恋する表参道
※下記、新作作ってみました!お暇な時にでもどうぞ
恋する表参道
by Ryoji M.
第1部 血管フェチな夕暮れ
第1章 初めての夏
夏。
都内にあるワンルーム・マンションの一室。
僕は、カーペットの上のクッションに座りながら、深いため息をついた。
『…人によって好みは違うが、よりによって…』
理屈で説明したいのに、理屈で説明できない感情。
そんな感情を、君も持ったことがあるかもしれないが…
分かりやすく、そして、手取り早く僕の方から、説明すると…
僕は、血を見るのが苦手だ。
『えっ、子供じゃん!』
そう、君も思ったかもしれないが…
僕は、もっと激しい形で、その女性に言われた。
女性?
友達?
彼女?
どこで知り合った?
長いの?
そんな世間一般の興味本位の質問は、華麗にスルーして笑、結論から言うと、彼女…と、でもしておこう…彼女の嗜好は、僕と真逆だった。
そう、それは、彼女と知り合って、
『今度、ショッピングか、カフェでも行かない?』
みたいな、そんな軽いノリの延長の…
デート初日のことだった。
爽やかな日差しが、青々とした樹々を照らし、微かに葉を揺らしている。
僕は、そんな樹々を見つめながら、彼女が待ち合わせの駅に到着するのを待っていた。
14時50分。
待ち合わせの15時には、少し早い時刻だ。
「お待たせ!」
輝く日差しの向こうから現れた彼女は、薄手のワンピース姿だった。
僕は、彼女をカフェまで、優雅にエスコートしているつもりだった…もちろん、この後に待ち受ける惨状なんて、青空の向こうに広がる灰色の雲と同じくらい、僕の視界には全く入っていなかった。
僕は、彼女をデザートの美味しいカフェへと案内した。
カラン、コロンと、ドア・ベルが鳴った。
第2章 トーク
僕と彼女は、メニューを見て、アイス・コーヒー付きのケーキ・セットを注文した。
すると、彼女は、
「…この前、初めて話をした時にさ、お互いに好きなものが近そうみたいな話をしてなかった?時間がなくて、あんまり話ができなかったけど…」
僕は、
「…そうだね、好きなものっていうのもあるけど…僕は、苦手なものがハッキリしててさ…」
すると、
「.. 苦手なもの?何、それ?」
その時、カフェの店員が、水滴の付いたグラスをテーブルの上に置いた。
そして、僕は、ミルクをアイス・コーヒーに入れ、彼女は、ブラックのまま、一口飲んだ。
「…僕はね、血を見るのが苦手なんだよ…」
「…血?…」
瞬間、彼女は、堪え切れないという感じで笑い始めた。
「…子供じゃん!…」
彼女の笑いは止まらない。腹を抱えて笑う彼女。
僕は、周囲の視線が気になり始めた。
僕のグラスの水滴が、2つ、3つと流れ落ちる。
僕は、彼女の笑い声から目を逸らし、遠くの天井を見つめた。
「…君、成人してるよね?」
急に上から目線になった彼女は、鋭い声で、そう尋ねた。
「…うん、まあ、してると言えば、してるけど…もう、18歳だから…」
「えっ?君、18歳なの?プロフに19歳って書いてたから、もうすぐ成人かと思った」
第3章 勘違い
彼女の問いに、僕は、
「いや、今年で19だから、そう書いただけ、だから、まだ、18歳」
すると、
「…年下かあ!」
と、彼女は言った。
「…今、大学生だっけ?そうだよね?」
と、聞かれて
「大学1年生です!」
僕が、元気よく答えると、彼女は、また、腹を抱えて笑った。
「…メアさんは?」
「…私?」
「…そう」
「…レディに、年齢は聞かないの!」
「…すみません」
すると、彼女は、悪戯っぽい笑みを浮かべ
「…ちょっと、腕、見せてくれる?」
「…腕ですか?」
そう言って、僕が恐る恐る、左腕を差し出すと、彼女は、自分の方に、グイ!と引き寄せて、僕の腕をじっくりと観察し始めた。
「…私さあ…」
「何ですか?」
「…血管フェチなんだよね!」
彼女の言葉に、僕は、ドキリとした。
『…こ、この人、もしかして、ヴァンパイアか何かか…?』
地方の進学校を卒業して上京したばかりの僕は、これまでの自分の行動を反省し始めた。
彼女のインスタの写真が輝いていたこと…。
彼女欲しさのあまり、インスタで、彼女にDMを送ってしまった日のこと…。
『…良かったら、今度、エンカしない?』
彼女からのお誘いに、即答でOKしたこと。
そして、彼女の最初の品定めの初回が、ほんの15分で終わったこと。
そして…今日。
不安そうな僕の顔をよそに、腕から手へ、一通りの血管チェックが終わった彼女は、
「…合格!」
そう言って、微笑んだのだった。
第4章 質問
笑顔の彼女は、
「…良かったね!君!ショウスケくん、だっけ?今度、お姉さんが、デートしてあげる!」
そう言って、妖艶な眼差しで、僕を見た。
「…それにしても、君、賢いよね!現役で、あの大学に入るなんて、大したものだわ…」
「…あっ、ありがとうございます…」
僕は、グラスの水滴を気にしながら、アイス・コーヒーを飲んだ。
「…メアさん、お仕事、何、されてるんですか?インスタの写真、すごく綺麗なドレス姿でしたけど…」
僕は、思い切って聞いてみた。
「失礼ね!私、まだ、女子大生よ!」
「…そうなんですね」
「…あの写真は、モデルの、バ・イ・ト!」
「…そうなんですね…」
僕は、すっかり、彼女のペースに飲み込まれていた。
「…あれっ、君、もしかして、DT?」
「…DT…ですか?」
すると、彼女は、僕から、視線を逸らし、アイス・コーヒーを飲んだ。
その時、
「お待たせしました!」
店員が、チーズ・ケーキを2つ運んで来た。
それから、2人は、ゆっくりと、チーズ・ケーキを口に運んだ。
甘い香りが口の中に広がり、体の中へと流れる。
第5章 約束
チーズ・ケーキを2口くらい食べたところで、彼女は、
「…心配しないで…」
「あっ、ハイ」
僕が、何のこと?と、思っていると
「…お姉さんが、いろいろ教えてあげるから..」
そう言って、彼女は、上目遣いで、僕の方を見た。
「あっ、ハイ!」
すると、彼女は、
「…返事は、いいから!」
そう言って、口元に人差し指を当てて、
「シーッ!」
と、言った。
僕は、自分の目の前に座る美しいロング・ヘアの女性の目が…ヴァンパイアの瞳か何かと見間違える程、怪しく、妖艶に輝いているのを見逃さなかった。
「…じゃあ、ショウスケくんは、次は、いつ空いてる?」
それから、僕は、彼女と、待ち合わせの約束をした。
来週の土曜日。
場所は、渋谷。
時刻は、夕方の18時だ。
そして、僕は、お会計を済ませ、彼女と2人で店を出ると、原宿駅の方に向かって歩き始めた。
歩きながら、僕は、彼女に、いろんなことを聞こうと思った。
いや、いろんなことを…聞かなければ、と思った。
ハッキリと…。
キッチリと…。
しっかりと…。
男らしく…。
理論的に…。
そして、
「…あの、すみません…」
「…何?」
「…僕の…どこら辺を気に入って…いただけたんでしょうか?』
すると、彼女は、背の高い僕の、斜め下から、僕を見つめて
「…知りたい?」
「…あ、ハイ!」
すると、彼女は、
「…ケ・ッ・カ・ン…」
「…えっ?」
「…血管よ!」
そう言って、僕の腕にしがみつくように、腕を絡めたのだった。
その時、血を見るのが苦手な僕は、この人は、きっと、ヴァンパイアか何かに違いない、そう思って、背中に冷や汗が流れるのを感じたのだった。
穏やかな日差しは、表参道の並木道を、原宿駅へとゆっくりと照らし続けていた。
To be continued.
・タグ一覧
#恋愛小説 #恋愛小説が好き #恋愛
#イラスト #イラストレーター
#物語 #ライトノベル #ラノベ
#東京 #原宿 #表参道
©2026 Ryoji M. All rights reserved.
本作品のキャラクター、文章、画像の無断転載・無断使用・悪質な二次創作は固くお断りいたします。
・第2部は下記です
※良いね!をいただけた作品のみ連載を続けます…莫大な時間をかけて作った作品です。良いね!をいただけるとありがたいです。
よろしくお願い申し上げます🙇♂️。
