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オトンをたずねて三千里〜梅田のつむぎーーせりふ三題噺

テレビでは『母をたずねて三千里』の再放送。

ちゃぶ台の前。

白井つむぎ(7)は、目をきらきらさせながら見ていた。

山を越え。

草原を歩き。

国を渡る。

少年マルコの大冒険。

エンディングが流れ始める。

つむぎは立ち上がった。



つむぎ
「やっぱ、オトン探しにいくわ!」


台所のおかん。

洗い物をしながら振り返る。



おかん
「無理やて」
「どこおるか分からん」



つむぎ
「マルコはアルゼンチンまで行ったやん」
「野を越え、草原を歩き、国を渡って!」



おかん(蛇口を止めて、呆れたように笑う)
「……はいはい。ほな、いこか」

つむぎ
「やった!!」



梅田。

つむぎ
「うちの旅が始まる!」



おかん
「とりあえず三番街で飯食おっか」



つむぎ
「やった!」



数時間後。

フードコート。

おかん
「ジェノバでペンネやないけど美味いやろ」



たこ焼きを頬張るつむぎ。
「うん」


おかん
「はよ、皿返却しなさい」

つむぎ
「ショート……いや、グランデサイズで」

おかん
「ちょ、あんた」
「何勝手にチャイ飲んでるの!」



つむぎ
「うまい」



おかん
「オトン探しは?」



つむぎ
「ちょっと休憩」



おかん
「あんたは梅田の地下ダンジョンもクリア出来んて」



夕方。

地下街のベンチ。

つむぎが大きなあくびをする。



おかん
「お腹いっぱいやねんな」

つむぎ
「うん」



おかん
「満足した?」



つむぎ
「うん」



少し沈黙。



つむぎ
「オトン」
「いなかった」



おかん
「そっか」



また少し沈黙。



おかん
「ほな帰ろか」



つむぎ
「うん」



立ち上がる。



つむぎ
「でも」



おかん
「ん?」



つむぎ
「チャイうまかった」



おかん
「知っとる」



つむぎ
「あと、たこ焼きも」



おかん
「知っとる」



つむぎ
「あとソフトクリームも」



おかん
「知っとる知っとる」



歩き出す。

つむぎ
「次はオトン見つかるかな」



おかん
「さあなぁ」



つむぎ
「ほなまた来よ」



おかん
「三番街にな」



つむぎ
「うん」



その日。

白井つむぎの三千里は、

だいたい三番街だった。

<おわり>

今回、はらとけいさんの企画に参加させていただきました。
ありがとうございます。

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