寒いと思っているのは住人だけ
先日、十数年前に弊社で新築したOB客様から、
水まわりの故障のご連絡をいただき、ご訪問させていただきました。
すぐに不具合は解消することが出来たことにご満足はいただいたのですが、その修理中にお客様がぼそっとつぶやいていた言葉に衝撃を受けました。
「うちは寒いから石油ストーブを使っている」
一級建築士は驚いた!?
1 この冬にストーブ1台で暖まる家
エアコンの暖房にファンヒーターに石油ストーブに・・・
と、複数の暖房器具を併用しなければ寒いのであれば、その感想は理解出来ますが、日中とは言え、1月で外気の最高温度が10℃にも満たない日に石油ストーブ一つで過ごせる家が寒い訳ありません。
奥様曰く、
「主人は寒がりだから、
ストーブを付けながらコタツにも入っているんですよ」
ですって。
ストーブとコタツの位置が離れていたので、相乗効果があるのかないのか分かりませんでしたが、少なくとも、その家の中は石油ストーブ1台で修理のためにちょっと動くだけで汗ばむほどの暖かさでした。
くれぐれも他所では「うちは寒い」なんて事は自慢に聞こえてしまうので、言わないでくださいね。
2 もっと広くすれば良かった
最近よく聞かれるのは、
「家はなるべくコンパクトにしたい」
と言うことです。
平屋建て住宅が増えているのがその最たるものです。
しかし、
昔の住宅事情を知る私には信じられません。
なぜなら、昔の住宅では、新築で建てた平屋建て住宅の上に2階を重ねる「御神楽(おかぐら)」と呼ばれる増築が多数実施されたからです。
他にも横に広げる一般的な増築や庭に新たに離れを新築するなんて事もたくさん行われていました。
家族の変化や生活スタイルの変化により、家が手狭になったことが理由として考えられますが、将来の想定が甘かったのでしょうね。
増築は、容易なことではありませんので、一般的には新築で建てるよりも割高となりますし、構造的にはデメリットだけで、メリットは全くありません。
予算的に限りなくコンパクトで造らざるを得なかったのであればしかたがありませんが、可能なら、少しは余裕を持たせて建てたいと私は考えます。
実際に我が家でもそれは実践されており、
子供が生まれる数年前の夫婦二人には広いと思われるような2階建て住宅を建てました。
その後、子供を授かり、成長と共に個室を造るなどして、今では家のサイズが私たち家族にピッタリに落ち着きました。
つい先日も、弊社のお客さんではない方とお話した際、
その方は息子さんご家族との二世帯住宅を最近新築したそうですが、
「家が狭いので、もっと部屋が欲しかった。リフォームしたい、リフォームしたい・・・」
と道端でお話しされました。
ご家族に聞かれたら、仲にヒビでも入ってしまうのではないかと心配もなりましたが、そもそも設計者としてこれほどお客さんが家に不満に持っているということに耐えられず、急いで会話を切り上げましたが、完成してすぐの家を「リフォームしたい」と言う言葉は造り手が最も聞きたくないワードだと言うことを初めて知りました。
広くしたいのであれば、家が建つ前に言ってくださいね。
3 何でこんなにすぐに壊れるの?
弊社の大工職人が友人の家に招かれた際に言われた言葉です。
自社で建築したわけではない家ですが、営業ではないとは言え、素直に言ってはいけないと思ったのか、「よくあることだ」と伝えたそうです。
どうやら、
最初は床の不具合があったそうで、改めて新居を細かく見て行ったら、あちこちに気になるところが見つかり始め、更には、悪化のスピードもかなり速かったそうです。
その時にはっきりと言いたかったのは
「その家が安いからですよ」だったとのことです。
建売住宅ではなかったものの、
土地の購入と併せて建てたローコスト住宅だったそうです。
ちなみに、弊社職人から見れば、
ご本人が気が付いていないような点もたくさんあったそうです。
ですが、
建設費を聞いてお値段通りだと納得したので何も言えなかった
ということでした。
なぜ、
相場よりも安いのに、相場並みのクオリティを求めるのか不思議ですが、
全く別物の木造住宅を建てている大工職人を困らせてしまうので、そんなことは尋ねないであげてください。
私も時々、家を購入したり、新築した方に「この家ってどう?」などと尋ねられます。
ご満足されているなら、他人に評価を求めない方が良いと思いますよ。
