たない程度。「ハートブレイク・ホテル」や「監獄ロック」の頃はこの世に生まれる予兆すらなかった。この本は1939年生まれの片岡義男がロックンロール、カントリーミュージック、ブルースとの出会いを語り、その社会的背景を「エルビス・プレスリー」というスターを手がかりに解き明かしたもの。豊富な資料を駆使し、いわゆるアーチスト礼賛本にはない抑制のきいた論考は、タイトルとは裏腹にすぐれたアメリカ文化史となっている。
音楽とはやっぱり出会うものなのだ、とつくづく思う。それは衝撃や、あるいは陶酔、はじめはただのノイズだったかも知れない。それでも頭の中に巣くって離れなくなることがあって、人はめでたく(不幸にともいう)その音楽の感染者となる。桑田佳祐流に言えば「お前の描いた詩は俺を不良くさせた」なのだ。
イントロは短くサビはは早めに、それがヒットのコツとかいうファストフードみたいな時代の音楽って何だろう。
蔵書は1981年第七版の角川文庫(文庫本初版は1974年、単行本は1971年三一書房から刊行)
