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配達員ろること2号 第5話ができるまで ~制作の裏側と未公開カット集~

割引あり

『配達員ろること2号』 制作記録集 Vol.5

〜未公開・ボツ・試作カット140枚以上/テキスト7,000字超〜

今回の目玉は、七夕用に書き下ろした短編小説『ろる姫とにご星』の無料公開です。
本来は巻末オマケとして収録予定でしたが、
先に読んだろるさんから「これオマケにしとくのはもったいない」「もっとたくさんの人に見てもらいたい」と言われ、
思い切って本編冒頭に収録・無料公開することにしました。
ふたりのやり取りを通して、少しずつ近づいていく空気感を楽しんでいただければと思います。

また今回の記録集では、5話『待ちキャンのすゝめ』の制作過程で生まれた試作挿絵や構図ちがい、
没になったシーン案や構成ラフ、描き直し前の初期バージョン、そして完成に至らなかった試行錯誤の断片たちを可能な限り収録しています。
さらに、裏テーマに関する制作メモ、キャラクター演出の微調整案なども多数掲載。

「一瞬の表情に込めた感情が、こっちの方が伝わる気がする」
「整いすぎた完成形より、荒削りな試作の方がエモい」
「セリフを削ったバージョンが、逆に余白として効いている」
──そんな、制作の裏側で何度も比較・検討された素材たちをまとめた、
**ビジュアルアーカイブ集(140枚以上の画像+7,000字超のテキスト)**です。

※このnoteは通常価格 3,000円ですが、Xで拡散してくれた方は 1,500円で購入できます(noteのシェア割引機能で自動適用)

5話の本編をまだ読んでいない方はこちら

本制作記録集は、5話の裏側・演出意図・ボツカット・試作挿絵などを中心に構成された内容です。本編を読んでから見ていただくと、表情や描写の意図がより深く伝わると思います。



配達員ろること2号 番外編『ろる姫とにご星』

「ねえ、2号さん……」

ろるこがぽつりとつぶやいた。夜空を見上げたまま、声だけで問いかける。

「なんだ」

となりに座る2号が、缶コーヒーを手に返す。星が瞬いている。風は少しぬるい。

「七夕って、悲しい話ですよね」

「ん……」

2号は少し考え込んでから言った。

「一年に一度しか会えんからな」

「違います!」

ろるこがくるりと振り返った。頬をふくらませて、目に少し怒りが宿っている。

「織姫と彦星って、たまたま恋に落ちたからまだマシですよ?
でもあれ、親に紹介されて、勝手に結婚させられたんです。
“働きすぎだから”って理由で、牛飼い連れてこられて、はい結婚って!
私だったら絶対ムリ!」

「……そ、そんな話なんか」

「私はちゃんと恋愛して、納得して、結婚したいです」

言い終えると、ろるこはふぅっと息をついて、再び空を見上げた。
彼女の目線の先で、雲が流れ、天の川がその姿を現し始めている。

「いいですか!聞いてください」


むかしむかし、星の世界に、ろる姫という織姫がいました。
美しくて、よく働く姫です。

毎日、天の機織り場で布を織っていました。
雲を彩り、風をとらえ、空に光をともす――
そんな、美しい布ばかり。

けれど、あまりに働きすぎていました。
父である天空の王は、心配になります。

「このままでは、娘が壊れてしまう……」

そう思った王は、一人の男を呼び寄せました。
名前は、にご星。星の世界の片隅で牛を世話している、まじめな男です。

ある日、その男が宮殿に呼ばれ、玉座の間に姿を現しました。
星の飾りをつけた、ずんぐりとした中年の男。

「は? いや! 絶対に嫌!」

ろる姫は即座に声を上げた。
目を見開き、口をとがらせて、床をドンと踏む。

「私、まだ二十歳そこそこよ!?
なのに彼、アラフォー!?
中年太り!?
ないないないない! 絶対ムリ!
私、イケメンが好きなの!」


ろるこは、静かに星空を見つめ直す。
風がひとつ、頬をなでていく。

「……私なら、こうなっちゃうな~」

その声は、ちょっと笑って、ちょっとあきれて、でも少しだけ本音だった。

「……でもな、ろるこ」

不意に2号が口を開いた。

「え?」

「こういうのはどうや。本当は出会うはずじゃなかった二人が、空のどこかでたまたま出会って――
それが、星々の間で語られる恋の始まりになったって話」

ろるこは目を細め、静かに空を見つめ続けた。
その視線の向こうに、星がまたたく。

そして、2号の声が、ゆっくりと物語を紡ぎ出す。


星の丘に来たのは、久しぶりだった。
ろる姫にとって、この場所は“自分だけの空”だった。

誰にも見られず、誰にも邪魔されず、空とだけ向き合える場所。
なのに――今日は、先客がいた。

ひとりの男。
ずんぐりとした体格で、黙ったまま空を見上げている。

(……なんで、いるのよ)

少し離れて座ったけれど、視界にちらちらと入ってくるその背中がどうにも邪魔だった。
牛飼いか何かだろうか。服に牧草がついている。

しかも。彼はひとりごとのように、空に向かってこうつぶやいた。

「今日は、星の流れがいい」

……星の流れ? まるで、星と話してるみたいな言い方。

(なにそれ、私の場所で……)

ついに我慢できなくなって、ろる姫は声をかけた。

「……あなた、ここによく来るの?」

それは冷静を装った問いだったけれど、言葉の奥にはちょっとした苛立ちがにじんでいた。

男はゆっくりと、こちらを見た。

「まあな。牛も落ち着くし。俺も、星を見にくる」

「牛?」

「飼ってるんだ。昼間は草を食わせて、夜は空を見せてやる。あいつら、光が好きなんだよ」

なんだか、拍子抜けするような返事だった。

でも、不思議と悪い気はしなかった。

ろる姫は、しばらく黙って空を見上げた。
そして、ぽつりと口を開いた。

「……明日、結婚するんです」

男は少しだけ、こちらに顔を向けた。

「そうか」

「相手のこと、何も知らないのに。
父が決めた人で……『少し休め』って理由で、牛飼いと結婚しろって」

「それ、お前が“選んだ”んか?」

「……違います」

「だったら、明日が来ても、お前の答えは今日のままでええ。
誰かに決めさせられた結婚でも、最後に選ぶのはお前自身やろ」

ろる姫は目を見開いた。
そのまなざしは、まっすぐ空を見ていた。

夜の静けさの中に、彼の言葉だけが響いていた。


翌朝。ろる姫は、王に呼ばれて、一室へと通された。

「顔合わせくらいはしておけ」と、王が言ったのだ。
まあ、断るつもりではいた。だからこそ、気持ちを整理したかった。

(よし……ちゃんと話して断ろう。はっきり言えばきっとわかってもらえる)

扉が開く。

そこにいたのは――あの、星の丘の男だった。

「……あ」

一瞬で、すべてが繋がった。
昨日の声、言葉、あのまなざし。間違いない。

ろる姫は、王の方を見た。
そして、もう一度男の顔を見つめた。

少し間を置いて、口を開く。

「……私、この人と結婚します」


あはは、とろるこが笑った。
でもその笑いは、さっきまでの勢いとは少し違っていた。

「でも、さぁ……最初の出会いで、あのふたり、気づいてたよね」

「……気づいてたやろな」

2号も、口の端だけで笑う。

「そんなに牛飼いって、星の世界に何人もいるんすかね?」

「それな」

もう一度、ろるこは笑った。今度は、声に出して。

風がやんで、空が静かになる。
どこか遠くで、雲が星を横切った。

「でもこの二人なら……真面目に働きそう。
一年に一度しか会えないなんて、なさそう」

「……」

「……幸せな家庭、築けそうですね」

そう言ったろるこは、もう一度だけ空を見上げた。

「かもな」

2号は短く返し、缶コーヒーの最後の一口をすすった。

空は変わらず、今日もただ、瞬いているだけだった。


あとがき『ろる姫とにご星』

ほんっっっっとうにすみませんでしたっっっっっっ!!!

実は今回の制作ノートに収録するオマケ用の短編小説、
最初は『サタデーロルコフィーバー』を用意してたんです。
しかもXでは「AI評価で初の100点満点を取った短編小説を載せるよ〜!」って大々的に発信しちゃってました。

でも、昨日……七夕だったんですよ。
それに気づいたとき、ろること2号を織姫と彦星っぽく並べた画像を生成してみたんです。
そしたら、もう……ビビッときちゃって。
この物語が、突然、頭に降ってきました。

やっぱり季節モノは大事。
ということで、急きょ差し替えとなりました!笑

とはいえご安心を。
こちらの『ろる姫とにご星』もAI評価で98点!
ほぼサタデーロルコフィーバーと変わらない面白さのはずです。

ちなみに、6話の制作ノート用短編小説はもう書き上がっていて、
本編とちょっとリンクする話になってるんで、これは外せない。
なので『サタデーロルコフィーバー』を収録するとしたら、7話以降の制作ノートになると思います!

あと、これ気づきました?
実は……初の“夜のシーン”なんですよ、この作品。

ろるこって昼しか稼働してないイメージだったんですけど、
今回は夜。
夜風に吹かれて、星を見上げながら、缶コーヒー飲んでます。
たまたまなのか、夜稼働してたのか――その辺も想像してもらえると嬉しいです。

ちなみに、巻末に本作の画像もあるのでそちらもお楽しみください。


第5話『待ちキャンのすゝめ』挿絵構成(全6枚)


シーン1:大熊猫屋の店内でイライラして立つろるこ

  • 種類:アニメ調

  • 比率:縦長

  • 構図:店内側から入口方向を見たアングル。入口付近に立つろるこが、腕を下ろしてスマホを見ている。

  • 表情:不満げ

    • 口を少し膨らませる

    • 眉を寄せてイライラ感を出す

  • 登場キャラ:ろるこ(単独)

  • 背景・状況:

    • 舞台はラーメン屋「大熊猫屋」の店内

    • カメラに近い位置にカウンター席(描き込みは最小限)

    • 厨房は画角外(見えない)

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