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『レモンスカッシュのように消えたオトン』ーーせりふ三題噺

シュッとしたおっさんが申し訳なさそうに頭を下げている。
「来てませんね」

おかん
「あぁ!どういうことやねん!!」

うちは玄関で凍ってた。



リビングのテレビの中では、
島木譲二のポコポコヘッドが軽やかに鳴っていた。


テーブルには、新幹線の領収書と飲みかけのレモンスカッシュ。



つむぎ
「なあ、おかん…」

おかん
「お前は黙っとれ!」

つむぎ
「でもこれ…新幹線ってことは…」

おかん
「言うな!」

(間)



テレビの中の吉田ヒロが叫ぶ。
「うどんの中に花びら入っとるやんけ!」

つむぎ
「あ、眉毛ボーンのひと」

おかん(思わず吹き出す)
「なんや、それ」

つむぎ
「眉毛ボーン!」

おかん
「やめえ」

つむぎ

「眉毛ボーン‼️」




おかん(ふっと真顔に戻る)
「……ほんで、あの人どこ行ったんや」

つむぎ(少し間を置いて)
「……会社行ってませんね、オトン」

(間)

テレビ
ポコポコポコポコ

つむぎ
「炭酸か!」

おかん(少し笑って)
「あんた、ほんまおもろいな」

(間)

おかん
「何がポコポコヘッドは男のロマンや。
頭叩きすぎて、おかしなっとるやんけ」

おかんは大きな息を吐いた。

「……今日から2人やぞ」

つむぎ
「うん。」

おかん
「笑って生きてくぞ!」

つむぎ
「たまに泣くで」


おかん
「かまわへん。
泣き笑いOKや」



それからや。

うちとおかんの大喜利の毎日が始まって、今に続く。



おかん
「今日から心機一転、神戸での生活や!」

つむぎ
「急に情報多いねん」

おかん
「ほら、転校生の挨拶考えよ。
“大阪から来た転校生、教室での第一声は?”」

つむぎ
「やめえ、忙しいねん!」

おかん
「気張れよ、つむぎ」

つむぎ
「ああ、行ってくるわ!」

おかん
「学校中、笑かしてこい」

つむぎ
「気ぃ抜けてたら、うちがシュッと笑わしたるわ!」

これは、
文徳に笑いの渦が起こる、
ちょっと前の話。

<おわり>

今回、はらとけいさんの企画に参加させていただきました。
ありがとうございます。


話の続きはあの"出会い"へ…

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