[海外大学院]#1 英語の基礎はあったがそれでも苦労したこと
前回の記事では、なぜ自分が日本で就職せず、海外に来たのかについて書きました。
今回は、その続きとして、海外大学院に来る前から気になっていた「英語」について書いてみます。
まず簡単に自己紹介すると、自分は日本の大学を卒業した後、ヨーロッパのとある大学院に進学し、そのまま現地でソフトウェアエンジニアとして就職しました。 現在もヨーロッパに住んでおり、アメリカ発の企業でソフトウェアエンジニアとして働いています。この note では、海外大学院や海外就職を考えている方や関連する情報を集めている方に役立つ情報を発信しています。この記事がいいなと思ったら他の記事も読んでもらえると嬉しいです。
最初に正直に書くと、自分は英語がまったくできなかったわけではありませ
ん。
帰国子女ではありませんが、受験勉強を通じて英語の基礎力はある程度あったと思います。留学1年~2年前時点でTOEICは900点弱、IELTSは6.5くらいはありました。
そんな自分が英語の面で何につまずいたかについて書いていきます。
英語の基礎力は、正直かなり助けになった
海外大学院に行くうえで、「英語ができなくても何とかなる」 といった乱暴なことはあまり言いたくありません。
大学院は専門分野を学ぶ場所です。
教授はもちろんクラスメイトも基本的には「英語でやり取りできる人」として接してきます。もちろん、授業の内容について分からないことを教え合ったり、助け合ったりすることはあります。ただ、基礎的な英語の練習相手になってもらう前提でいるのは、よほど特殊な状況でない限り、少し違うと思います。
そもそも、多くの海外大学院では出願時に英語試験のスコアが求めらるので、まったく英語が分からない状態で海外大学院に入るケースは、あまり起こりにくいと思います。
自分の場合、読解や文法の土台があり、リスニングもある程度できていました。
そのおかげで海外大学院に来てからも、授業スライドを読むことや、課題文を理解すること、授業内容を追うこと自体は、そこまで大きな問題ではありませんでした。
もちろん、すべてが簡単だったわけではありません。知らない専門用語も出てきますし、授業の内容そのものが難しいこともあります。
それでも、「英語だから何も分からない」という状態ではありませんでした。
日本にいた頃にやっていた英語の準備
日本にいた頃も、英語にはそれなりに触れるようにしていました。
YouTubeや映画も見ていましたが、自分の場合は趣味というより勉強用に近かったです。英語字幕で見たり、シャドーイングをしたりして、なるべく英語に触れる時間を増やしていました。
また、Coursera で授業を受けていたこともあります。今振り返ると、海外大学院に行く前から、英語で専門に近い内容を学ぶ練習をしていたのだと思います。
具体的な英語の勉強方法については、今後あらためて別の記事で書く予定です。
不安だったのは、授業理解よりも人と話すことだった
海外大学院に来る前、自分が一番不安だったのは英語で議論できるかどうかでした。
自分の意見をその場で言えるのか。相手の意見に対して、すぐに反応できるのか。グループの方針を決める場面で、自分の考えをちゃんと伝えられるのか。将来的に、海外の企業の面接で受かるくらいまで英語で話せるようになるのか。
自分にとって、海外大学院に来る前の英語の不安は、まさにそこにありました。
実際には、話す機会は自然に作られた
実際に海外大学院に来てみると、思っていたよりも英語を話す機会は自然にありました。
自分の大学院では、講義だけで完結する授業はあまり多くありませんでした。
授業で理論や考え方を学び、その後の演習で実際に手を動かす。コードを書いたり、ツールを使ったり、理論問題を解いたりしながら、分からないところはTAやクラスメイトに質問するといった構成でした。
演習では、近くに座っているクラスメイトと相談することも自然にありました。完全に一人で黙々と進めるというより、周りの人と確認しながら進める場面が多かったです。
隣に人がいる席に座れば、基本的にはその人と話すことになります。
「ここってどう考えた?」
「このツールの使い方、合ってる?」
「この問題、どこまで進んだ?」
そういう小さなやり取りが、日常的に発生していました。
最初から流暢に話せたわけではありません。でも、授業や演習の中で、英語で人と話さざるを得ない場面が少しずつ積み重なっていきました。
また、授業のほかにサークル活動にもいくつか参加していました。
その中で、英語力も少しずつ上がっていったと思います。
ただ、「急に英語が話せるようになった」というよりは、単純に慣れていった感覚に近いです。
こういう場面では、こう聞けばいい。分からないときは、こう確認すればいい。相手の説明が分からなかったら、こう言えばもう一度説明してもらえる。
英語が突然うまくなったというより、英語でやり取りすることへの心理的な距離が少しずつ縮まっていったのだと思います。
難しかったのは、自分の意見を通すことだった
話す機会が自然にあったからといって、すべてが簡単だったわけではありません。
自分にとって難しかったのは、グループワークで 自分の意見を持って議論に参加すること でした。
グループワークの方針を決める場面で、相手が自信ありげに話していると、「あ、それも一理あるな」と思って、こちらが折れてしまうことがありました。
もちろん、相手の意見が本当に正しいこともあります。
自分の考えが浅かったり、間違っていたりすることもあります。
ただ難しかったのは、相手が確固たる根拠を持って自信を持って話しているのか、それとも単に自信があるように見えているだけなのか、その場で判断しきれないことでした。
英語で堂々と話されると、それだけで説得力があるように聞こえることがあります。
自分の中に少しでも迷いがあると、
「まあ、そっちの方が正しいのかもしれない」
と思ってしまう。
結果として、自分の考えを出しきれないことがありました。
ここで感じたのは、海外大学院で必要なのは英語力だけではないということでした。
英語で話せることも大事です。
でも、それだけでは足りません。
授業で扱う内容について、自分なりにできるだけ深く、広く調べること。
調べた内容をもとに、自分の考えを持つこと。
相手の意見に流されすぎず、必要なら確認すること。
自分が間違っていたら、ちゃんと修正すること。
そういう力も必要でした。
それからは、グループワークで方針を話す前に、以前よりも準備するようになりました。
授業で扱った内容をもう一度確認する。
関連する資料を読む。
似たような事例を調べる。
いくつかの進め方を比べて、それぞれのメリットや弱点を考える。
そうやって調べていく中で、少しずつ自分なりの意見ができていきました。
英語で議論するために準備する。
準備する中で、自分の理解が深まる。
理解が深まると、少しずつ自信を持って意見を言えるようになる。
このような下調べをする力はもちろん日本でも要求される力であると思いますが、自分の場合は海外大学院に来てから得た大きな力の一つだったと思います。
現地に行かないと学べない英語もある
振り返ると、英語の基礎力があったことは間違いなく助けになりました。
一方で、英語で議論する力や、自分の意見を通す力は、現地に来てから学んだ部分が大きかったです。
日本にても英語力は伸ばせます。一方で、英語で議論する力や、自分の意見を通す力は、現地に来てから学んだ部分が大きかったです。
なので、もし今、海外大学院を考えていて、出願要件を満たせていて、英語にもある程度触れているなら、過度に怖がらなくてもいいと思います。
「もっと完璧に話せるようになってから」
「ネイティブ同士の会話に全部ついていけるようになってから」
「専門的なことをスラスラ話せるようになってから」
と考えすぎると、いつまでも飛び込めなくなってしまいます。
英語は準備できます。
でも、現地でしか慣れない英語もあります。
今後書いていきたいこと
今後の記事では、具体的な英語の勉強方法についても書く予定です。
シャドーイングをどう使っていたのか。英語字幕や Coursera のような教材をどう使っていたのか。海外大学院や海外就職に向けて、実際に役に立った英語学習は何だったのか。
そのあたりは、今回の記事とは分けて、もう少し実務寄りに整理してみたいと思っています。
また、海外大学院を決める際に見たポイントや比較、大学院から現地企業に入社して数年が経ち英語力がどう上がっていったと感じたのかについても、今後別の記事で書く予定です。
次回は、海外大学院に来てよかった。でも、仕事が決まるまではずっと不安だった話をもう少しリアルに書いてみようと思います。
