【お悩み会議室】汚い言葉や走り回る行動。その子は本当に「困らせたい」のでしょうか
1. 今回のお悩み
初回から、スタッフに汚い言葉を投げかける。
教室の中を走り回る。
突然、部屋から出ようとする。
大人からすると、どうしても気になる行動です。
「わざとやっているのかな」
「反応を見ているのかな」
そう思ってしまうのも、無理はありません。
ただ、少し様子を見ていると、
この子は会話の中で「あれ」「これ」が多く、
自分の思いを言葉にするまでにも時間がかかっていました。
伝えたい。
でも、うまく言えない。
言っている間に、相手とのやり取りが先へ進んでしまう。
これまでにも、そんなことが何度もあったのかもしれません。
この日は、10分間走ったあとに、5分間座ることができました。
スタッフがそこを褒めると、本人は少し誇らしそうな様子でした。
また、部屋を出ようとした時も、
「お母さんにこれ見せたいから、行ってくる」
と、自分の気持ちを言葉にできました。
そのことも認めてもらい、帰りには、
「また来週も来るからね!」
と話して帰っていきました。
問題に見えていた行動の奥に、実は「伝えたい」が隠れていた。
そんな場面でした。
2. 状況を変えるための関わり方
注意を引く行動には、あえて大きく反応しない方法があります。
いわゆる「意図的に反応を薄くする」という関わりです。
ただ、小集団では、これが案外うまくいきません。
大人が反応しなくても、周りの子が笑ったり、注意したり、まねをしたりします。
それだけで、本人にとっては十分に注目を集められたことになります。
特に、年齢の低い子どもたちの集団では、全員に反応しないことを求めるのは現実的ではありません。
そこで、私は「待つ」よりも、「使える言葉をこちらから渡す」ことを勧めています。
たとえば、黙って部屋を出ようとした時です。
「勝手に出ないで」
と止めるだけでは、本人は次に何と言えばいいのか分かりません。
そんな時は、
「お母さんに見せたいから、行ってきますって言ってみようか」
と伝えます。
本人が言えたら、
「分かった。言ってくれてありがとう」
と返します。
汚い言葉が出た時も同じです。
「そんな言い方しない」だけで終わらせず、
「一緒に遊んで、って言いたかった?」
「見てほしい時は、こっち見てって言うと伝わるよ」
と、代わりの言い方を示します。
最初から、自分一人で適切な言葉を出せなくても大丈夫です。
まずは、大人の言葉を借りてうまくいく。
その経験を重ねる。
ここが大事です。
褒める時も、できるだけ具体的に伝えます。
「偉いね」よりも、
「5分座れたね」
「出る前に理由を言えたね」
「言葉で教えてくれたから分かったよ」
と伝えた方が、本人にも何がよかったのかが分かります。
3. 関わる大人が明日から意識してほしいこと
困った行動を止めるだけでは、
次にどうすればいいのかまでは伝わりません。
止める。
代わりの言葉を伝える。
できたら認める。
この流れを意識してみてください。
また、言葉が出るまでに時間がかかる子に、
質問を重ねすぎると、
余計に言葉が出なくなることがあります。
短く聞く。
少し待つ。
必要なら言葉の見本を出す。
それだけでも、やり取りはかなり変わります。
最後に
汚い言葉や走り回る行動だけを見ていると、
「困った子」
に見えるかもしれません。
でも、その奥にあるのは、
「分かってほしい」
「伝えたい」
「どう言えばいいか分からない」
という気持ちかもしれません。
子どもに我慢を求める前に、伝え方を一緒に作る。
今回のケースでは、それが本人の自信につながりました。
「また来週も来るからね」
その言葉が、何より分かりやすい答えだったように思います。
