松本暮らし~春(①いきなり感動、お船祭り/前編)
引っ越して1週間もしないうちにあった地区最大の祭り「お船祭り」。祭りがあることも知らずに、お囃子に誘われて出ていくと、東京近辺では失われつつある住民、特に若者の熱さを目の当たりにできました。
本連載は、通過する旅に物足りなさを感じ、“滞在する旅” を試した私の体験談と、その結論としての “2年間限定移住のすすめ” です。
信州ファンや滞在型の旅が好きな方の参考になれば、と思います。
私のライフワーク「昔の人びとの楽しみ方」の名残りも探っています。
お船祭り
お船祭りは、私が住んだ松本市里山辺地区・須々岐水神社の例大祭。
氏子9町会の「お船」(いわゆる山車)が、5月5日に町会の人びとを引き連れて神社へと向かいます。重さ約4トン・高さ約5m、古いものは江戸時代に作られています。
*須々岐水(すすきがわ)神社の御柱祭があるウサギ年とトリ年は5月4日にお船祭りが行われ、御柱祭が5月5日に行われます。
「山の中なのにお船???」と疑問が湧くと思いますが、北九州の海洋民族・安曇族が住みついたのが松本平。安曇野の穂高神社は祖先を祀った神社といわれています。
船を模した山車は海洋民族の名残とされ、お船が巡行する祭りは松本平各所で行われています。
湯の原町会の宵祭り(町内巡行)

5月4日の宵祭りは午後3時ごろから約2時間、町内の人たちがお船について歩きます。
地元の人は、お囃子が聞こえてくると、いてもたってもいられないとのこと。
何も知らなかった私でも「何事?」とアパートから出てきたぐらいですから。惹きつけられます。
本祭り
お宮を目指してお船が出発

8時頃に船倉を出て、お宮へ向かいます。
お船を担ぐのは、 若者たち。かつての若者組なのでしょう(江戸・明治に学ぶ、集まる楽しみ:若者組のエネルギー!)。
“ねんちょうさん” とよばれる青年が曳行責任者を務めます。
「ホイサ、ヨイサ」と大きな声を出して進みます。
地元TVが祭りを1分弱のニュースにまとめています。最初が湯の原町会の若者たちの掛け声(リンク切れになっていたらごめんなさい)。
お船集結

10時前に集結し、小一時間とどまります。
祭りは、休んでいる時間が長いのです。日頃は、コスパ・タイパを気にする若者たちも、この日は関係なし。
朝から丸1日を祭りに費やします。お酒も振る舞われていますし、スマホを見ている人は少ないです。
時間になると、宮元(神社がある町会)の薄町会のお船を先頭に、北アルプスを背にして続々と参道を上って行きます(ヘッダーの写真)
宮入り(鳥居くぐり)が見せ所

11時ごろ、お船は参道に整列。お祓いを受け、お船を境内に引き入れます。
どのお船も大きな木の車輪。鳥居をくぐったら力づくで方向転換し、待機場所まで突進します。
やや上りの砂利道が難関。スピードを落とさず駆け抜けられるか否かが、ギャラリーの喝采を浴びるか、ため息をもらうかの分かれ目です。
↑ 私が住む湯の原町会のお船は2番手。スピードを落とさず、「かっこいい」と声援を受けました(2024年)。
女性からの声援は、担ぎ手のエネルギー源。
しかし、ギャラリーの女性たちは、「〇〇(個人名)! 力出してない!」など厳しい声も連発。
祭りは男ぶりの見せ所、古風を感じますね。
下の動画は、船首を左右に振ってから、境内に突進したお船。揺れるお船に乗った囃子方も懸命に笛を吹き続けました。
お弁当食べて、お祓い受けて、それぞれの町会へ

引き込まれたお船の横では、各町会がお弁当を広げ、お酒も進んでいます。ぼかしていますが、皆さんいい笑顔でしたよ。
神事の前に、直会があるのが、独特ですね。



神事が終わると、町会ごとにお船を本殿の前に移動し、お祓いを受けます。
その後、本殿の横で高速回転などのパフォーマンス。お酒のせいか、足がもつれて倒れる担ぎ手もいますよ。下の動画は、兎川寺町会のお船。
お船の先頭で力を出すのは若い人。少し歳をとるとお船の後ろにぶら下がって船首を上げ、若者たちが曳きにくいようにするそうです。引き継がれる洗礼?ですね。

3時ごろ。お船は境内を出て、お宮の前に船倉がある宮元・薄町会の人たちに御礼(エール交換)。万歳とホイサの合唱で締め、町会の人を引き連れて、帰って行きます。
また来年

湯の原町会のお船は2番目にお宮を出ましたが、新井町会の船倉前で、新井と下金井のお船を待ちます。3つのお船の分かれ道です。
ここで、下3区町会の打ち上げ(挨拶)をし、ホイサの掛け声をかけ、それぞれの帰り道につきます。4時を少し回っていました。
湯の原に入ると、お囃子を聞いて出てきた人が行列に合流。
戻ってきたお船は、町の人たちに迎えられ、最後の高速回転。16時半頃でした。
担ぎ手には、疲れが見えましたが、満足感も見えました。


締めはもちろん「ホイサ、ヨイサ」の大合唱。
丸1日、お船祭り。掛け声とお囃子が頭の中でリフレインします。
今風にいうなら「ムダパ」か「余白」の時間かもしれませんが、一番エネルギーを与え、与えられる時間ですね。
次の記事(後編)では、人びとの祭りへの向き合い方について書きます。
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■私の書籍 2025年出版。江戸・明治時代の村人たちの楽しみ方と現代生活への応用について書いています。

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