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ショートショート『タコパ体操 輪廻編』


タコパ体操 輪廻編

新興宗教「八本脚の宴」の朝は早い。
まだ陽も昇らぬうちから信者たちは集まり、円卓を囲む。
中央には聖なる鉄板──タコ焼き器が鎮座している。

生地を流すのは、降臨の儀。
熱せられた鉄板に、神の恵みが満ちる瞬間だ。
タコを入れるのは、魂の封入。
小さな命を球に閉じ込め、永遠へと送り出す。

そして、竹串で一斉に「返す」。
それは輪廻の象徴──生まれ変わり、また巡りゆく命。
返すたび、信者の顔は恍惚に歪み、焼き色のついた球が増えていく。

仕上げに全員が、同時にアツアツを口に放り込む。
口内を焼く熱に涙を流しながら、「たこ、たこ、たこ…」と合唱。
それが神への祈りであり、信仰の証だった。

新入りの僕も、涙をこぼしながら誓う。
──来世もきっと、ここでタコになるのだろう。
ふと、隣の先輩が耳打ちした。「大丈夫、二回目からは舌が慣れる」。
その瞬間、僕の膝元で、生地の入ったボウルがかすかに揺れた。

中を覗く。
タコが一匹、吸盤でガラスをなぞっている。
ぬるりと目を上げ、静かに──笑った。


あとがき

毎週ショートショートnoteの裏お題「タコパ体操」に参加させていただきました。

最初は「みんなでやる楽しい体操」くらいのつもりだったのですが、気づけば神の鉄板が降臨し、輪廻が始まり、信仰が焼き上がっていました。
タコ焼きという名の信仰──いちばん返されているのは、我々自身だったのかもしれません。

ちなみに、僕は猫舌なのでアツアツは無理です。来世では青のりか紅しょうがでお願いします。

もしこのお話をちょっとでも「クル」ものがあったなら、
スキ・フォロー・コメントで魂を返していただけると嬉しいです。

ついでに、連載中の『配達員ろること2号』も見てみてください。
こちらは現代に生きるフードデリバリーの物語ですが、宗教っぽくなるときもあります。

Xでは、配達ネタを中心に小説やAIイラストも投稿中。タコではなくヒゲが目印です。


※本作はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。
また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、
特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。

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