「印刷会社」なのに株価が上がる?——エールちゃん、DNPを初めて読む
エール:「コスモスちゃん、ついにこの日が来たね…。」
コスモス:「お、気合い入ってるね。今日はエールちゃんが主役だよ。PL・BS・CF、全部使って、ある会社を読んでみよう。」
エール:「ドキドキする…。で、どの会社を見るの?」
コスモス:「大日本印刷。DNPって呼ばれてる会社。」
エール:「え、印刷会社?正直、あんまり成長しなさそうっていうか…地味なイメージかも。」
コスモス:「だよね。でも、この会社の株価、最近すごく上がってきてたんだよね。52週高値を更新したりして。」
エール:「え、なんで?印刷って、紙の需要とか減ってそうなのに…。」
コスモス:「そこなんだよね。じゃあ、いつものレンズで一緒に覗いてみよう。」
コスモス:「今回のポイントは、“利益がどこで生まれているか”と“お金がちゃんと残っているか”の2つだけ。まずはエールちゃんなら、どこから見る?」
エール、PLを覗く——「筋肉」の違和感
エール:「まずはPL(損益計算書)で“筋肉”を見るんだよね。えっと…前回教わった通り、営業利益から見るんだよね。…営業利益は1,030億円くらいか。」
コスモス:「うん、いいね。まず“営業利益から見る”のが基本だからね。で、そこから何か感じる?」
エール:「うん。セグメント別の利益構成を見ると、エレクトロニクス事業っていう、なんか半導体っぽいやつが利益の約半分を稼いでるんだね。」
コスモス:「お、すごい。ちゃんとセグメント情報まで見たんだ。」
エール:「うん。でも、売上全体に占める割合は17%くらいなのに、利益じゃ半分。なんか、すごく偏ってない?」
コスモス:「いいところに気づいたね。それって、どういうことだと思う?」
エール:「えっと…つまり、印刷とか他の事業はあんまり儲かってなくて、このエレクトロニクス事業に利益のほとんどを頼ってるってこと?」
コスモス:「そう見えるよね。それは“強い”と思う?それとも“危うい”と思う?」
エール:「うーん…半導体って景気に左右されそうだし、これに頼りすぎてるのは、ちょっと怖いかも。筋肉で言うと、特定の部位だけ異常に発達してる感じ?」
コスモス:「いい視点だね。じゃあ、次はBSで“骨格”を見てみよう。」
エール、BSを覗く——「骨格」は意外と…
エール:「BS(貸借対照表)か…。えっと、自己資本比率は…57.7%。これ、前回『50%超えてると結構しっかりしてる』って言ってたやつだよね。」
コスモス:「そうそう。よく覚えてたね。」
エール:「骨格は結構しっかりしてるんだ。借金も少なそうだし。でも、在庫とか売掛金がすごく多い、ってわけでもなさそう。」
コスモス:「うん。BS的には“倒れにくい体”に見えるね。」
エール:「PLでは『特定の筋肉に頼りすぎ』って感じだったけど、BSは『思ったより普通にしっかりしてる』って印象かも。なんか、ちぐはぐな感じ…。」
エール、CFを覗く——「血流」で見えてきたもの
エール:「最後はCF(キャッシュフロー計算書)で“血流”を見るんだよね。えっと…あれ?CF計算書が…見つかんない。PLとBSは載ってるのに。」
コスモス:「あー、それね。実は、CF計算書って第3四半期の決算短信には載ってないんだよね。」
エール:「え、そうなの!?なんで!?」
コスモス:「日本のルールだと、CF計算書の開示が義務なのは中間期(第2四半期)と本決算だけなんだ。だから、2月に出た第3四半期の短信には、PLとBSしか載ってないんだよね。」
エール:「え、そうなんだ…。じゃあ、CFってどうやって見ればいいの?」
コスモス:「そういうときは、ひとつ前の中間期の決算短信を見るんだよ。お金の流れってそんなに急に変わらないから、直近の中間CFを見れば、だいたいの傾向は掴めるよ。」
エール:「なるほど…。えっと、じゃあ2025年11月に出た中間決算のCFを見てみるね。営業キャッシュフローは…あれ、ちょっと少なくない?通期の営業利益予想は1,030億円なのに、営業CFは252億円しかないよ。」
コスモス:「ちょっと待った!それ、比較するものがちょっと違うかも。」
エール:「え、なんで?」
コスモス:「今エールちゃんが見てる営業CFは、上半期(4〜9月)の6ヶ月間だけの数字なんだ。それに対して、さっきの1,030億円って通期(12ヶ月)の営業利益予想でしょ?」
エール:「あ、ほんとだ!6ヶ月分と12ヶ月分を比べてた!」
コスモス:「そう。期間を揃えないとミスリードされちゃうんだよね。比較するなら同じ土俵に上げないと!だから中間の営業利益と比べてみて。」
エール:「えっと、中間の営業利益って…454億円か。営業CFは252億円。…あれ?比較する数字をちゃんと揃えたのに、やっぱり利益の半分くらいしかお金になってない…。」
エール:「これって、“ツケ払いが多い”とか…?それとも、“何かにお金を使ってる”ってこと?」
コスモス:「いいね、その2つの仮説。どっちもあり得るよ。」
コスモス:「そこを考えるのが、次のステップなんだよね。PLの利益とCFの現金がズレる理由はいくつかあるけど、一つは“在庫”や“売掛金”の増減だったり、もう一つは“減価償却費”みたいな、実際にお金が出ていかない費用がPLに含まれているからだったりする。」
エール:「うーん…つまり、この会社はPL上は“筋肉質”に見える部分もあるけど、実際の“血流”はあんまり良くないってこと?」
コスモス:「少なくとも、“利益の割に現金が増えていない”という見方はできるね。ただ、それが“悪い”と決めつけるのはまだ早い。成長のために投資をしている会社は、一時的にCFがマイナスになったりもするから。」
エールの「初めての分析」を終えて
エール:「なんか、わかったような、もやもやするような…。」
コスモス:「それでいいんだよ。決算書を読むって、最初は“違和感”を見つけることだから。」
エール:「私が見つけた違和感は…」
· PL:特定の事業(エレクトロニクス)に利益を依存しすぎている
· BS:借金は少なく、骨格はしっかりしている
· CF:利益の割に、営業CFが少ない。血流があまり良くなさそう
エール:「この3つかな。でも、これが良いのか悪いのか、まだ全然わかんない。」
コスモス:「うん、すごくいい線いってるよ。特に、“利益の偏り”と“利益と現金のズレ”に気づいたのは大きい。」
コスモス:「この会社って、見方によっては『成長分野で稼ぐ強い会社』にも見えるし、見方によっては『特定分野に依存した危うい会社』にも見える。結局、“どっちに転ぶか”で評価が変わりそうなんだよね。」
エール:「その“どっちに転ぶか”って、どうやったらわかるの?」
コスモス:「そこは、もう一段深く潜る必要があるんだよね。具体的に、そのエレクトロニクス事業が“何で稼いでいるのか”とか、“これからどうなるのか”という話。」
コスモス:「…ちょっと、そのあたりをもう少し深く見てみたくなってきたかも。」
コスモス:「今回エールちゃんが見つけた“違和感”の正体を、もう一歩踏み込んで整理した記事がこれなんだ。もし気になったら、こっちで整理してるよ。」
エール:「あ、それ読んでみたいかも。私の考えたこと、合ってるのかな…。」
コスモス:「うん。答え合わせ、してみよう。」
👉【答え合わせ】大日本印刷(7912)——「印刷会社」なのに、なぜ半導体で稼ぐのか?【有料】
コスモス:「どうだった?初めての決算書分析。」
エール:「難しかったけど、PL・BS・CFって、こうやって使うんだってちょっとわかったかも。数字を見て“違和感”を探すのが大事なんだね。」
コスモス:「そうそう。決算書って、答えをくれるものじゃなくて… “考えたくなるもの” なのかもね。」
エール:「次は、もっと自分で“問い”を見つけられるようになりたいな。」
コスモス:「その調子!もし『この会社も一緒に読んでほしい!』っていうのがあれば、コメント欄で教えてね。みんなで一緒に“違和感”を見つけていきましょう。」
エールちゃんが学んだ決算の簡単解説
筋肉の記事(PL)
骨格の記事(BS)
血流の記事(CF)
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最後まで読んでいただき、ありがとうございます🌸
これからも一緒に、一歩ずつ学んでいきましょう。

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※本記事は投資の基礎知識を解説するものです。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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