採択される補助金申請書の書き方のコツ①
世の中には国、都道府県、自治体等が実施するさまざまな補助金制度があります。
申請すれば「(よほどのことがない限り)採択される補助金」もあれば、「採択率10~30%といった補助金」もあります。
前者は補助金額が低く、後者は補助金額が高い傾向。
後者の補助金は数百万円、数千万円以上のものもあるのです。
しかも補助金は、銀行等からの融資とは異なり、原則として返済する必要がありません。
これだけ聞くと、「是非とも後者の補助金がほしい!」となりますよね。
しかし、後者の補助金は、ほぼ間違いなく実施計画書を作成しなければなりません。これがやっかいなのです。
多くの方は、実施計画書を目の前にすると、何を書けばいいかわからず、手が止まってしまうのではないでしょうか。
本記事では、補助金実施計画書の書き方のコツについてご紹介させていただきます。
補助金申請をご検討されている事業者の方、財務部局から地方創生関連補助金の獲得を指示されている自治体職員の方にとって参考になるかと存じますので、ぜひご覧ください。
補助金申請書の作成の基本
以下の記事でも紹介しましたが、補助金申請書(実施計画書)の作成にあたり私が大切だと考えることは2点です。
(1)平易な文章、短い文章で書くこと。
(2)見栄えの良い申請書を作成すること。
そして、見栄えの良い申請書とは、
①読みやすいこと。
②わかりやすいこと。
③美しいこと。
この3つの条件を備えている申請書です。
本記事では、①読みやすい文章の書き方のコツについてご紹介します。
「読みやすい文章」の書き方のコツ
読みやすい文章とは、正しい日本語を用いた審査員に読んでもらいやすい文章です。
正しい日本語の文章は、審査員のストレスをなくすことができるからです。
①英語・カタカナ語・漢語・略語・造語を乱用しないこと。
英語、カタカナ語、漢語、略語、造語を使いすぎると、読みにくくなるため注意が必要です。次の文章をご覧ください。
本研究は、包括的実験禁止条約の批准国の対米貿易赤字の長期的推移を・・・
インデューシブ・プロモーターでドライブしたトランスジーンの・・・
漢字やカタカナが多すぎると読みにくいと感じませんか?
漢字は、文章全体の30%以内、気持ち的には20%以内を心掛けると読みやすい申請書になります。
②1文が長すぎない、短すぎないこと。
1文の理想は40文字前後。多くても60文字以内が目標です。100字を超えてくると長く感じます。
読点「、」を句点「。」に変えてみたり、接続詞の前でいったん切ってみたりして、1文を短くしてみましょう。
そして大原則として、1つの文章に1つのことを書くようにしましょう。
③修飾語の順序、句読点の打ち方に注意すること。
修飾語の順序や句読点の打ち方によって、言葉の意味が異なってしまう場合があります。
例えば「黒い目のかわいい女の子」という文章。
この文章は、読み手にとっては2通りの解釈をされる場合があるかもしれません。
(解釈①)黒い目の 「かわいい女の子」
(解釈②)黒い 「目のかわいい女の子」
解釈①で伝えたい場合は、「目の黒いかわいい女の子」としたほうがいいですね。修飾語の順序や句読点の打ち方に注意し、読み手によって解釈が分かれない文章にしましょう。
④括弧「」による強調や補足を多用しないこと。
括弧による強調は、文章を読む際の視線の流れを意図的に途切れさせることで、そこに視線を持っていく効果があります。
一方、多用しすぎると、その都度、文章の流れが断ち切られてしまい、読みにくくなるため、使い過ぎは禁物です。1頁に数回程度とすることが理想です。
その他、シングルクォーテーション「‘ ’」や、ダブルクォーテーション「“ ”」は欧文のための引用符ですので、和文では使わないよう注意が必要です。
⑤省略可能な言葉・文字を探し、文章を短くすること。
●「〇〇性」「〇〇化」「〇〇的」
本研究は、スマホの利用時間と学業成績の関係性を明らかにする。
本研究は、スマホの利用時間と学業成績の関係を明らかにする。
「関係性」を「関係」としても十分意味が通じますよね。
文章の明快さを意識し、「性」「化」「的」をあえて省略してみましょう。
そのほか、行政職員の方は公文書や答弁書等で次のような言い回しの文章を作成することがあると思いますが、補助金申請書(実施計画書)を作成する際はでき得る限り省略し、文章を短くすることをおすすめします。
●「~について~する。」
本研究では、高校生におけるスマホの利用実態について調査を行う。
⇒本研究では、高校生におけるスマホの利用実態を調査する。
●「~するもの」「~すること」
本研究では、AAAのBBBについてCCCから明らかにするものである。
⇒本研究では、AAAのBBBについてCCCから明らかにする。
本研究では、AAAを解明することでBBBを改善することを目的とする。
⇒本研究では、AAAの解明を通じたBBBの改善を目的とする。
⑥書き言葉と話し言葉の違いを意識すること。
●疑問文
XXXとはなんだろうか?それは、・・・
~は大きく遅れている。なぜ遅れているのだろうか?それは、・・・
このような疑問文を組み入れた申請書を書く方がいますが、余計な煽りは不要です。
●同一の語尾の繰り返しを避ける
AAAはBBBである。そのため、CCCが必要である。そこで本研究の目的はDDDである。
「である」が3回も続くと違和感がないでしょうか?
同じ語尾が3回以上続く場合は見直したほうがいいですね。
●口語表現
研究が盛んになってきている。
⇒研究が盛んになっている。
なので、だから
⇒そこで、/こうした理由で
申請書(実施計画書)においては口語表現(話し言葉)を用いないようにしたほうが望ましいですね。
⑦比較・並列は表現を対応させること。
比較や並列では表現を揃えましょう。
●「~たり、~たり」
これまでAAAによる測定は、BBBが不十分であったりCCCが乖離しているといった問題があった。
⇒これまでAAAによる測定は、BBBが不十分であったりCCCが乖離していたり、といった問題があった。
⑧無理にへりくだらないこと、大げさでないこと。
無理にへりくだらず、自信をもって申請書を作成しましょう。
AAA研究室でBBBを研究させていただいている。
⇒AAA研究室でBBBの研究を行っている。
共同研究者であるAAA教授のご協力のもと、BBBにおけるCCCを検証する。
⇒共同研究者であるAAA教授と共同でBBBにおけるCCCを検証する。
まとめ
補助金申請にあたり重要となる「読みやすい文章の書き方8つのコツ」をご紹介しました。
①英語・カタカナ語・漢語・略語・造語を乱用しないこと。
⇒漢字は、文章全体の30%以内、気持ち的には20%以内
②1文が長すぎない、短すぎないこと。
⇒1文の理想は40文字前後
③修飾語の順序、句読点の打ち方に注意すること。
④括弧「」による強調や補足を多用しないこと。
⑤省略可能な言葉・文字を探し、文章を短くすること。
⑥書き言葉と話し言葉の違いを意識すること。
⑦比較・並列は表現を対応させること。
⑧無理にへりくだらないこと、大げさでないこと。
私自身、正しい日本語を用いた文章を書けているかと問われると答えに詰まってしまいますが、他者の申請書を「読みやすい文章」に添削する際には、この8つのコツを意識して見ています。
これらのコツは、補助金申請書だけでなく、日常の文章にも活かせるかと思いますので、本記事が皆様にとって少しでもお役に立てれば幸いです。
(参考書籍)
①科研費採択される3要素(第2版)アイデア・業績・見栄え
②科研費獲得の方法とコツ(改訂第6版)
③できる研究者の科研費・学振申請書(採択される技術とコツ)
