ダンジョン第122階層【実録】『大魔女の冷徹な疑念を打ち砕け!深夜の魔導設計書と起死回生の情報の巻物』
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01:ディープ・リサーチ・コンピレーション〈深層調査の集大成〉
俺は数件のギルド〈企業〉への遠隔詠唱〈電話営業〉を終えた。
テストマーケティングとして確かな手応えを感じ、一旦アプローチを中断する。ここからは、冷徹なる大魔女〈現場責任者〉に提出するための本格的な準備に入る。
アンダーグラウンド・マイン〈忘却の地下修練場〉の片隅。
俺は一人で魔導板〈パソコン〉の前に座り、魔導設計書〈企画書〉の作成に没頭していた。周囲は静まり返り、魔導鍵盤〈キーボード〉を叩く音だけが虚しく響き渡る。

大魔女も今回の西都校における魔導指導〈教務〉の宝物庫〈売上〉低迷については、当然のことながら最重要の懸念事項として念頭に置いているはずだ。しかし、俺が東都校で宝物庫〈売上〉を立てたと理解しているため、今のところは何も言ってこないのだろう。
次に顔を合わせた時。
俺が西都校に戻ってきた以上、この理の歪〈課題〉をどう解決するのかを鋭く突きつけてくることは容易に想像がつく。その大魔女の疑念を想像以上に払拭する圧倒的な魔導設計書〈企画書〉を提出しなければならない。
俺はその魂の重圧〈プレッシャー〉を背負いながら、深夜まで泥臭い作業に追われていた。目の前には、膨大なデータの山が積み上がっている。すでに、水谷さんと斉藤さんの決死の協力もあって、100社近くあったクエスト〈求人〉を出すギルド〈企業〉へのリサーチは完全に終わっていた。
彼女たちも、過去の搾取の記憶と戦いながら、信徒〈生徒〉の未来のために必死で動いてくれたのだ。
俺はこの集めた生きた情報を3つの分類に分けた。
1つ目は、クエスト〈求人〉の内容についてどのようなスキルが必要か、丁寧に答えてくれたギルド〈企業〉。
2つ目は、学校の掲示板に無料でクエスト〈求人〉を掲載することを承諾してくれたギルド〈企業〉。
3つ目は、自社が重装盟主〈スポンサー〉となり、独自の修練の道筋〈カリキュラム〉で信徒〈生徒〉を迎えることを前提にしてくれるギルド〈企業〉だ。

1つ目については50社ほどが答えてくれた。
2つ目については30社が了承してくれた。
3つ目は10社が強い関心を寄せてくれた。
これは事前の予測を遥かに上回る、圧倒的な成果だった。自分たちが額に汗をかいて、必死でかき集めた一次情報。私たちの魔導指導学校〈資格学校〉がさらなる飛躍をするために必要な情報を、有益な武器へと転換するのだ。ようやくその取りまとめも終わりつつあった。
02:アブソリュート・テリトリー・インベージョン〈絶対領域への侵攻〉
そんな時だった。
冷徹なる大魔女が2週間ぶりに西都校へと戻ってきたのだ。彼女が現れた瞬間、拠点の空気は一変した。重苦しい瘴気が立ち込め、魔導女師〈女性講師〉たちは息を潜めて作業に没頭するフリをしている。
俺は満を持して、大魔女にこの魔導設計書〈企画書〉をぶつける決意を固めた。俺は重厚な扉を開け、大魔女が鎮座する執務の間〈執務室〉へと入る。大魔女が戻っていることを確認し、ゆっくりと近寄っていく。
久しぶりに踏み込む肌を刺すようなアブソリュート・テリトリー〈絶対不可侵領域〉。
圧倒的!
大魔女を目の前にして、俺は絞り出すように言葉を放つ。
「お疲れ様です」
「西都校の現状でお話したいことがあります」
「15分ほどお時間いただけますでしょうか」
大魔女は魔導板〈パソコン〉から目を離さず、極めて不機嫌そうに言葉を返してきた。

「帰ってきた早々、なんなのよ」
「私にも少しは休ませてちょうだい」
「そんなに大事な話なの?」
刺すような視線が俺の頬をかすめる。俺は神妙な面持ちで、真っ直ぐに大魔女を見据えて答える。
「梅木さんもきっと気になっていることだと思います」
大魔女の手がピタリと止まった。急に真面目な顔つきになり、冷たい視線で俺を射抜く。
「分かったわ」
「30分後に応接の間〈応接室〉に来て!」
短い宣告と共に、彼女は再び魔導鍵盤〈キーボード〉を叩き始めた。俺は小さく一礼し、静かにその場を後にした。
決戦の時は近い。
03:ロジカル・アナライズ・レポート〈論理的解析の報告〉
俺は30分後、直接応接の間〈応接室〉へと向かった。冷え切った狭い室内。久しぶりに全身を貫くような強烈な緊張感が走る。俺が座って待っていると、少し遅れて大魔女が入ってきた。ソファに腰掛けるなり、大魔女は鋭く口火を切る。
「一体何の話なの?」
俺は慎重に言葉を選んで話を始める。
「実は西都校の魔導指導〈教務〉の宝物庫〈売上〉の件です」
大魔女も察した表情を浮かべ、冷笑しながら口を開く。

「あなた、戻ってきたから1週間でそのことに気づいたことは褒めてあげるわ」
「でも、もしかして気づいただけじゃないでしょうね」
俺は満を持して、用意した魔導設計書〈資料〉を見せながら提案を話し始める。
「もちろん、今回の理の歪〈課題〉について私なりに考えをまとめ、解決策を提案させていただきたいと思います」
「今回の私が不在時の宝物庫〈売上〉の低迷は、必然的状況だったと判断します」

「私が在籍時に上げた奉納の戦果〈売上〉は私の個人的な能力の結果であり、いわゆる固有魂の同調〈属人的〉なものです」
「その私がいないのですから、いくら縛理の書〈マニュアル〉を作っても、実践するものが存在しないので宝物庫〈売上〉は上がりません」
「梅木さんはだから、あえて私にそのことを共有しなかったのではないですか」
大魔女は含み笑いをしながら、俺の質問に答える。
「そうね。そうかもしれないわね」
「いくらあなたでも、いない場所で自分以外の人間が宝物庫〈売上〉を上げるような指導ができるとも思っていないわ」
「奉納の招陣〈営業〉はそんなに甘くないもの」
大魔女は、ある意味で極めて冷静に現場の現状を理解していたのだ。俺はその言葉を受けて、さらに説明を続ける。
「現状の理の歪〈課題〉について、深く分析をしました」
「なぜ私以外の魔導女師〈女性講師〉たちが縛理の書〈マニュアル〉通りに行っているにもかかわらず、宝物庫〈売上〉が上がらないか」

「数名に直接の深層聴取〈インタビュー〉を行いました」
「そこからある事柄が、絶対的な阻害要因だと仮定しました」
「それは元信徒〈生徒〉上がりの魔導女師〈女性講師〉たちに、信徒〈生徒〉たちに負担をかけるという呪縛〈トラウマ〉が本人たちに深く根付いているからです」
ここで俺は極度のプレッシャーをごまかすため、痛々しいルーティンに走った。
冷静さを装おうと熱い紅茶を口に運んだ瞬間、手が激しく震えて自らの白いシャツの胸元にドバっと熱湯をこぼしてしまう。
「あっちぃッ!」
熱さと恥ずかしさでシャツを乱暴にはだけさせながら、奇妙なステップを踏んで床を転げ回ったのだ。

『おい、おっさん!』
『シリアスな面談の最中に自らの胸板を熱湯消毒してストリップショーを始めるとか、ただの露出狂の自爆テロだワン!』
『一人で勝手に火傷して、応接の間〈応接室〉の空気を完全なカオスに変えてるワン!』
魔犬ツンの容赦なきジャッジメント・サタン〈魔犬の正論〉が俺の心臓を鋭く抉る!
痛恨的!
俺は火傷の痛みを堪えながら居住まいを正し、必死に話を続けた。
04:ソリューション・プロポーザル・スペル〈解決策の提示術式〉
「梅木さんや私にはその搾取されたという過去がありません」
「しかし、彼女たちにはそれが骨の髄まで染み付いています」
「自分たちが騙されたように高い金貨〈お金〉を払い、今は安い報酬で働かされている」

「その負の記憶が、信徒〈生徒〉に新たな修練会〈講座〉を提案する際の強烈なブレーキになっているのです」
「この呪縛を解き放ち、ソウル・リビルド〈魂の再構築〉を行う必要があります」
「そして、自信を持って信徒〈生徒〉に新たな修練会〈講座〉をおすすめできるような環境を作らなければなりません」
「それを作ることによって、仮に私がいなくても魔導師〈講師〉たちだけで宝物庫〈売上〉が立てられるようにすることが、全ての前提となります」
大魔女も、その悪魔的錬金術〈搾取のビジネスモデル〉の張本人として、魔導女師〈女性講師〉たちと呪縛〈トラウマ〉について深く理解をしていた。

だからこそ、その呪縛〈トラウマ〉を解消する方法があるとは到底思えなかったのだ。その冷酷な疑問を、俺の喉元に鋭くぶつけてくる。
「そんなことは私も当然理解してるわ」
「だからあなたがいない現状で、期待なんか一切してなかったの」
「一体あなたはこの絶望的な状況を、どうやって解決するつもりなの?」
俺の丹田の奥底でドロドロに煮えたぎる漆黒の魔力が極限まで練り上げられた。周囲の空気が重く歪み、パチパチと青白い紫電が激しく弾ける。
俺は全身の血脈を沸騰させ、魂の底から絶叫した!
「放て!」

ソリューション・プロポーザル・スペル〈解決策の提示術式〉ッ!!
俺は手元にあった分厚い情報の巻物〈求人誌〉を天高く掲げて、確かな自信を持って答えた。
「これを使って解決します」
沈黙に包まれた応接の間〈応接室〉。俺の泥臭い物理刃〈アナログスキル〉が、大魔女の冷徹な論理の壁に深々と突き刺さった瞬間だった。
【次回予告:ダンジョン第123階層】
大魔女の冷徹な疑念に対し、異次元おじさんが突きつけたのは一冊の求人誌!生徒の未来を切り拓く泥臭い市場調査が、魔導女師たちのトラウマを打ち砕く刃となる!果たして大魔女はこの常識外れの魔導設計書を承認するのか!?反逆の歯車が再び回り始め、西都校の空気が劇的に変化する!限界を超えた泥臭きプレゼンが、組織の闇を浄化する!次なる死闘が今、幕を開ける!次階層を見逃すな!
最後までお付き合いありがとうございます。
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