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この問題がわからないと発達障害⁉<サリーとアン課題>

ネットで検査の名前を検索して、
夜中にスマホを握りしめている
親御さんの顔が浮かびます。

その不安、
痛いほど分かります。

私も長男が幼い頃、
自宅で見よう見まねで試して、
答えを聞いた瞬間に
お腹の底がズーンと重くなった一人です。

今日は、
このサリーとアン課題について、
そして「できない=発達障害なのか」について、
きれいごと抜きでお伝えします。


そもそも「サリーとアン課題」とは。

まず、課題の中身からご紹介します。

登場人物は2人。
サリーとアンです。

サリーがビー玉をカゴに入れて、
部屋を出ていきます。

その間に、アンが
ビー玉をカゴから箱に移します。

サリーが部屋に戻ってきました。

ここで質問です。

「サリーはビー玉を探すとき、
 最初にどこを見るでしょう?」

正解は「カゴ」ですよね。

サリーは移されたことを
知らないからです。

でも、
「心の理論」がまだ育っていない子は、
「箱」と答えます。

自分が知っていることは、
サリーも知っているはず。

そう考えてしまうのです。

「他人には他人の頭の中がある」
「自分の知識と他人の知識は違う」

これが分かるかどうかを見る課題。
それがサリーとアン課題です。


定型発達の子でも、普通に間違えます

実は、この課題、
定型発達の子でも
3歳ではほとんど正解できません。

正解できるようになるのは、
おおよそ4歳から5歳ごろと言われています。

つまり、
3歳のお子さんが間違えても、
それはただの
「年齢相応」です。

さらに言うと。

ASDのある子でも、
成長とともに正解できるように
なる子はたくさんいます。

逆に、
課題には正解できるのに、
実生活では友達の気持ちを
読み違えてばかり、
という子も見てきました。

紙の上のクイズと、
リアルタイムで流れていく人間関係は、
別物なのです。


「できない=発達障害」ではありません

あえて、あえてですが、断言します。

サリーとアン課題ひとつで、
発達障害かどうかは分かりません。

これは診断ツールではなく、
研究のために作られた課題です。

診断は、
生育歴、行動観察、
複数の検査、日常の困りごと、
それらを医師が総合して行うもの。

元教員として言わせてください。

学校現場でも、
この課題の名前だけが独り歩きして、
「あの子はできないからASDだ」
というような雑な使われ方を、
何度も見ました。

違います。

一問のクイズで、
その子の脳の全体像なんて
分かるはずがないのです。


私自身の失敗談

恥ずかしながら、正直に書きます。

長男が4歳のとき、
私は本で読んだ知識を試したくて、
ぬいぐるみでこの課題を
自宅でやりました。

長男の答えは「箱」。

元特別支援学校の教員なのに、
頭が真っ白になりました。

その夜、
妻に「たぶん心の理論が……」と
専門用語で語り始めた私に、
妻がひとこと。

「で、明日から何が変わるの?」

……何も言えませんでした。

課題ができてもできなくても、
明日も長男は長男。

私がやるべきことは、
自宅で検査ごっこをすることではなく、
目の前の息子の
「今の困りごと」に付き合うことでした。

ちなみにその長男、
6歳のときに同じ課題を
あっさり正解しました。

でも友達とのすれ違いは
今も普通にあります。

そういうものなのです。


じゃあ、親は何を見ればいいのか

課題の正誤より、
日常を見てください。

まず、
「見えているもの」と
「知っていること」のズレで
トラブルになっていないか。

たとえば、
自分が知っている話は
相手も知っている前提で
いきなり本題から話し始める、など。

次に、
そのズレで本人が
困っているかどうか。

困っていないなら、
急いで何かする必要はありません。

最後に、
困っているなら、
責めるのではなく「翻訳」すること。

「〇〇くんはさっきの話を
 聞いてなかったから、
 最初から説明してあげよう」

こうやって、
相手の頭の中を
言葉にして見せてあげる。

これは特性のせいであって、
わざとではありません。

そして当然、
しつけのせいでも、
あなたの愛情不足のせいでもない。

それは断言できます。


最後に

サリーとアン課題は、
「他人の心を想像する力」を
のぞくための小さな窓です。

窓であって、
判決文ではありません。

できなくても、
発達障害と決まるわけではない。

できても、
困りごとが消えるわけでもない。

大事なのは、
今日の夕飯の食卓で、
目の前の子と
どう付き合うかだけです。

……と偉そうに書きましたが、
私も気を抜くとすぐ、
ネットの情報で一喜一憂する
夜に戻ってしまいます。

まだまだ修行中です。

不安になって検索してしまう夜も、
あなたが子どもを
真剣に見ている証拠。

毎日向き合っているあなたは、
すでに十分すぎるほど、
向き合っています。

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