その裁きは死を聴いた(ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ)
・ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズは、人物描写と作者自身の自虐的なメタ構造が魅力を深め、ますます面白さが増している。
・単なる謎解きではなく、人間の光と影、栄光と挫折といった深いテーマが物語の核として描かれている。
・シリーズにはまだ続きがあり、次作への期待が自然と高まる。
この「ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ」は何とも秀逸である。私はすっかりハマってしまった。
先日「メインテーマは殺人を聴いた(ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ)」で、シリーズ一作目の完聴(完読に対応)の報告をした。
その中でも、以下のように書いた。
さて、今回の「メインテーマは殺人」については、私は手放しで面白いと言いたい。これは素晴らしい。
今回の「その裁きは死」については、さらにその面白さが積み上がっている。ホーソーンという人物がどういう人かが徐々に明らかになる点も良い。この人物が何とも興味深く、その発言、ユーモアの一般的な感覚とのずれが本当に面白い。もちろん架空の人物なのだが、こんな人いねーよ!と、架空なのに実在を信じて疑わない感じ。うまく説明できないが。
また、作者自身が登場するわけだが、そのある意味自虐的な描写が面白くてたまらない。とてもスマートに自分を描きたいという雰囲気を背景に流しつつ、大きなオチにつながる。いやぁ、素晴らしい。多くの名声を誇る著者の自虐という点が面白いのであるが、まさに秀逸である。
作家という職業についての理解も深まる作品である。まぁデフォルメしてあるのだろうとは思うが。
背景には、人間の表と裏、栄光と挫折、善と偽善、ある種の平等的な視点の限界のようなものがテーマとしてあるように思う。
そう言えば、ホロヴィッツ氏が脚本のテレビドラマ「刑事フォイル」の撮影シーンなどが作中に出てくる。探すと、一部のシーズンをアマプラで見ることができる。原題は「Foyle's War」である。こちらは、刑事ドラマであるが、戦争が濃く描かれている作品で、大変見応えがある。
どうも、ホロヴィッツ氏の作品は、謎解き的な部分はむしろ付録であって、その背景にある「深い」テーマが主題であるようだ。
さて、「ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ」にはまだ数冊ある。次の作品に進もう。
