パワメなし、ローラーなし、SPDペダルでシルバーを獲れた話④前日当日編
前回までの記事で富士ヒル直前までの流れをお伝えしたので、ここからは前日と当日の流れを書きます。
富士ヒルシルバー記事①はこちら
土曜の朝測った体組成計では
体重60.9kg(普段は64kgくらい)
体脂肪率7.4%(普段は8〜10%くらい)
体重は過去最高の減量、体脂肪率も上出来な仕上がりでした。
★前日
お昼までで仕事を終えて帰宅後サクッとお昼を済ませる。
カーボローディング中なのでお茶漬け+冷凍の焼きおにぎり。
そして前日のうちに用意しておいた荷物をリュックに詰め、13:10西荻窪発の鈍行で…と思っていたら、駅までの所要時間の計算をミスってギリギリに。
10分前に駅着、急いで輪行作業をしていたら、勢いよく立ち上がった時に2月末に怪我をした太ももに痛みが…
とりあえず予定の電車に乗れたものの、次第に痛みが強くなる脚。
16:00富士山駅着で会場に向けて走り始めると、ゆっくり回せば問題ないものの、なんとなく嫌な感覚。
この時点でシルバーは絶望、それどころか明日痛みが増悪してDNSの可能性や、そうだとしたら下山荷物を預けない方がいいのだろうかとまで考えました。
ところがここで救世主が登場。
ご自身はエントリー峠を越えられなかったにも関わらず応援するためだけに来てくれた鍼灸師の先輩が、宿で治療してくださると。
その先輩の腕と、これまで自分が積み上げてきたものを信じ、さらに一番後悔が少ない選択をしようと思い下山用荷物はきちんと預け、宿に向かいました。

するものの、お風呂はなかなか良かったお宿
17:30くらいに宿に着いて自転車を最終形態に、具体的には前後のライト、ツールボトル、ボトルケージを取り外し(ドリンク用に1箇所残して)、シルバー達成目安のタイム表をステムに貼り付けました。
大月駅の乗り換え時間で買ったおにぎりを5個食べ、入浴を済ませました。
その後先輩の施術を受け、翌朝の準備をして寝たのは21:30くらいでした。
★当日
レース3時間前には食事を済ませるという鉄則に従い、第3スタート6:40に合わせて3:15起床、3:40までにはおにぎり3個とバナナ1本を食べ終え支度を始めました。
入浴はいつでも可能な宿だったので朝風呂でしっかり身体を温め、トイレで軽量化にも成功し、5:30に宿を出発。
宿から会場まで約8km、脚の感触は悪くないが不安は拭いきれない。
が、もしレース開始後に絶好調だった時のためにきちんとアップはしておこうと思い、北麓公園前の坂で心拍150くらいまで上げて会場入り。

第3スタートの列に自転車を並べ、荷物預かりにリュックを預け、トイレ(小)も済ませいよいよレース本番へ。
半袖+アームカバー +ビブショーツ なので待機中は寒かったが、レース中の強度を考えればやはり装備は間違っていなかった。
レース30分前とスタート直前に、カフェインでのブースト効果を狙ってアミノサウルスジェルのエリート03を半分量ずつ飲み、ボトルにはサウルススポーツドリンクエリートを、そしてレース中の補給としてマグオンのジェルをポケットに忍ばせいよいよスタート!

普段使いには高額だが決戦用に奮発

今までのレースでは眠眠打破飲んでた
★レース中の動き
前日に痛みが再発した影響で、スタートの時点ではまだコンディションが未知数だったのでパレード区間は流れに任せてケイデンス高めの意識。
計測開始地点からまわりの速度も上がっていったが、まだまだ余裕を持ってついていけそうだったので流れに乗る。
シルバーの目安の一つが料金所まで2:30以内という情報に対して、2:01。
ここで「イケるかもしれない!」と一気に火がつきました。
とは言えここで調子に乗って踏みすぎると後半の失速は避けられないため、常に余力を意識しながら前の人についていく。
自分を追い抜いていった人についていけそうなら後ろにつかせてもらう(後続がいれば最後尾に)。
前を走る人が遅く感じたら、息を整えながら後ろから速い人が上がってくるのを待つor自ら追い越す。
前を走る人が速く、ついていくのがキツく感じたら、勇気ある撤退をしてペースの合う人を待つor体力と引き替えにトレインの恩恵を受け続ける。
基本的にこの一瞬の判断の連続であり、奥庭駐車場までこれをひたすら繰り返しました。
と同時に、しばしば出現する緩斜面ではしっかり踏んで加速、急斜面では省エネを最優先にしつつ次の緩斜面の加速に備えて息を整える(給水は僕の場合は急斜面で)。
ステムに貼り付けたタイム表もチラチラ見ながら走っていると、三合目くらいまでは最大で1分20秒くらいの貯金。
試走時は最初の1〜2kmしかついていけなかったタイム表に、これだけのマージンをつけて走れていることに驚きました。
このまま失速しなければイケる、しかし焦らず浮かれず淡々と丁寧にペダルを回す意識を徹底しました。


ステムに貼りました
ちなみにパワーメーターがない僕のレース中の指標は、心拍数1割+速度(平均速度)9割くらいの配分です。
心拍は気付かないうちに舞い上がって無理してないかの指標という位置付けで、僕の場合は170台後半までいったら少し出力を抑えて落ち着かせる、といった具合。

個人的に富士ヒルにおいて最重要だと考えるのが速度とアベレージ。
パワーは「自分が今どれくらいの出力か」は分かりますが、同じパワーでも風向きやトレインの有無によって速度は変わり、結果的にレースタイムも変わってしまいます。
それに対して速度は絶対的な指標であり、極端な話19.3km/hで走り続けることができれば必ずシルバーは達成できるということになります。
上記のタイム表にはありがたいことに1km毎のアベレージも記載されており、これを死守することに全集中しました。
このタイム表は勾配も考慮されたタイムとアベレージでありため、「終盤の平坦で巻き返して借金返済」みたいな希望は基本的に叶わない。
(一定ペース走が得意or尻上がりタイプかで若干のタイム差は生まれるかもしれませんが、おそらく誤差の範囲内でしょう)
次の○km地点でのアベレージに必要な速度を今出し続けられるかどうかを、周囲の状況と勾配と心拍を気にかけながら徹底しました。
ちなみに背中に忍ばせていたマグオンは、二合目過ぎあたりで摂取しました。
終盤でかなり脚にキテいたので、結果的に飲んで正解だった気がします。

適していると感じました
大沢駐車場通過は、たしか56分台だったような…
この時は前半のマージンが減りつつあり不安だったものの、この通過タイムなら最後の平坦で爆裂向かい風でさえなければ達成できるという希望が強くなり、最終局面に向けて集中力を高めていたのはよく覚えています。
そしてこの先の終盤では、給水の余裕は皆無なので、奥庭手前までにドリンクも飲みきりました。
奥庭駐車場通過はたしか68分台、脚が攣りそうな気配が少しあるものの、前日の痛みが出る気配は全くない。
ありがとう先輩、ありがとうマグオン!
ここから先は高速域での戦いなので速い人の後ろが最善だが、いなければ当然自分で行くしかない。
余裕のあるペースで誰かの後ろについて温存するより、エネルギーを使い果たしてでもここは速度最優先。
ここを最速で駆け抜けなければシルバーはありえない。
霧が濃くなり視界は悪くなっていたが、危険が伴うようなテクニカルなコーナーがないのは試走で確認済みなので、周りの選手にだけ気をつけながら全開走。
フロントはアウター、下ハンを握ってエアロフォームをとり、トルクはかけるが雑なペダリングにならないように意識。
平坦区間の前半はちょうどいい速さの人が後ろから現れついていきましたが、後半は自分の中に余力を感じ前の人を追い抜いて一人旅となりました。
幸いほぼ無風、あとは自分との戦い。
必死に走りながらも、脳裏に浮かんでくるのはこれまでのこと。
・寒くて辛かった真冬の荒川インターバル
・ママチャリに5分乗ることすらできなかった2月末のケガ
・ケガの再発に怯えながらも積み上げ続けた春先
クライマックス感満載の脳内に比例してテンションもMAXだったので、最後のトンネル入口あたりで誰かを追い抜く時
「ラスト頑張ろう!!」
なんて声をかけちゃいました。
普段こんなこと言うキャラじゃないのに笑
でもそんな僕の熱量に感化されたのか、その人も僕の後ろについて加速。
徳を積んだ。
そしてここから最後の急勾配。
チェーン落ちのリスク回避と減速を最小限に留めるため、フロントはアウターのままで突撃。
試走時は気持ちが折れてインナーに戻してしまったが、今は何がなんでも駆け抜ける覚悟でいったら気持ちが勝った。
ゴールが見えたあたりで最後に時間を確認したら73:50くらいで残り1分ちょい、そこからは手元は見ずにとにかく前だけを見据えて、もがいてもがいてもがき尽くす。
最後の一滴まで絞り出す想いで駆け抜け、ゴール通過直後に手元のサイコンのラップボタンを押す時に目に入ってきたタイムは
74:30
やった!!…のか!?
この瞬間の正直な感情は、喜び8割疑念2割。
正確なスタート地点で計測開始できていたか?
疲労困憊で見間違えたんじゃないか?
(ラップボタンを押すとラップタイムはスマホにデータを送信するまで見られない)

おそらく達成できていると思いつつ、万が一の時の結果でショック死しないよう、喜びを爆発させるのは下山後の公式記録を確認をした後にとっておくことに。
さっさと下山したかったので荷物を受け取り防寒具を着込み下山待機場所に並びました。
汗冷えもあり寒かったものの、幸いそんなに待機時間は長くなく下山開始。
反対車線で必死に走っている人たちを見ながら、つい先ほどまで繰り広げられていた自分のレースに思いを馳せる。

様々な感情が入り乱れる下山待機列
下山後に記録賞とシルバーリングを受け取り、ようやく達成の実感が湧き上がってきましたが、先輩がファミレスで待っているので吉田うどんを食べたら即撤収。
ファミレスでの祝勝会を経て、富士山駅12:01発の電車に乗り、僕の富士ヒル2026は幕を下ろしました。

★あとがき
富士ヒル開催に尽力してくださった運営の方、一緒に走った選手のみなさん、本当にありがとうございました。

パワーメーターなし、ローラーなし、SPDペダルでのシルバー獲得という目標自体が、もしかしたら時代錯誤だったかもしれません。
しかしむしろ、そういう縛りがあったからこそ僕の場合は逆に燃え、「もし達成できたらちょっとカッコいいかも」なんて思うこともでき、大きな原動力になりました。
自分の中での自転車の位置付けも、住環境も当分変わらないので、この条件下でのヒルクライムレースの参戦は続ける予定です。
次戦は9/27のまえばし赤城ヒルクライム。
富士ヒル前のような追い込みはしませんが、できる範囲で楽しみながら仕上げていこうと思います。
伝えたい想いがたくさんありすぎて想定より長文になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

