ショートショート『カウントダウンする脈拍』

カウントダウンする脈拍
人は変われると、僕は信じている。
未来都市の更生プログラムでは、罪を犯した者の胸に
「感情で作動する心臓爆弾」を埋め込むという。
怒り・恐怖・恋。どんな強い感情も脈拍を上げ、それが一定を超えれば爆発する。
――10年前のことだ。
家族とショッピングセンターにいた僕は、ふとした拍子に母とはぐれた。
泣きながら探していた時、外で大きな音がした。
暴走車が突っ込んでくる。
世界が、一拍ごとに止まっていった。
次の瞬間、僕は誰かに抱きかかえられていた。
男の胸に耳を当てると、カチ、カチ、と小さな音がした。
それが命の残り時間だと、僕は知らなかった。
目が合った。
男は笑って、息を引き取った。
数日後、ニュースで見た。
あの人は殺人罪で服役していた元受刑者。
出所後、更生プログラムの対象だったという。
彼の胸のタイマーは、ゼロで止まっていた。
あの日の鼓動は、今も僕の中で鳴り続けている。
その音が、僕を生かしている気がする。
あとがき
毎週ショートショートnoteのお題「カウントダウンする脈拍」に参加させていただきました。
最初は「恋愛モノにしようかな」と思ったんですが、書き出した瞬間に――なぜか胸の奥で“カチ、カチ”という音がして。
気づけば、元受刑者の物語になっていました。
感情で脈拍が上がるだけで爆発する、そんな理不尽なプログラム。
少しでも心が震えたらアウト、って厳しすぎですよね。
けれど、もし誰かの命を救うために“最後の一拍”を使えるとしたら――そこに、人間の尊厳や希望が残るのかもしれない。
そんな問いを込めたくなりました。
実は最初は受刑者視点で書いていたんです。
それだと「贖罪の物語」として緊張感のある展開になる。
でも、子供視点に変えたことで、物語が“命の継承”へと変わりました。
一つの鼓動が別の人生へ受け渡されていく――そんな“未来へ繋ぐ物語”にできたと思います。
ちなみに、受刑者視点のバージョンも存在していて、
そちらはもう少し暗くて、救いの少ない世界線。
近いうちに、ボツになった挿絵と一緒に短編集としてまとめた画像集を出そうと考えています。
この物語のもう一つの“鼓動”として、そちらも見ていただけたら嬉しいです。
🫀✨ 宣伝パート ✨🫀
もしこの物語の“鼓動”が少しでも響いたら――
ぜひ「スキ」「フォロー」「コメント」で、あなたの一拍を分けてください。
心臓がカウントダウンする世界でも、物語は止まらない。
そんな“命の配達”をテーマに、連載中の 『配達員ろること2号』 では、
都市の片隅で走る配達員たちの物語をお届けしています。
フードデリバリーの現場でのリアルな日々、
そこに混じる少し不思議で、少し優しい“もうひとつの現実”を覗いてみませんか?
Xでは、フーデリ話・小説・AIイラストを中心に活動中。
物語の舞台裏や、創作過程のちょっとしたエピソードも発信しています。
あなたの「スキ」が、次の鼓動になります。
※本作はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。
また、一部の描写は実在するXユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、
特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。
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