調律
年に一度、
調律師さんがやってくる
ピアノのそばに静かに座って、
一音一音、丁寧に耳を澄ませる
私には気づかなかった、
ほんの少しのズレを
その人は、ちゃんと聴いている
弦を少し緩めたり、
張ったり
時間をかけて、
少しずつ、整えていく
調律が終わったあとのピアノは、
どこか、すっきりとした顔をしている
そういえば、
人の心も、少し似ているかもしれない
気づかないうちに、
どこかがズレていることがある
誰かのひとことや、
ふとした沈黙や、
あたたかい眼差しが
そっと、整えてくれることがある
自分では気づけないズレを、
誰かが聴いていてくれる
そう思うと、
少し、ほっとする
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