[海外就職]#7 海外テック企業の求人が出る裏側を、エンジニア目線で考えてみる
前回の記事では、「現地国の返済不要奨学金に通った申請書の考え方」について書きました。
今回の記事では、海外就職の入り口となる「採用」について、少し考えてみたいと思います。
まず簡単に自己紹介すると、自分は日本の大学を卒業した後、ヨーロッパのとある大学院に進学し、そのまま現地でソフトウェアエンジニアとして就職しました。 現在もヨーロッパに住んでおり、アメリカ発の企業でソフトウェアエンジニアとして働いています。この note では、海外大学院や海外就職を考えている方や関連する情報を集めている方に役立つ情報を発信しています。この記事がいいなと思ったら他の記事も読んでもらえると嬉しいです。
海外就活をしていると、いつ求人が増えるのか、どのような企業に応募すればよいのかは、多くの人が気になるポイントだと思います。
少し前まで出ていた求人が突然消えたり、しばらく何も出ていなかった会社から急に複数のポジションが出たりすることがあります。応募者側から見ると、「今はタイミングが悪いのか」「もう少し待てば求人が増えるのか」「この会社はもう採用していないのか」が分かりにくいです。
ただ、実際に海外テック企業の中でソフトウェアエンジニアとして働いていると、求人が出る背景には、ある程度の構造があると感じます。
もちろん、これは自分が働いている会社の具体的な採用計画について書くものではありません。会社によっても違いますし、時期によっても変わります。
それでも、外から求人票だけを見ていた頃には見えなかったことが、実際に海外テック企業の中で働いたり、他のエンジニアと話したりする中で、少しずつ見えるようになりました。
今回は、海外テック企業の求人がなぜ出るのか、その背景を、自分の観測範囲をもとに整理してみます。
求人はなんとなく出ているわけではない
外から見ると、求人は会社が気まぐれに出しているように見えることがあります。
ただ、実際に海外テック企業でソフトウェアエンジニアとして働いていると、求人が出る背景には、事業やプロダクトの変化が関係していることもあるのだと感じるようになりました。
ここでは、海外テック企業で求人が出る理由を、大きくいくつかに分けて整理してみます。
一つ目は、新しい機能や新しい領域を立ち上げる場合です。
会社が成長していると、次に作るべきものが次々に出てきます。新しいユーザー層に向けた機能、既存機能の改善、新しい市場に対応するための開発など、やることは増えていきます。また、成熟した企業でも新しいプロジェクトの開始に伴って人員が必要な場合もあります。
この場合、新しいチームを作ったり、既存チームに人を増やしたりする必要が出てきます。
二つ目は、既存機能の規模が大きくなる場合です。
最初は小さな機能だったものでも、多くのユーザーに使われるようになると、責任が大きくなります。障害が起きたときの影響も大きくなりますし、改善の優先度も上がります。
すると、その領域を片手間で見るのが難しくなります。
今まで一人や少人数で見ていた領域を、より明確な責任範囲として切り出す必要が出てくることがあります。その結果として、新しいエンジニアを採用する理由が生まれます。
三つ目は、責任範囲が分かれていく場合です。
成長企業では、最初は一つのチームが広い範囲を見ていることがあります。しかし、会社やプロダクトが大きくなるにつれて、そのままでは回らなくなります。
あるチームが見ていた領域を分割したり、より専門的なチームを作ったりすることがあります。
四つ目は、退職者の補充です。
どんなに労働環境が良くても退職者は出るものです。誰かが会社を辞めたあと、その人が担当していた領域を引き継ぐ必要がある場合、求人が出ることがあります。
ここでは最低限覚えておいた方が良いと思ったものを紹介しました。
採用枠は計画タイミングにも左右される
上で書いた通り、新機能の立ち上げ、既存機能の規模拡大、責任範囲の分割などは採用枠が生まれる大きな理由になります。
ただし、そうした必要性が見えてきたからといって、すぐに求人として表に出るとは限りません。実際に採用枠として動き出すかどうかは、事業計画、予算、チームの優先順位、そしてそのポジションの緊急度などを踏まえて決まっていきます。
会社として次にどこへ投資するのか。どのチームを伸ばすのか。どの領域に人を増やす必要があるのか。今すぐ採用すべきなのか、それとも少し先でもよいのか。
そうした判断が重なった結果として、求人が表に出てきます。
応募者側から見ると、ある日突然求人が増えたように見えることがあります。ただ、その前には、事業計画や予算の見直し、チームごとの優先順位、採用枠の調整などがあるはずです。
逆に言うと、会社が成長していても、常にすべてのチームが採用しているわけではありません。
会社全体としては伸びていても、あるチームでは採用枠がないこともあります。逆に、会社全体の採用がそこまで大きく見えなくても、特定の領域では人が必要になっていることもあります。
このあたりが、外から求人を見ると分かりにくい部分だと思います。
求人が出ている=本当に採用が動いているとは限らない
海外就活では、求人が出ていても、必ずしもその採用が積極的に動いているとは限りません。
すでに有力な候補者がいる場合もありますし、途中で予算や優先順位が変わることもあります。また、国や制度によっては、ビザや就労許可の手続きの関係で、一定期間求人を出しておく必要がある場合もあります。
もちろん、外からそれを完全に見分けることはできません。
だからこそ、一つの求人に期待しすぎて、ずっと返事を待ち続けるのはあまり得策ではないと思います。応募したら、待つだけではなく、次の求人も探す。海外就活では、一社にとらわれすぎず、良いと思った企業やポジションに継続的に応募していく姿勢が大事です。
求人から見る会社のシグナル
求人を見るときは、職種名や応募条件だけでなく、募集の数や種類から会社の状態を少し想像することもできます。
たとえば、複数のチームでソフトウェアエンジニアをたくさん募集している会社であれば、事業やプロダクトが伸びていて、人を増やす必要があるフェーズなのかもしれません。成長企業でしか味わえない雰囲気のようなものがあります。
また、Compliance、Security、Infrastructure、Platform などのポジションが増えている場合は、会社がすでにある程度大きくなり、単に新機能を作るだけでなく、プロダクトを守る、安定させる、拡張するフェーズに入っている可能性があります。あるいは、もともと規制や信頼性が重要な業界で事業をしている会社かもしれません。
もちろん、求人票だけで会社の状態を正確に判断することはできません。
ただ、「この会社はなぜこの職種を募集しているのか」「なぜこのタイミングで人を増やしているのか」と考えるだけで、求人票の見え方はかなり変わります。
海外就活では、求人票をただ眺めるだけではなく、募集の数、職種の種類、求められている経験から、その会社のフェーズや自分との相性を考えてみることも大事だと思います。
応募者側でできること
求人が出るタイミングや、その求人がどれくらい本気で動いているのかを、応募者側から完全に見分けることはできません。
だからこそ、求人が出てから準備するのではなく、出たときにすぐ動ける状態を作っておくことが大事です。
CVやLinkedInを整える。自分の経験を説明できるようにする。どのような企業やフェーズで働きたいのかを整理しておく。そして、良いと思った企業やポジションには継続的に応募していく。このような準備を徹底できていることが望ましいです。
次回は、実際に海外テック企業の求人票を見るときに、自分がどこを読んでいるのかについて書いてみたいと思います。
