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「まるで魔法のような、素敵な言葉」|葬送のフリーレン

魔法自体が善にも悪にもなりうる、というのと同様に
『葬送のフリーレン』で繰り返し
諸刃の剣として描かれるのが「言葉」だ。

フリーレンの世界を
「力による支配」対「人類」という構造でとらえた時、
この言葉の描写も、現実世界の写し鏡となる。

「力による支配」を行う権力側が、言葉を恣意的に用い、
プロパガンダやマーケティングを通じて
人々の価値観や行動の誘導を行う、というのは、
悲しいかな世の常だ。

S1E7『おとぎ話のようなもの』では
とある村で、村人の子どもを食い殺した魔族に
村の村長やヒンメルたちが騙される、
という回想シーンが出てくる。

自身もまだ子どもの外見をしている魔族は
向かってくるヒンメルに対し
「痛い。痛いよ、お母さん」と言葉を発し
ヒンメルに戦いをためらわせる。

「ぼくたちには、言葉がある」と
言いながら剣をしまうヒンメルが、
「今殺しておかないと後悔する」という
フリーレンの言葉を聞き入れない対比が印象的だ。

結局ヒンメルと村長は、フリーレンの言葉ではなく、
魔族の子どもの言葉を信じる。
魔族に、償う機会を与えたのだ。

しばらくして村長は、その魔族に殺される。

フリーレンが、その子どもの魔族をいよいよ殺そうというその時、
魔族はまた、「お母さん」と言葉を発する。
フリーレンは、聞き入れない。
その代わりに、魔物に問う。

人生のほとんどを天涯孤独で過ごし、
家族という概念すら存在しない魔族が
なぜ、「お母さん」という言葉を使うのか。

魔族の子どもは答える。

だって、殺せなくなるでしょ。
まるで魔法のような、素敵な言葉。

アニメ『葬送のフリーレン』S1E7 - 子どもの魔族


シーンは今の時代に戻り、
フリーレンはフェルンとシュタルクの2人に対して
魔族にとっての言葉の意味を説明する。

かつてフランメが、
言葉を話す魔物を魔族と定義づけたことを。
その魔物の祖先は、物陰から「助けて」と言葉を発し、
獲物をおびきよせていたことを。

やつらにとっての言葉は、人類を欺く術だ。

アニメ『葬送のフリーレン』S1E7 - フリーレン


話し合い、理解し合い、支え合うために使われる言葉は
使い手の意図次第で、欺き、騙し、破滅させるための
道具にもなる。

「力による支配」がたくみに言葉を操るとき、
私たちは、その言葉の本当の意図に
注意しなくてはいけないのだろう。

フリーレンの世界における
「魔法とは?」について書いた記事は以下:


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