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ショートショート『木魚と告白 ―恋の鼓動―』


木魚と告白 ―恋の鼓動―

感想文に、彼はこう書いていた。
「木魚の音を聞くと、君の心臓の鼓動みたいだ」

先生は「詩的だね」と笑っていたが、私は赤くなってノートを閉じた。
だって、それが自分に向けられた言葉だと、すぐに分かったから。

翌日、仏間に並んだ木魚を叩いてみる。
木肌はひんやりしていて、薄暗い畳の部屋にぽつんと浮かんでいる。
外では、夏の午後の蝉が鳴いていた。

コーン……と澄んだ音。
それだけのはずなのに、胸の奥からドクン、と返ってきた。

もう一度。コーン。
ドクン。

まるで私の鼓動じゃなく、彼の心臓が返事をしているみたいだった。
本当にそんなことがあるのだろうかと、少し怖くもなる。
でも、怖さよりも頬の熱さの方が勝ってしまう。

私はそっと目を閉じる。
木魚の音と、鼓動が重なるたび、心が揺れて落ち着かない。

気づけば、感想文の一行が繰り返し浮かんでいた。
「君の心臓の鼓動みたいだ」

木魚は今日も、私の鼓動と彼の鼓動を重ねて、恋のリズムにして返してくる。


あとがき

毎週ショートショートnoteのお題「木魚感想文」に参加させていただきました。

木魚感想文ってなんやねん!と毎週突っ込むのが恒例となっていますが、何とか書けました。

最初は「木魚を叩くサイボーグ和尚さんの話」や「木魚を使ったロック(木魚ック!)」なんかも考えていたんです。世代的に森田まさのりさんの『バチあたりロック』や、狩野英孝さんのお葬式ネタなんかも浮かんできて……。真剣に木魚ックを考えたんですが、ショートショートに落とし込むのは難しいですね。そのうち短編で挑戦できたらと思っています。

本編は「とりあえず感想文を先に出してしまえ!」というところから始まりました。あとはお得意の恋愛モノに持っていけば何とかなるだろうと(笑)。書き上げたら320字、足して520字、削って420字。やっぱり文字数の制限は難しい……。でも田舎の古い家に本当に木魚ってあるのかな、と疑問も残しつつ完成です。


木魚の音に恋の鼓動を重ねた今回の掌編、もし「コーン」と「ドクン」があなたの胸にも響いたなら、noteのスキやフォロー、コメントで合いの手を入れていただけると嬉しいです。

連載中の『配達員ろること2号』では、仏間の静けさとは真逆、街の雑踏とバイクのエンジン音が物語をかき鳴らしています。こちらもぜひ覗いてみてください。

そしてX、フードデリバリーの日常をはじめ、小説の裏話やAIイラストの“ボツ案供養”まで投稿しています。木魚ックはまだ出していませんが、そのうちやるかもしれません(笑)。

※本作はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。

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