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はじまりのハル・ハートリー、はなしかわってゴダールとトリュフォー

はじめからハル・ハートリー映画には、
ゴダール愛に溢れていた。
インディーズ時代に16mmで撮影した初期短編
『セオリー・オブ・アチーブメント』
『アンビジョン』『オペラNo.1』
からして、
すでにはっきり、ゴダール的なのです。

黒メガネ!平手打ち!唇の接触!

たとえば
ニューヨーク・ブルックリンに暮らす
アーティスト志望の若者たちを描いた
91年の『セオリー・オブ・アチーブメント』。
ここには
まだ若いのに
もう相当額が後退した
黒メガネ!の男が登場し、
ソニマージュの理論の講釈を始めるのです。
つづけて『右側に気をつけろ』のように
あちこちで、
怒りの感情とは無縁の
目に星が飛ぶような平手打ちが炸裂する!
さらに
『アルファビル』のテーマと重なる、
愛から切り離された
キスというか単なる唇と唇の接触!


『セオリー・オブ・アチーブメントより。右はエリナ・レーヴェンソン


『右側に気をつけろ』
『アルファビル』


ソニック・ユースでダンスし始める
『シンプルメン』のエリナ・レーヴェンソンにしても、
そのルル・ボブは『女と男のいる鋪道』で
アンナ・カリーナが演じた娼婦ナナの、
突然のダンスは、
『はなればなれに』の名高いマジソン・ダンスの
記憶をたぐり寄せていました。
だからやっぱり、
ハートリーはゴダールなのです。

『シンプルメン』より。ルル・ボブのエリナ・レーヴェンソンは


『はなればなれに』より。カフェでのマジソン・ダンス
『女と男のいる舗道』の主人公、娼婦ナナ役のアンナ・カリーナ。ルル・ボブが印象的


俺は最低だ


つづけて2011年の「はなしかわって」を見直してみると、
主人公のジョーは映画製作者でドラマー、小説家……
でもタイプライターの修理、整体を器用にこなし
DIYで変圧器を作れる。
そんな便利な男。
映画はジョーと、
かたわらで彼のハットをかぶった
半裸の女から始まります。
ジャン=ポール・ベルモンド=ミシェルの帽子をかぶった
ジーン・セバーグ=パトリシアを、ほうふつとさせる。


『勝手にしやがれ』のベルモンドとセバーグ


そして
車に跳ねられた男を見下ろす、
女で、映画は幕を閉じる。
だから『はなしかわって』は、
舞台をパリからマンハッタンに移した、
ハートリー的な『勝手にしやがれ』なのです。

アントワーヌ・ドワネルのほうへ


もうひとつ。
この映画で
マンハッタンを駆けずり回りながら
ジョーは
近くから遠くから、
たびたびブルックリン橋を望みます。
『はなしかわって』における
主人公と、街のシンボルとの関係。
それは
『大人は判ってくれない』のドワネル少年と、
彼の冒険に伴走しているようにも見える
エッフェル搭とのそれを思い出させるのです。


だからハートリーはこの映画で
ヌーヴェル・ヴァーグのはじまりまで
さかのぼって
みせたのでした。


『大人は判ってくれない』


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