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推しの子第31話感想…痛みと共に進む物語

第三期開始時に書いたきりでした推しの子記事ですが、ちゃんと毎週観ております。今週の第31話、特に心を動かされる展開と作品の「色」を感じたので記しておこうと思いました。

一見すると仲睦まじい恋人の絵です
ですが、今回の物語はその真逆をいきましたね

第31話 決裂

記者に撮られたことを、事務所の皆に謝罪するかな。「たとえ痛みを伴うとしてもかなを救いたいか?」という問いに、当然だと答えるルビー。アクアが選んだ、かなを救う唯一の方法とは――
(公式サイトより引用)

一度は「終わった」としていた復讐者の道を再び進むことをアクアが決断する、全体を通しても大きな転機であろう回でしたね。パラダイムで言えば堕ちるターンですが、一概にそうと言えない所にこの作品の味があります。


「スキャンダル」のくだらなさを表現

かなちゃんが気丈なキャラ、というところが救いでしたね

昔から思っていますが、芸能人のゴシップってそんなに興味深いものなのか?と不思議に感じる気持ちがあります。誰と誰が熱愛だとか、ぶっちゃけ既婚者の不倫だったとしても何も感じないんですよね。それでも、それを昼夜問わず追いかけて暴いて、晒す。芸能記者の下賤な仕事は色んな場所で批判されていますが、今回の話でも出たように需要があるから成り立っているのでしょう。私も2007年ごろ、X JAPAN再結成の噂が出ていて方々で色々記事が出ていた時に週刊誌を買った事はありました。ですが40年以上の人生で芸能雑誌に手を出したのはその時だけです。世の仕組みとして理解はしますが、それによって他人を傷つけることを厭わないというのは、やはり悪行というしかありませんよね。

アクアがマスコミの実態についてモノローグで語っていますが、
本当に矜持、プライドの無い仕事なのだなぁと
良かったのは、ルビーとMEMちょの優しさがあったことです
かなを責めず、特にMEMちょは抱きしめてもあげました
これだから、MEMちょが一番推せるんです、可愛さと大人な部分が共存してます
実際、子役から芸能活動をしていたりすると人生経験も一般人とは大きく違って
くる訳ですが、それでも18歳はまだ「少女」なんですよね
全くもって主観と偏見なので恐縮ですが、やはり健全な世界ではないと思います


兄の提案に、かなを救うためなら…と合意するルビー
片目だけ、星が白に戻ってるのが細かくて良かったですね

アクアの切れ者ぶりと豪胆さが溢れる今回の展開で、物語は大きく動きましたよね。このアクアのカミングアウトには、かなのスキャンダルなど消し飛んでしまうインパクト、威力がありました。それはそうと、アイドルの密会なんてネタがいかに小さく、しょうもないものかも突きつける描かれ方だったなぁと思います。

個人的には、アイドルが仕事を取る為に権力のある男と寝た、としても合意の元なら何も問題はないよなと考えます。それが明るみに出てファンが幻滅したとしても、それはファン側の都合でしかないんですよね。


創作者として、自分に無いものを感じた

そして今回、一番の大きな出来事は恋人関係にあったアクアとあかねの「決裂」、破局ですね。

この二人の会話は、お互いの頭の回転の速さが出ていて面白かったです

そもそも前期の終盤から、黒川あかねのちょっとサイコな部分に不気味さを感じていたわけですが…今回その部分がアクアと衝突し、表面上とはいえ上手くやっていた二人の関係は瓦解しましたね。GPSを小物に仕込んでいたアクアの狡猾さ、しかしその上で純粋な彼女の顔を守ろうとするあかねに見抜いた魂胆を突き付ける辛辣さ。あかねが不気味なほど星野家の秘密に迫っていく中で、見透かした上で突き放すアクアの冷徹ぶりが響きました。この二人のやり取り、ハイレベルな心理戦のようで見応えがありましたし、表向きはカップルだったからこそ悲しみに変わって浮かぶ感情もありましたね。

ちょっと懐かしい、二期の感想記事ですがこの時から感じていたあかねの不穏さが、最も残酷な形で終着点に着いてしまったという感じでしょうか。

有馬かなオタクとして目を❤にしていた頃は良かったな…と
何に対しても愛情が深すぎるのが仇となった感はありますが、結局アクアは二人のヒロイン、
どちらともハッキリ距離が出来てしまいましたね

大方の作品は、登場人物同士の距離が縮まっていくことをドラマとしています。この推しの子は、それこそ一期、最初からですが逆にキャラクターを遠ざけていくことで物語が進んでいるな、という印象を受けました。転生ものであり、主人公がそもそも現世を自分の生きる世界であると思いきれていない、という見方が正しいでしょうか。

ルビーは、アクアよりは前世に引っ張られず生きているイメージですが、
三期においては自分から前世の業に飛び込んでいます

そしてこのキャラクターの描き方は、自分には到底できそうにないな…と創作者として感じた次第です。やはり私は登場するキャラクターを、出来るだけ近づけていきたいと考える方ですから。
まず前提として、登場人物が魅力的である事、前期感想にも書いていますが厚みがあることが条件ですね。その上で、関わり合いを描く中で何かが起こると距離が離れていってしまう悲しさや苦しさ。それがこの作品の、ちょっと珍しい特徴であり、求心力になっているのではないでしょうか。


見応えのある回であり、同時に作品の本質についての仮説も浮かんだ…そんな、第31話でありました。

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