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配達員ろること2号 第2.5話 『にごーると ころるっくる』

第2.5話『にごーると ころるっくる』

日曜の朝。
ろるこはカーテンを閉めたままの部屋で、布団にくるまりスマホを見ていた。

「ん……にごころ……?あ、新話きてんじゃん」

眠そうな声でつぶやき、通知からアニメを再生する。
画面の中では、ふわふわしたにごーると、ちょこまか動くころるっくるが走り回っていた。

「……追いつけないじゃん、もう」

笑いながら、ろるこはスマホを傾ける。
そのままアニメの関連投稿をXで見ていると、目が止まった。

「……え、グッズ出てるの? 今日から?」

ころるっくるのキーホルダー、にごーるのぬいぐるみ、限定セット――
商品画像の下に「店舗販売あり」の文字。

ろるこは数秒だけ黙ったあと、ゆっくりとベッドから出る。

「……行くか」

* * *

アニメショップのレジ前。
ろるこは、ピンクのキャラクター袋をぶら下げてレジをあとにした。

にごーるのぬいぐるみ。ころるっくるのキーホルダー。
どれも想像以上にかわいくて、つい手が伸びた。

「……ちょっと買いすぎたな」

駅までの帰り道、そうつぶやいて顔を上げる。
人混みはちょっと苦手。でも、なんとなく足取りは軽かった。

* * *

部屋に戻って、ぬいぐるみをベッドに並べる。にごーるのキーホルダーは売り切れていた。

「あーあ……」

スマホケースには何もつけず、ぬいぐるみだけを枕元に置いて、じっと見つめた。

ぽってりしたフォルム。
まるい目。無口そうな顔つき。

「……てか、2号さんに似てない?」

誰に言うでもなく、ぽつりとつぶやいた。
ぬいぐるみを逆さにしてみたり、横に倒してみたり。

「……あー、だからか」

「最初から、あんま怖くなかったんだ。……この顔じゃね?」

少し黙る。
ぬいぐるみの横に、自分も寝転んで、仰向けになる。

そうして――自然と、笑った。


あとがき

このエピソード『にごーると ころるっくる』は、
もともと1話の裏ビジュアル集に収録していた、
“絵本そのものの世界”を描いた短編が元になっています。

作中に登場する『にごーると ころるっくる』は、
子ども向けの人気絵本からアニメ化されたという設定で、
ろるこは子どもの頃からずっとこの作品が好きでした。
今でもときどき、アニメを観たり、グッズを集めたりしています。

今回はその世界観と空気感を壊さないように、
挿絵をすべて絵本調で構成しました。
本編とは少しだけトーンが違いますが、
だからこそ描ける“ろるこの素顔”があると感じた回でもあります。

このエピソードを本編に組み込むか、サブエピソードとして扱うかは
実はかなり悩みました。
けれど、後に描かれる“あのやりとり”の伏線として、
3話の前にそっと差し込んでおきたい話でもあったのです。

いつか本当に『にごーると ころるっくる』がアニメ化されて、
原宿のギャルたちが、にごーるのキーホルダーをバッグにつけて歩いてくれる日を、
こっそり願っています。


※本作はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。
また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。

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