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「一級魔法使いは、人外を疑うような化け物ぞろいだ」| 葬送のフリーレン

『葬送のフリーレン』の世界における魔族と人類の戦いは、現実世界の「力による支配と人類」の戦いのメタファーになっているのではないか、と私は考えている。

この構造の解説については、以下の記事をご一読いただきたい。

フリーレンたち魔法使いは、魔族という大きな支配力と戦うために魔力を上げ、研鑽を積む。

しかし、魔族に対抗する目的で人々が団結し組織化したとき、そこにはまた、新たな支配構造が生まれる。
それが大魔法使いゼーリエを頂点に据え置く、大陸魔法協会である。

この二重構造もまた、現実世界の写し鏡のようだ。

S1E20『必要な殺し』では、一級魔法使い選抜試験の試験官であるゲナウとゼンゼが、試験会場から離れた場所で、優雅にティータイムを楽しんでいる。

文字通り、高みの見物だ。

そこで「一次試験中、有望な受験者が何人も死んだ」と指摘するゼンゼに対し、ゲナウは言うのだ。

有望なやつは、この程度では死なんよ。
一級魔法使いには、それだけの価値がある。

アニメ『葬送のフリーレン』S1E20 - ゲナウ


この言葉は、裏を返せば「有望ではないやつは、死んでもかまわない」ということを意味する。

優生学すらも想起させるような、危険な発想だ。

また別の場面ではリヒターが、一級魔法使いになることの特権について、フリーレンたちに解説している。

大陸魔法協会を立ち上げたゼーリエは、一級魔法使いの座についた者に、特権を与えることを約束しているのだと言う。

リヒターによれば、その特権とは以下のようなものだ。

巨万の富を得ることも、大病を癒すことも、絶大な力を手に入れることだってできる。

人ってのは、単純でな。
おかげで今や、一級魔法使いは、人外を疑うほどのバケモノ揃いだ。

アニメ『葬送のフリーレン』S1E20 - リヒター


富や権力は、容易に人間を狂わせるという、強烈な示唆である。

人間は単純で、強欲で、自分たちで作り上げた権力構造に、簡単に絡め取られてしまう。

S1E10 『強い魔法使い』でフランメが言っていたセリフが思い出される。
彼女はフリーレンに対し、このように言っていた。

哀れだよな。
人が地位や財産に縛られるように、魔族は魔力に縛られている。

アニメ「葬送のフリーレン」S1E10 - フランメ

そう。
支配から自由になった人々もまた、縛られてしまうのだ。
地位や、財産や、特権に。


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