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夜泣きに気づけなかった僕が、辞めた3つのこと

子供たちが寝た後、たまに思います。「あの頃の僕は、本当に父親だったのか」と。

朝6:30。

3人で布団でぼーっとしている時間が、僕はけっこう好きです。長女と次女と、まだ頭が起きていない父親。3人とも口数が少ない。誰も急かさない。

でも、娘二人と朝6:30に起きられるようになったのは、次女が生まれてからの話です。

数年前の僕は、夜泣きに気づかない父親でした。前の記事に書いたとおり、隣で妻が起きて対応していても、僕は朝までぐっすり眠っていた。当時はそれを「自分は深い眠りなんだ」で済ませていました。

何が変わったのか。

頑張ったわけじゃありません。意志の力でもありません。──と書きたいところですが、正直に言うと、意志の力はわりとあるほうだと思います。ただ、その意志を「足す」ほうじゃなくて、「辞める」ほうに使うことを選んだ、というのが正しい言い方かもしれません。

3つ、辞めただけです。


1. お酒を辞めた

これが一番大きかったです。

理由はシンプルで、お酒を飲むと夜に起きにくくなるから。夜泣きに気づかない父親の正体は、たぶん半分くらいこれでした。

それから、酒を飲んだ夜は仕事の作業時間も失います。寝かしつけのあと、本当は1-2時間まとまった作業ができるはずなのに、酒が入ると気力も思考力も持っていかれる。朝の起床も鈍る。翌日の段取りまで連鎖で崩れる。

辞めるときに一番気にしたのは、付き合いの飲み会でした。仕事に影響するんじゃないかと。

結論から言うと、影響、全くありません!

飲み会を断ると、「それなら」と言って向こうからランチに誘ってくれます。人間関係は以前と変わらず良好で、フリーランスに転向した今でも、定期的に声をかけてもらえています。

クライアントとの会食も、わりと逃げます。避けられないものは1次会で帰る。2次会を断ったことで仕事を失ったことは、ここまで一度もありません。

「飲まないと付き合いが」というのは、たぶん飲んでいた頃の僕の言い訳でした。

いまも、お酒は飲んでいません。


2. スマホを辞めた

正確に言うと、子供と一緒にいる時間に、スマホを見るのを辞めた、です。

これも理由はシンプルで、見ていると気づけないから。子供が話しかけているのに、画面に目を落としたまま「うん、うん」と返事をしている自分が、ある日とても嫌になりました。

冷静に考えると、こっちの状況も悪いんです。子供はフラストレーションが溜まるし、自分も満足にスマホを見られない。 どっちにとっても、いいことが何もない。だったらいっそ、子供と一緒の時間はスマホを見るのを辞めよう、と決めました。

仕事のメールが気になるなら、スマートウォッチで十分です。本当に急ぎのものが来たら、振動でわかる。そこで初めて手に取れば間に合う。それ以外の時間は、スマホは伏せて置いておけばいい。

これを始めて、想定していなかった効果がありました。

子供と共通の話題が増えたんです。

子供が見ているテレビ番組やYouTube。一緒に座って同じ画面を見ていると、何が面白いと思っているのか、どのキャラクターが好きなのか、なぜ笑っているのかが、だんだんわかってくる。おままごとに参加すれば、何を真似しているのかも見える。

これが、副次効果としてかなり大きかった。子供がぐずったときに、何で機嫌が悪いか、何をすれば気が紛れるか、見当がつくようになりました。「気づける父親」のかなりの部分は、ここで作られている気がします。

ちなみに、ぐずったときの定番は犬のぬいぐるみです。

そのぬいぐるみを赤ちゃんに見立てて、子供たちにお世話をしてもらう。ミルクをあげるのも、寝かしつけるのも、担当は子供たちです。あるいは逆に、ぬいぐるみのほうから子供たちにじゃれにいく。

ポイントは、声色を使わないことです。

ぬいぐるみ(担当:父)は、何も喋りません。動作だけ。それでも、子供たちのほうが勝手に解釈して、勝手に会話を成立させてくれます。「いま眠いって言ってる」「お腹すいたんだって」と、向こうから設定を持ってきてくれる。

これも、もとは子供たちが見ているテレビ番組から拾ったヒントでした。スマホを置いて、同じ画面を見ていなかったら、たぶんこのやり方には辿り着いていません。

スマホを置くだけで、ここまで変わるとは思っていませんでした。


3. オフィスワーク中心を辞めた

これは働き方そのものの話なので、お酒やスマホよりは判断が要りました。

僕は在宅とオフィスを併用できる立場だったので、子供たちが帰ってくる時間(だいたい午後2時)に、在宅に切り替えることにしました。

正直なところ、日中の仕事のパフォーマンスは多少落ちます。集中して打ち合わせができる時間は減るし、午後の生産性で見れば、オフィスにいた方が高い。

ただ、これも実際にやってみるとわかったことがあって、寝かしつけたあとの時間で、十分に補えるんです。子供が寝てから1〜2時間、静かな部屋でまとまった作業ができる。

それから、お酒を辞めたあとに気づいたのが、夜の集中力がまるで違うこと。

オフィスワーク中心で、夜は酒を飲んでいた頃と、在宅中心で夜に作業をしている今を比べると、トータルの仕事のアウトプットは、たぶん今の方が出ています。子供との時間も増えて、仕事のパフォーマンスも上がる。お酒を辞めた効果が、ここで効いてきました。

「在宅にすると仕事が回らない」は、これも飲んでいた頃の僕の思い込みだった気がします。


辞めることが、段取りだった

3つ並べてみると、共通点が見えてきます。

どれも、何かを足したわけじゃない

新しいガジェットを買ったわけでも、すごい時間管理術を導入したわけでもありません。お酒を辞めた、スマホを置いた、オフィスを早めに切り上げた。それだけです。

「段取り」というと、何かを足して効率化するイメージがあると思うんです。便利グッズ、時短家電、タスク管理ツール。

でも、僕にとって段取りの本体は、たぶん引き算でした。

朝6:30に起きるために、夜の僕を変えた。

子供に気づけるようになるために、画面から目を上げた。

家にいる時間を増やすために、オフィスを早く出た。

夜泣きに気づかなかった頃の僕は、たぶん「足し算」で生きていました。仕事も、付き合いも、情報も、全部足していけば人生は良くなると思っていた。

引いてみたら、気づけるようになりました。

いま、長女の宿題のつまずきにも、次女の機嫌の理由にも、なんとなく気づけます。子供たちの言葉足らずの説明も、たいてい一発で理解できます。妻が「いま何の話をしてるの?」となっていたら、横で解説してあげられる。完璧じゃありません。たまに見逃します。それでも、夜泣きに気づかなかった頃の僕からは、ずいぶん遠くまで来た気がしています。

朝6:30。

布団で3人、ぼーっとしている時間が好きです。 これがあるのは、いろいろ辞めたからだと、ときどき思い出します。


この記事は、前回の「夫は夜泣きに気づかない。僕も、そうでした。」の続編として書きました。

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